【獣医師監修】チワワをハッピーに過ごさせる秘訣!性格や寿命、飼い方、注意する病気は?
世界最小の犬種であるチワワですが、実は活発で運動欲求も高め。愛らしいチワワの心を満たしてあげる毎日を、飼い主さんはぜひ提供してあげたいものですね。かかりやすい病気から生活の秘訣まで、ぜひ知っておいてください。
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チワワの原産国は?(番犬や愛玩犬として活躍)

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チワワは世界でもっとも小さい純血種です。
なぜこれほどまでに小さな犬種が誕生したかという説に関しては、メキシコのチワワ州で文明時代に人々が捕らえた小さな野生の犬を家畜化し、ビレッジドッグとして育てたからだと考えられています。
チワワの原種は、メキシコのトゥーラ遺跡に壁画が残る「テチチ」と呼ばれる小型の犬だとする説が有力です。
メキシコの山間部の村は日中と夜間の寒暖差が激しく、夜になると村人たちは懐に収まるサイズの犬を湯たんぽがわりに抱いて寝て、暖をとったのだとか。
そのために、小さい犬が適していたのです。
けれども、日中は村(ビレッジ)に見知らぬ来訪者が来ると、「誰か来ましたよ~」と吠えて知らせる番犬としての役割を果たしていました。
時代は変わり、チワワの愛らしさと評判がメキシコのみならずアメリカにまで伝わると、アメリカでミニチュア・ピンシャーの血も導入されて現在のような姿に品種が固定化されました。
ところがチワワの原産国はメキシコではなく、中国やヨーロッパであるとする説も存在し、実はその沿革は謎に包まれているのも事実です。
チワワの性格と特徴

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チワワが小さくても勇敢で、よく吠える特性を持っているのは、ビレッジドッグとして活躍していた歴史的背景から、容易に推測ができるでしょう。
ただ、そもそもの体の大きさが極小のため、それほど鳴き声は大きくありません。
また、日中は村で自由に過ごしていて、ダックスフントといった狩猟犬のようにいつも群れで行動していたわけではないため、独立心が比較的旺盛です。
なので、留守番の多い家庭でも一般的な気質を備えるチワワであれば問題は少ないかと思います。
チワワ元来の活発で意欲的な性格を考えれば、しつけもそれほどむずかしくないでしょう。
村に侵入してきた部外者や害獣を追い払う仕事を負っていたことから、一部、気の強さや攻撃性を備えているチワワも残っています。
その点は、少し注意しながら、もし愛犬がそのようなタイプであればドッグトレーナーに相談するなどして対策を講じましょう。
チワワには、短毛のスムースコートと長毛のロングコートという2種類の被毛タイプがあります。
毛色も大変豊富です。抜け毛に関しては、実はどちらも少ないとは言えません。
ダブルコートなので、春と秋に換毛期が訪れて、その時期は抜け毛が見られるでしょう。
旅行の際は、抜け毛の飛散量を抑えられるので洋服を着せておけば安心です。
チワワの理想体重は、1.5~3kg。体重が500g以下の極小チワワは、健康面で問題がある場合も少なくありません。
成犬でも500g以上は、犬種の健全性を審査する場でもあるドッグショーで許容はされますが、なるべく理想体重内に収まる健康な親犬から誕生した子犬を、入手するようにしたいものです。
チワワの平均寿命は?

