【ドッグトレーナー監修】犬とおもちゃを使って遊ぶときのポイント

あなたの愛犬はおもちゃに対してどんな反応をしますか? 「せっかく買ってきても遊ばない…」「一度与えるとなかなか離さない」など、飼い主さんが思っているように遊んでくれないことも多いと思います。ここではおもちゃの役割と、遊ばせ方について紹介します。

【ドッグトレーナー監修】犬とおもちゃを使って遊ぶときのポイント
出典 : 399290383/Shutterstock

犬にとっての「おもちゃ」とは

犬にとっての「おもちゃ」とは

180987521/ Shutterstock.com

犬にとっておもちゃとは疑似的に狩りをすることで本能的な欲求を満たすためのものです。


おもちゃと聞くと「飼い主と犬とが一緒に遊ぶための物」や「一人で退屈しのぎをするための物」といった、犬にとって遊んで楽しめるものといったイメージがあると思いますが、なぜ、犬がおもちゃで遊んで楽しめるのか?その理由は犬の「狩りをしたい」という、本能的な欲求が関係しています。


そのため、犬の狩猟欲求を満たせる上手な使い方や、目的に合わせた適切な使い方ができればより良い効果を発揮してくれますが、間違った使い方や遊ばせ方をしてしまうと、犬が喜ぶどころかおもちゃに興味を持たなくなったり、時には命の危険が伴うような事故につながってしまうこともあるので、飼い主さんはおもちゃを使って遊ばせるポイントを理解する必要があります。

欲求を満たすためのもの

欲求を満たすためのもの

394560673/ Shutterstock.com

おもちゃを使って疑似的に欲求を満たせる行動は「追う」「捕まえる」「振り回す」「噛む(壊す)」の4つあります。

これらは狩りの時に行う行動で、全てを満たしてあげられるようにおもちゃを選んだり、工夫して遊ぶことで欲求不満による過活動(落ち着きのない行動)や過剰な吠えなどの問題行動も減っていきます。

例えば、犬との遊びでよく使われるおもちゃとしてボールやロープがあります。実はこれらは犬の狩り欲求を満たす遊びができるおもちゃなのです。

ボールを投げて持ってくる遊びは、「追う」「捕まえる」という行動が自然と疑似体験できます。

ロープのおもちゃも飼い主さんの遊ばせ方で、「追う」「捕まえる」「振り回す」「噛む」という行動ができます。
そしてこの狩りの欲求の中で特に多くの犬が好んでするのが、おもちゃを「噛む(壊す)」行動です。

狩りの目的は食べ物を得ることなので、最後は捕まえた獲物の肉を噛み切って食べます。

もちろん、食べようとしておもちゃに噛みついて壊すわけではありませんが、おもちゃを噛んだりぬいぐるみの綿を掘りだしたりするのは捕まえた獲物を食べる疑似体験をしているのです。

また、おもちゃなどを噛むことは歯石の除去などにもつながり、口腔内の衛生を保つためにもとても大切なことです。

最近では、フレーバーのついたプラスチック製のデンタルケアグッズや自然の木を加工して作られた棒など、噛んで壊すことを目的としたおもちゃも増えてきました。


おやつとして、ガムや骨などのおやつを与えることも犬の欲求を満たすことができます。

しかし、おもちゃなどを噛んで遊ばせるときには「誤って食べてしまう」ことへの注意が必要です。犬はおもちゃを食べたくて噛んでいるわけではありませんが、犬の喉は飲み込みやすい構造になっているため、食べ物ではなくても飲み込んでしまうことがあります。また、ガムなどの食べ物であっても、大きいまま飲み込んでしまい詰まらせることもあるので与えるときは十分に注意をしなければなりません。

上手な遊ばせ方

上手な遊ばせ方

1328145062/ Shutterstock.com

どんないいおもちゃでも遊ばせ方、与え方が間違っていると意味がありませんし遊んでくれないこともあります。
では正しい遊ばせ方とはどんなものなのでしょうか?

