【獣医師監修】犬の歯磨きの頻度とベストな方法

愛犬に歯磨きはしていますか? 乳歯のうちは歯磨きは必要ないのか、いつから歯磨きをスタートすればよいのか、歯磨きガムやスプレーだけでケアは大丈夫か……。歯磨きに関するたくさんの疑問を、獣医師が解消します。

【獣医師監修】犬の歯磨きの頻度とベストな方法
出典 : pixta_26877245

歯磨きはいつから始めればいい?

歯磨きはいつから始めればいい?

pixta_30001684

歯磨きをいつからスタートするべきか、悩む飼い主さんが多いかもしれません。

結論から言うと、歯磨きのスタートは早ければ早いほど良し!

人間の幼児でも乳歯のうちから歯磨きをスタートするのと同様、犬も乳歯のうちから歯磨きを習慣づけておいたほうが、後々のケアが行いやすくなるのが最大の理由です。

子犬は、新しいことを受け入れるのが得意。まずはおやつを用意して、飼い主さんとのコミュニケーションの一環として歯磨きの練習をしてみましょう。

後述するとおり、理想的な歯磨きは歯ブラシを使うこと。歯周病予防のためには、歯ブラシを使わなければ歯と歯茎の間の汚れを掻き出せないからです。

けれども、子犬のうちは無理しないで、とにかく「歯磨きって楽しい!」と子犬に感じてもらうことを最優先させてください。

歯磨きのやり方の練習とコツ

歯磨きのやり方の練習とコツ

pixta_43288229

子犬や迎えたばかりの成犬と、初めて歯磨きを練習する日は、必ず特別においしいおやつを用意して。

さらに、チキンなど、おいしいフレーバーのする歯磨きペーストなどもあればベストです。

初日は、飼い主さんは自分の指においしい味の歯磨きペーストやデンタルジェルを付けて、愛犬に舐めさせてあげてください。

もし愛犬に警戒心がないようであれば、少し唇をめくって歯を指で触ってみてもよいでしょう。

口を開けられることや、飼い主さんの指で歯や歯茎を触られることに愛犬が抵抗感を示さないようになるまで、数日や数週間かけてもかまいません。

そのファーストステップがクリアできたら、いよいよ歯ブラシを用意して練習します。

歯ブラシは、犬用のものが多数市販されています。飼い主さんが使いやすいものや、愛犬が嫌がらないで口に入れさせてくれるものをチョイスして使用しましょう。

歯ブラシには、おいしい味の歯磨き粉などをつけて、初日は数本だけでいいのでシャカシャカとやさしい力で磨いてみます。

愛犬がおとなしく磨かせてくれたら、ほめておやつをあげましょう。

歯磨きしたのにおやつを食べたら、また歯垢の原因になるかと心配かもしれませんが、まずは愛犬が歯磨き好きになってもらうことが先決。

気にせず、歯ブラシに慣れてもらうというセカンドステップを進めてください。

3ステップ

pixta_49786954

サードステップは、歯ブラシで歯と歯茎の間の汚れを落とせるようになること。

歯ブラシを、人が自分の歯を磨くイメ―ジで、歯周ポケットの歯垢や雑菌を掻き出せるように動かしましょう。


歯磨きに決まったスタイルはありませんが、小型犬の場合は、飼い主さんが床やソファに座って、脚の上に仰向けに寝かせると歯を磨きやすいかもしれません。

大型犬の場合は、愛犬の背中側から抱き込むような感じで、飼い主さんが自分の歯磨きをするのと同じ方向で行うのもひとつの仕方です。

愛犬と飼い主さんの顔が向き合う恰好だと、愛犬が緊張する可能性もあるので、愛犬がリラックスできそうなスタイルを探して行うのがコツです。

歯磨きのベストな頻度

実は犬のほうが、歯垢から歯石に変化する時間は短いと言われています。

そのため、愛犬の歯みがきは毎日がベスト。

可能であれば、朝晩行いたいところです。

とはいっても、無理は禁物。飼い主さん自身が面倒だと思いながら行ってしまっては、愛犬も歯磨きが苦手になってしまう恐れも。

飼い主さんも、愛犬とのスキンシップタイムだと思いながら、楽しそうな雰囲気を醸し出して行うのが秘訣です。

歯磨きを嫌がる愛犬には

歯磨きを嫌がる愛犬には

pixta_7478580

もし愛犬が長時間の歯磨きを嫌がるようであれば、1日2回に分けて、1回目は上の歯列だけ、2回目は下の歯列だけというようにしてもかまいません。

さらに、歯磨きをするタイミングを工夫するのもおすすめです。

たとえば、散歩後、室内でのおもちゃ遊びのあと、ノーズワークなどの脳トレ後など、愛犬が少し疲れたタイミングを見計らうと行いやすいケースが多いようです。

もし成犬でスキンシップが苦手な保護犬を迎え入れたり、シニアドッグや老犬などで歯磨きを嫌がるようになった場合、無理して歯ブラシを使う必要はありません。

歯周ポケットの汚れを除去できるのは歯ブラシだけで、だからこそ人間も歯ブラシを使って歯磨きをしているわけですが、どうしても歯ブラシを嫌がる愛犬には、ガーゼやマウススプレーでケアをしてみてください。歯磨きガムを活用する手もあります。