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犬の寿命は、体のサイズが小さいほど長生きする傾向にあることが知られています。
チワワは超小型犬に属するので、寿命は長め。
日本にいる家庭犬の平均寿命は14歳ほどだと言われていますが、チワワの場合は、12~16歳が平均的な寿命と言えるでしょう。
なかには、17~19歳のチワワもSNSに登場しています。
小さいからと散歩に行かない生活では、ストレスが溜まって病気の原因に。
活発な性質を理解しつつ、毎日1回15~30分の散歩を理想的には1日2回行って充足感たっぷりの毎日を過ごしてもらい、健康な生活ができるよう気遣えば、きっと愛犬も長生きしてくれるに違いありません。
チワワのかかりやすい病気

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チワワは赤ちゃんの頃から、先天的に水頭症が見られる確率がほかの犬種に比べて高いことが知られています。
水頭症とは、脳脊髄液が増えて脳が圧迫されてしまい、神経症状が現れる病気です。
子犬の動きが鈍い、トイレやオスワリといった基本的なしつけをしようと思っても何も理解ができていないように感じる、歩行や動きがおかしいといった様子が見られたら、なるべく早く獣医師に相談をしてください。
チワワは“アップルヘッド”と呼ばれる、リンゴの形に似ている頭部を持っています。
この頭部の骨と骨のつなぎ目である泉門が開いていて、空洞があるのがチワワの骨格構造上の特徴のひとつ。
頭部を硬いものでぶつけたり、人が叩いたりすると大きなダメージを受けるので、注意しながら生活を。
骨が細いので、落下による骨折にも要注意。世界最小サイズの犬種ゆえ、ついついそっと抱っこをしてしまいがちですが、急にチワワが動いてしまうと地面に落ちる可能性も。
抱っこをする際は、落下しないように少し力を入れて包み込むようにしておきましょう。
チワワは呼吸器トラブルにも注意が必要です。とくに気管がつぶれて呼吸がしにくくなる、気管虚脱になりやすい傾向は高め。
チワワの狭い気管に負担をかけないように、散歩は首輪よりハーネスが適しているかもしれません。
呼吸器疾患は肥満がリスクを高めるので、愛犬を太らせないようにするのも大切です。
子犬期から、膝のお皿がはずれるパテラ(膝蓋骨脱臼)が見られるチワワもいます。
ワクチン接種やフィラリアの予防薬をもらいに動物病院を訪れるついでに、膝の触診を獣医師に依頼するのをオススメします。
フローリングなどの滑る床での生活や、ソファなどからジャンプして着地するのを習慣化させていると、パテラの発症リスクは高まります。
チワワが関節に負担のない生活環境を整えてあげましょう。
チワワの飼いやすさは?生活のヒント
チワワは活発で明朗な性格の犬種です。
サイズを考えると、鉄道での旅行もしやすく、飼い主さんとの楽しみを共有しやすいお出かけ向きの犬種だとは言えるでしょう。
一方でチワワはとても小さく、骨格構造上の問題などからケガなどをしやすいという点を考えると、小さな子供がいる家庭では飼いやすいとは言いにくいのも事実です。
被毛は保温性の高いダブルコートなので、シングルコートの犬種に比べると寒さに弱いわけではありません。
けれども、ブルブルと震えるなど寒がる様子を見せるスムースコートのチワワには、冬は防寒グッズを準備して散歩や旅行に行きましょう。
夏は、とくにロングコートのチワワは熱中症対策を忘れずに。
クールな感触を得られる通気性の良い洋服や、保冷剤を仕込めるバンダナなどのグッズを活用しつつ、高温多湿の日本の夏を乗り切れるように気を付けてあげてください。

夏の愛犬との散歩を安全&快適にする秘訣 アスファルトの温度、気温や湿度にも気をつけて
チワワの価格相場は?
チワワの価格は15~50万円。
めずらしいコートカラーのチワワは、価格が高めかもしれません。
まとめ

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世界最小の犬種とはいえ、中身は勇敢で活動的。
日々の散歩や遊び、トレーニングをとおして、飼い主さんとのコミュニケーションを深めつつ、チワワも飼い主さんもハッピーな日々を楽しんでくださいね!

チワワの子犬を迎えたら始めるしつけや飼い方。子犬を飼い始めてからのしつけで大事なのは遊び?

【ドックトレーナー監修】チワワの散歩の役割や必要な運動量、注意点について
監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)
・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました
…続きを読むライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui
フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。
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