【ドッグトレーナー監修】子犬のしつけはいつから?順番は?しつけの「基本」5つのポイント

子犬を迎えたら、まずしつけについて悩むという飼い主さんも多いことでしょう。いつからしつけを始めるのか、何から教えればいいのか、悩むポイントはたくさんありますよね。そこでこの記事では、子犬のしつけを行う上で知っておくべき5つのポイントに沿ってご紹介していきます。飼い主さんも子犬も快適に生活していけるよう確認しておきましょ

【ドッグトレーナー監修】子犬のしつけはいつから?順番は?しつけの「基本」5つのポイント
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【しつけの基本1】子犬のしつけを行う上の心構え ~上下関係はいらない!~

【しつけの基本1】子犬のしつけは「来た日」から!できるだけ早く始めましょう

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以前は、「犬は上下関係を作る」、「犬は家族を順位づけする」「犬はリーダーの言うことしか聞かない」といわれてきましたが、現在では様々な研究で犬は人に対して上下関係を求めてはいないと考えられるようになりました。

また、
 ・たたく、首根っこを掴むなど体罰を用いて叱りつける
 ・抵抗しなくなるまでマズル(犬の鼻)をつかみ続ける
 ・仰向けにして押さえつけて服従させる
などといった、上下関係を維持するために必要とされてきた力で制圧するしつけの方法は、飼い主さんとの関係性が崩れたり、問題行動がより悪化したりすることもわかってきました。

最近では、犬と人の関係は上下関係ではなく親子関係に近いと考えられています。子犬のしつけに取り組む際にも上下関係など意識せず、子犬が安心して信頼できる飼い主を目指しましょう。

【しつけの基本2】子犬を迎える前から飼育環境を見直そう

【しつけの基本2】アイコンタクトで!まずは「名前」を教えよう

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迎えたばかりの子犬にとって、飼い主さんと生活する環境では初めて見るものばかりです。また、危険という観念が分からず、危険なものでも近づいたり、口にしたりすることが多いため大きな事故へ発展してしまうこともあります。人間の幼児と同じように子犬も自発的に身を守ることは難しいので、飼い主さんが安全な環境を用意してあげる必要があります。
 ・キッチンや階段、段差の高いところなど危険な場所には入れないようにゲートを設置する
 ・誤食して危険なものは子犬の届くところには置かない
 ・電気のコードなどにはカバーを付ける
など、子犬を迎える前から安全が確保できる環境を用意しておきましょう。

また、「家具を噛む」「ゴミ箱をあさる」「スリッパを噛む」などといった、将来、飼い主さんにとって困ってしまうような学習をさせないために、噛んで壊したりいたずらをされて困るものは、1歳ぐらいまでは子犬の届く場所に置かないようにしましょう。
子犬の頃に習慣づいてしまったことを、成犬になってから修正することは非常に難しく、犬にとって大きなストレスになります。飼い主さんにとって困ってしまう行動は、子犬の頃から習慣づかないように予防することが重要です。

【しつけの基本3】子犬の時期に最も大切な社会化教育

【しつけの基本3】「甘噛み」は早いうちにやめさせるべき!

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子犬の頃からの社会化教育は、人との絆形成や問題行動の予防にとって非常に重要です。特に、生後3週齢から12週齢は社会化期と呼ばれ、成長後の嗜好性や愛着を一番形成しやすく、様々な刺激や場所へも一番慣らしやすい時期です。そのため、8週齢までは母兄弟の中で犬同士の社会性を学び、8週齢以降は飼い主さんが人間社会を教えていく必要があります。
もちろんピークを過ぎた12週齢以降もすぐに社会化が終わるわけではありませんが、ピークを過ぎてからは警戒心や恐怖心、個性に応じた自我などが強まってくるため、飼い主さんにとって不適切な問題行動が発達し始めてしまいます。
2019年6月より動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)が一部改正され、生後8週齢に満たない犬猫の販売が制限されることになったので、家族として迎えられるのは生後8週齢からとなります。そのため、飼い主さんが迎える子犬と社会化期を一緒に過ごすことができるのは4週間と期間が短いため、子犬を迎える前から社会化教育への知識と理解を深めておく必要があります。

子犬の頃の社会化教育を行うためには、飼い主さんが将来、どのようなライフスタイルで犬と一緒に生活していきたいのか、しっかりとイメージを持つことが大切です。一般的に多くの家庭犬では、下記のような人や場所、体験を子犬の頃から親しむことで社会化教育を行うとよいでしょう。

<経験しておきたい社会化教育>
 ・関りをもつ可能性がある人(獣医師、看護師、トリマー、ペットホテルの店員など)との触れ合い
 ・行く可能性がある場所に行ってみる(散歩コース、人ごみの多い場所、ドッグカフェなど)
 ・見たり乗ったりする可能性がある乗り物に乗ってみる(車、電車、バスなど)
 ・利用する可能性があるサービスを受けてみる(病院、トリミング、ホテルなど)


留守番ばかりさせてしまったり、散歩の回数や時間が短かったり、子犬の頃に隔離した生活をしていると社会化不足となってしまい、成犬になってから様々なものを怖がるようになり、犬も日頃の生活がストレスフルになってしまいます。
飼い主さん自身で十分な社会化教育を行えない場合は、「子犬の幼稚園」などのサービスを利用して専門家に相談すると良いでしょう。

【しつけの基本4】人との生活で必要なことを教育する

また、社会化教育以外にも
 ・トイレのしつけ
 ・ハウスのしつけ
 ・「体を触る」「首輪やハーネスをつける」「健康管理」などに慣らす
 ・甘噛みの抑制
 ・お散歩の練習
などといったしつけを子犬の頃から行うことも大切です。

