食後の散歩に迫る危機から愛犬を守ろう。食事と運動はどっちが先?胃捻転を防ぐ散歩のタイミング
実は愛犬を食後に散歩させるのは、健康上のリスクが高いのをご存じですか? 食後は大切な愛犬の命をも奪いかねない胃捻転になりやすいからです。食後の運動だけではなく、運動後の水のガブ飲みにも注意が必要です。胃捻転の予防法や初期症状を心得て、愛犬の健康でハッピーな生活を守ってあげましょう。
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愛犬の食後の散歩(運動)に迫る危険性とは

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ふだんの生活で、つい愛犬の食後に散歩をしたくなるタイミングが訪れるかもしれません。
たとえば、朝食後。家族みんなが朝ごはんを食べているから、愛犬にもあげなくてはかわいそう……。
あるいは、夕食後。
もう少し気温が下がってから散歩に行きたいから、先に愛犬にごはんをあげてしまおうかな……、といった具合ではないでしょうか?
でも、ちょっと待って! それは愛犬にとって危険な判断になりかねません。
人間では、食後に運動するとお腹を壊しやすくなるなどと言われたりしますが、犬の食後の運動は、人間よりずっと危険な状況を招く恐れがあります。
それは、最悪のケースでは命にも危機が及ぶ、胃捻転。
正式には胃拡張胃捻転症候群と呼ばれる胃捻転は、胃が大きく膨らんでねじれる病気です。
発症から数時間以内に適切な処置をしないと、命を落とす危険性が高まります。
胃捻転の原因として有力視されているのが、食事との関連性。
胃の中に食べ物や水が入ると、その容量で胃が多少拡張するのはもちろんのこと、食材が発酵して胃をさらに拡張させることがあります。
食後に散歩をすると、胃が拡張している状態で運動をすることになるので胃捻転のリスクが増すというわけです。
胃捻転を予防する散歩や食事のタイミング、ポイント

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胃捻転を予防するためには、食後は理想的には2~3時間、最低でも1時間は愛犬をゆっくり休ませてください。
実は、運動後の水のガブ飲みが原因で胃捻転を発症するケースもあります。
散歩から帰宅したあとに愛犬が水を多量に飲んだ場合も、愛犬をしばらく休ませるようにしましょう。
胃捻転の原因は明らかになっていませんが、大量の食事や早食いも関係があるのではないかと考えられています。
食事は1日2回以上に分けて与えるのが、愛犬の楽しみも増えるというメリットもあるのでおすすめ。
早食い防止食器や、フードを仕込める知育トイを使って、愛犬にじっくり食べてもらうのもよいでしょう。
胃捻転になりやすい犬種がいる 大型犬だけではなく、小型犬にも

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人間とは違う骨格構成上、すべての犬に胃捻転になる可能性がありますが、とくに胸の深い犬種で多く見られます。
具体的には、大型犬種の秋田犬、ラブラドールレトリバー、ゴールデン・レトリーバー、グレート・デン、ワイマラナー、ポインター、シェパードなど。
そのほか、小型犬でもフレンチ・ブルドッグやミニチュア・ダックスフント、ビーグルなどに発症例があります。
大型犬全般や、胃捻転になりやすい犬種の飼い主さんは、とくに注意したいものです。
胃捻転は早期発見ですぐ病院へ

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もし愛犬が胃捻転になってしまった場合、すぐに動物病院に連れて行き、一刻も早く処置を施してもらわなければ命に危機が迫ります。
胃捻転の初期症状は、愛犬が不安な表情を見せながらウロウロしたり、背中を丸めてうずくまるという行動をはじめ、吐く動作をしているのに吐けない、水分だけを嘔吐する、よだれを流す、頻繁にげっぷをするといったものです。
口腔内を見ると、粘液や泡が確認できることが多々。
短毛の犬種では、外見上から腹部が膨らんでいることに気づくこともあるでしょう。
拡張した胃が横隔膜を刺激すると、呼吸も苦しくなってきます。
愛犬にこうした症状が認められたら、早急に動物病院へ。
ねじれた胃を元に戻す方法は、主には緊急の外科手術になります。
繰り返しますが、手術による処置を受ける前に、愛犬が命を落とすこともあります。
夜間の散歩のあとに胃捻転を疑う初期症状を発見したら、決して翌朝まで様子を見ている余裕はありません。
夜間でも緊急で対応をしてもらえる動物病院を、万が一に備えてリストアップしておきましょう。
まとめ

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食後の運動は犬の健康上とても危険な行為であると、飼い主さんは覚えておきたいものです。
胃捻転を予防するには、愛犬を食後1~2時間は散歩に連れて行かず休ませる、食事は1日2回以上に分けて与えるというのがポイント。
旅行中など、どうしても食後に休ませる時間がないときは、なるべくゆっくり愛犬を歩かせるようにしましょう。
もし胃捻転の初期症状に気づいたら、愛犬の命を守るために急いで動物病院に向かってください。

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui
フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。
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