歯ブラシがベストですが、ガーゼや歯磨きスプレーや歯磨きガムを使って、愛犬が歯のケアを少しでも楽しく続けられる方法を見つけましょう。

軍手にデンタルジェルなどを付けて歯を擦るのもひとつの方法です。

動物病院での歯石除去も効果あり

動物病院での歯石除去も効果あり

pixta_9673694

飼い主さんによる歯磨きだけでは、奥歯や歯の裏などの磨きにくいところに歯石がたまってしまう可能性があります。

定期的に動物病院で歯の状態をチェックしてもらうように心がけて、獣医師にすすめられたタイミングで歯のクリーニングや歯石除去を検討するとよいでしょう。

動物病院での歯石除去は、通常は全身麻酔で行います。

スケーラーで歯石を除去する際に出血を伴い、痛みによって犬が暴れてケガをする危険性があるからです。

歯の表面の歯石だけを除去しても歯周病予防にはならず、歯と歯茎の間にある歯垢や歯石を除去するのが重要。

さらに、歯石を除去してザラザラになった歯の表面は研磨して、再び歯石が付きにくくする作業も必要なため、獣医師による処置はトータルで約1時間を要します。

そのため、獣医師は無麻酔の歯石除去をすすめていないことも頭に入れておきたいものです。

まとめ

まとめ

pixta_8840562

子犬のうちから、永久歯に生え変わったときには歯磨き好きになっているようにトレーニングを重ねましょう。

飼い主さんもリラックスしながら、歯磨きレッスンや歯磨きを行うのがコツです。

どうしても歯磨きが苦手ならば、無理をせず、口腔内の殺菌などに役立つデンタルスプレーや、多少の歯垢ならば除去できる歯磨きガムやガーゼでの歯のケアをしましょう。

歯のケアをしていない2歳以上の犬の半数以上は歯周病になっていると言われるので、動物病院では、定期的な歯のチェックと、必要に応じて歯石除去を行いつつ、愛犬の健康寿命を延ばしてあげたいものです。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

・資格
獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト

・職業
獣医師
ペットスペース&アニマルクリニックまりも

・所属団体、学会
一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事)

・著書(一部)

[(link) "text": "最新版 愛犬の病気百科","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4092", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


[(link) "text": "愛犬をケガや病気から守る本","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4439", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


・職業上でのペットとの関わり
普段犬猫の診察をしています。
飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。

・飼っている動物
シーズー

・ペット歴
ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア)

・ペットへの想い
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。
愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています

・ペットに関するエピソード
シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。
2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。
動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。
犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

旅行誌の編集記者を経て、フリーに。30代にオーストラリアでドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。ノーリッチ・テリア2頭と暮らしながら、「人と動物のよりよい関係」を願い、雑誌や書籍等多数の媒体で執筆活動を行う。東京都中央区動物との共生推進員。著書にタイの犬の写真集『うみいぬ』などがある。

編集部のおすすめ記事

「ライフスタイル」の人気記事RANKING