1 トイレのしつけ

子犬を迎え、まず初めに飼い主さんが直面する課題としては「室内でのトイレのしつけ」が挙げられます。現在では、多くの犬が室内で飼われるようになったことから、特定の場所で排泄ができるようにしつけをすることは、飼い主さんが犬と共に円滑に生活する上で非常に重要となりました。
トイレのしつけ自体は「犬の排泄の習性」をよく理解し、「適切な環境設定」「失敗を予防するための対応」「失敗したときの適切な対応」を実践すれば、さほど難しいしつけではなく特殊技能を必要とはしません。

2 ハウスのしつけ

囲われたタイプのハウス(クレート)を寝床として教えるしつけ方を、「ハウス(クレート)トレーニング」といいます。犬は静かで薄暗い巣穴のような場所を寝床として好む習性があるため、クレートを使用すると、犬にとって快適で安心できる寝床を提供することが出来ます。
また、子犬の頃からクレートに慣らしておくことは、犬と生活する上で非常に多くのメリットがあり様々な問題行動の予防にもつながるため、クレートトレーニングは人と犬との共生において重要なトレーニングの一つです。特に、災害時での犬との同行避難を想定した場合、避難所ではクレートでの生活が必要不可欠となるため、防災対策としても日頃からクレートに慣らしておくとよいでしょう。

3 「体を触る」「首輪やハーネスをつける」「健康管理」などに慣らす

しつけに「おやつ」はどれくらい利用していいの?

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健康管理、動物病院での診察、トリミングなど、日常生活のなかで犬の体に触れる機会は非常に多いですが、自らの意志で体を触ったり抱き上げられたりすることは平気でも、人の都合でこれらの行為をされることに抵抗したり攻撃的になったりする犬は少なくありません。
家に来たばかりの子犬(2~3か月頃)は、個体差や犬種差はあるものの、そのほとんどが抵抗することなく飼い主さんが触ったり抱き上げたりすることを受け入れてくれますが、飼い主さんが子犬の望まない触れ方や接し方を続けてしまうと、体を触られることを嫌がるようになってしまうこともあります。

特に警戒心や恐怖心が強い犬種や個体では、体を触ったり拘束されたりすることに不安を感じ、自己防衛のために抵抗したり攻撃的になりやすいため、早い段階から適切な対応をしながら体を触ることに慣らす練習が必要となります。

また、飼い主さんが触ることができても、動物病院での診察やトリミングなどで飼い主さん以外の人から触られることに抵抗を示す犬も多いため、子犬の頃から飼い主さん以外の様々な人に触られる練習も必要になります。

4 甘噛みの抑制

 飼い主さんに対する甘噛みについての悩みは、子犬のしつけ方教室では必ずと言っていいほどよく相談を受けます。
 飼い主さんに向けられる甘噛みのほとんどは遊びの一環として行われ、子犬や若い犬ではよく見られる自然な行動です。
 家に来たばかりの子犬では、人に痛みを与えるほど噛む力が発達していないため飼い主さんが問題視せず甘噛みを容認してしまうことも少なくありませんが、成長に伴い子犬の噛む力強くなることで、それまで容認していた甘噛みが飼い主さんにとって受け入れられなくなってしまうことケースが多く見受けられます。そのため、飼い主さんは、子犬を飼う前から甘噛みに対する正しい知識を得て適切に対応することが大切になります。

5 お散歩の練習

 犬を飼い始めたら、飼い主さんにとって散歩は毎日の日課となります。そのため、散歩中に「人や他の犬に吠える」「リードを引っ張る」などといった問題行動を抱えてしまうと、飼い主さんにとって毎日の散歩は非常に負担の大きなものになってしまい、犬との生活が苦痛になってしまうこともあります。
また、公共の場で散歩をするためには、犬を飼っていない人や苦手な人にも迷惑をかけないように配慮した管理やしつけを行わなければなりません。
 特に社会化の面では、ワクチン接種が終わる前から外の環境に慣らす必要があるため、ワクチン接種が終わる前でも抱っこやクレートなどにいれ、直接地面を歩かせたり他の犬と接触させずに積極的にお散歩に出かけるようにしましょう。

【しつけの基本5】しつけ教室に通おう!

【しつけの基本5】トイレトレーニングは毎日の生活のなかで習慣づける

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人社会で生活していくためには、犬も様々なことを経験し、学んでいかなければなりません。また、その教育を担うのは飼い主さんであり、飼い主さん自身も愛犬への理解を深め、育て方やしつけ方を学ぶ必要があります。
人間の子育てをする際には、育児学級などに参加することで親が育児の仕方を学びますが、犬を育てる際には、パピークラスなどのレッスンに通うことで同じように飼い主さんが犬の育て方やしつけの仕方を学ぶことができます。
また、このようなレッスンに通うことで、様々な悩みの相談に乗ってもらえますし、同じぐらいの月齢の子犬を飼っている飼い主さんと知り合うことで、様々な情報を共有することもできます。
一言に子犬のしつけと言っても、飼い主さん以外の人や他の犬、様々な環境などに慣らすといった練習は飼い主さんだけでは限界がありますし、悩みを一人で抱えてしまうとせっかくの犬との生活が大きなストレスになってしまいます。
子犬を飼い始めたら、是非、しつけ教室に通ってみましょう!

まとめ

飼い主さんも愛犬も快適に生活をしていくうえで、しつけはとても大切。

家に迎えたその日から開始するのが、しつけの基本です。

ぜひ子犬のうちから、しっかりと「生活していくうえでのルール」を覚えてもらいましょう。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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