【獣医師監修】犬の「血便」はストレスが原因?激しい嘔吐や下痢、粘液の血便には要注意!
愛犬に血便が出ると、飼い主さんは心配になるでしょう。血便の色や状態も多様にあります。血便が出る原因をあらかじめ知っておき、愛犬が血便をした際には、すぐに血便だと判断と対処ができるように準備をしておけば安心です。
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犬の血便の原因はストレスから病気まで様々

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犬が血便をする原因は様々。
すぐに動物病院で治療を開始しないと愛犬の命に関わる病気もあるので、まずは血便について知っておきましょう。
まずは重篤ではない症状から紹介します。
犬は環境の変化などによる心理的なストレスで、血便をすることがめずらしくありません。
嘔吐や下痢といったほかの症状がなく、比較的元気そうにしていて便に血が混じっている程度であれば、ご飯の量を減らして胃腸への負担を軽減させ、少し様子を見てください。
それでも血便が続くようであれば、動物病院を受診しましょう。
獣医師から、ストレス性の軽い大腸炎だと診断されれば、整腸剤などが処方されると思います。
急にドッグフードの種類を変えたことで、胃腸炎になって血便が生じる場合もあります。
フードが愛犬の体に合わなかったのかもしれません。
フードの変化に敏感な犬には、胃腸が新しいフードを受け入れやすいように、それまでのフードに最初は少量から混ぜながら、1週間くらいかけて切り替えていく対処法があります。
愛犬が食事アレルギーである場合、皮膚トラブルも同時に出現しているケースが多々。
アレルギーを疑う場合は、獣医師に相談をしましょう。
愛犬に元気がなくて震えている場合や、血便が治らない場合は、すぐに動物病院へ。
特に下痢を伴う血便は、感染症の恐れがあります。
ただちに治療を開始しなければなりません。
子犬や老犬の血便と下痢が止まらない場合は要注意!

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子犬や老犬の下痢と血便が止まらない場合、脱水症状になり容態がすぐ悪化する危険性があるので要注意です。
とくに致死率が高いのが、犬パルボウイルス感染症。腸炎型に感染すると、激しい嘔吐と下痢から始まり、血液の混じった粘液のような下痢便が出るようになります。
愛犬にこれらの症状が現れたら、すぐに動物病院に向かってください。
犬パルボウイルス感染症以外で下痢に血が混じっている場合、肝臓病の可能性もあります。
ウイルスに感染して急性肝炎を起こしているケースなどでは、ただちに抗生剤を投与して治療を始めなければなりません。
いずれにしても、下痢を伴う血便は、早急に動物病院で診察を受けましょう。

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犬の血便状態(黒い・ゼリー状)を写真で撮影

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血便の症状で動物病院を受診する際は、可能な限り愛犬の便を持参するか、スマホなどで写真に撮っておきましょう。
血便とひとことで言っても、その色や状態など様々にあります。
チョコレート色や黒い色の便も、血便の一種。
便の出口である肛門から遠い、食道、胃、十二指腸といった部位で出血がある場合は排便までに時間がかかるので、黒やチョコレート色の便となって排出されます。
逆に、大腸や肛門から出血があると赤い色や鮮血の混じった便が出ます。
血便によっては、ゼリー状の粘液が混じっているケースも見られます。
飼い主さんは、便の色や状態のほか、血液が便の内側か外側のどちらに混じっているか、いつからどのくらいの頻度で血便があるかも記録をしておいてください。
動物病院では、必ず聞かれる大切な情報です。
犬の血便の治療・対処方法!

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動物病院では、獣医師による問診と、検便に加えて、必要に応じて血液検査やレントゲン検査やエコー検査などが実施されるでしょう。
軽い胃腸炎などで症状が軽い場合は、胃腸の薬などをもらってそのまま帰宅するケースが多いかと思います。
寄生虫が見つかれば、駆虫薬が出されるでしょう。
異物誤飲が原因で血の混じる下痢を起こしていると、腸閉塞に進展する危険性があるので、入院治療になるかもしれません。
感染症などの重篤な症状の場合も、隔離室での入院が必要になるケースがあります。
飼い主さんが防げる血便は、なるべく愛犬にストレスをかけさせないで生活させること。
そのほか、食物アレルギーが疑われるのであれば、なるべく早くアレルゲンを探ってあげましょう。
感染症を防ぐため、定期的なワクチン接種も必須です。
さらに、飼い主さんが血便に気づいていないケースもあるため、人間ドック同様、消化器や内臓の疾患、腫瘍による出血の有無を調べるために検便を含めた健康診断を定期的に受けるのもおすすめです。
犬の「血便」まとめ

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血便の原因は多岐にわたります。
愛犬の食欲や元気がなく下痢を伴うようならば、早期に動物病院へ。
受診の際は血便を持参するのと同時に、いつからどのような状態の便をするようになったかも記録して伝えましょう。
血便の原因が特定できたら、それに合わせて治療を開始します。
飼い主さんが血便を心配しすぎて神経質になると、愛犬も不安になっていつまでも血便が治らないかもしれません。
少しでも気になるようであれば、獣医師に気軽に相談してくださいね。

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監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)
・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました
…続きを読むライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui
フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。
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