おもちゃを使った遊ばせ方のポイントは「狩りをさせてあげる」ということです。

例えば、ロープのおもちゃでもずっと引っ張り遊びでは楽しくありませんし、後で飼い主さんがおもちゃを取り上げてしまうと、獲物を仕留めても食べることができない状況と一緒です。
また、「うちの犬は一度ボールなどを持つとなかなか離さない」という話を聞くことがありますが、ボールも最後には取り上げられて終わり、ということが繰り返されると「飼い主さんのところに持っていくと取り上げられる」と思い、持ってこない・逃げ回るなどの行動を取るようになります。

犬が持ってこないからと、捕まえて無理やり取ることで余計に「離さない」「逃げる」ようになり、さらに取られたくないために「唸る」「噛む」などの威嚇や攻撃行動にまで発展してしまうこともあります。

飼い主さんは、遊びは勝ち負けではないことを覚えておきましょう。

以前は上下関係を維持するために、引っ張りっこでは「最後は飼い主さんが必ず取り上げなければならない」といわれていました。
しかし、犬との遊びにおける勝ち負けは、飼い主さんに対する優位性に何の影響も与えません。むしろ飼い主さんが遊びで負けることで、「待て」などの合図を聞く時の集中力や、人間に対して「もっと遊びたい」をとおねだりする行動が増えることが研究で分かっています。*1
*1 参考資料:N・J・Rooney et al, 2002

大切なことは、犬が安心して狩りの欲求を満たせるように飼い主さんが対応してあげることです。

遊びを終わりにするときは、終わりの合図を決め、おやつをあげて「良い思い」で終わらせてあげるようにしましょう。

同時に普段から遊びの中で咥えたものを離すためのしつけをしておくといいでしょう。

頭を使うおもちゃはお留守番にも

おもちゃの中にはおやつを詰められる物があります。

こういったおもちゃは、噛んだり舐めたり、転がしたりすることで中のおやつが食べられるという仕組みで、全て食べるのに時間がかかります。

食べるのに時間がかかるというのは、一見めんどくさいように感じますが自然界では簡単に食べられることの方が希少。

どんな動物も獲物を得るために考えて苦戦しながらやっとの思いでありつけるのです。

犬は普段狩りをすることなく食事を得ることができますが、お留守番で暇になってしまう時には、コングのようなおやつを中に詰められるタイプのおもちゃを利用してみるといいでしょう。

頭を使うことや、何かに集中するというのは犬にとってもエネルギーを使います。

お留守番の寂しさや暇を紛らわすのにもいいですしおもちゃに集中することで、いたずらすることも減るでしょう。

与えっぱなしは誤飲の危険

与えっぱなしは誤飲の危険

491644810/ Shutterstock.com

おもちゃの中にはコングや噛むおもちゃなど犬がひとりで欲求を満たすものもあります。

しかし、すべての商品が与えっぱなしにしても安全なわけではなく、与えっぱなしで目を離してしまうと、壊れた破片を飲み込んでしまう恐れがあります。

中に綿や笛が入っているぬいぐるみやほつれやすいロープ、壊れやすいゴム製のボールなどは特に注意が必要です。

胃や腸に詰まってしまうと大きな手術をしなければならなくなりますし、発見が遅れることで最悪の場合窒息死してしまう危険性があります。

基本的におもちゃは人と一緒に遊ぶか、人が見ているところで遊ばせるようにしましょう。

まとめ

まとめ

522593821/ Shutterstock.com

おもちゃは犬の欲求を満たすためのものでもありますが、飼い主さんとのコミュニケーションを取る道具でもあります。

用途に合わせて上手に使うことで、犬を楽しませてあげたり、おもちゃを使ってしつけやトレーニングをすることもできます。

しかし、忘れてはいけないのは犬は人間とは違うということです。

犬は人のように「おもちゃ」と「おもちゃでないもの」の区別ができません。

たとえ、犬用のおもちゃをしまっていたとしても、子供用のおもちゃやペットボトルなどが犬の届くところに置いてあれば、口にして遊んで壊してしまう可能性があります。

お留守番中はケージに入れているから大丈夫」と思っていても、ケージの周りに置いてあればあの手この手でケージの中に引っ張り込んでしまう恐れもあります。

犬にとって興味をそそられるものは全ておもちゃになり得る、ということを忘れずに、飼い主さん自身も楽しんで遊んであげてください。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・youtubeチャンネル 「スタディ・ドッグ・スクール 」 動物行動学博士&国際ライセンスドッグトレーナーが犬の習性や能力から飼い方やしつけまで目からウロコの情報を幅広く発信。 チャンネル登録はこちらから↓ https://www.youtube.com/channel/UCqSmNCaYUEUFObbBW4Xn9nw ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

続きを読む

編集部のおすすめ記事

今週の「ライフスタイル」記事ランキング