【獣医師監修】感染力が高いジステンパーから愛犬を守ろう

ジステンパーは感染力が強く、致死率が高い病気です。 有効な治療薬がないので、予防をしっかりと行うのが重要。 病気とワクチンの接種方法について、ぜひ正しい知識を身につけておきましょう。

【獣医師監修】感染力が高いジステンパーから愛犬を守ろう
出典 : pixta_44522774

ジステンパーの原因

ジステンパーの原因

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ジステンパーはウイルス感染症です。
人のはしか(麻疹)に似たウイルスと考えられるイヌジステンパーウイルスが、犬やフェレットなどに感染するのが発症の原因。
狂犬病やレプトスピラ症などは動物から人間にうつる可能性がある人獣共通感染症ですが、ジステンパーウイルスはペットから人にはうつりません。

主な感染経路は、ジステンパーにかかった犬のくしゃみなどを浴びてしまう飛沫感染と、尿や目ヤニなどに触れてしまう直接感染のふたつ。
犬はよく足裏を舐めるので、散歩中に感染犬の尿を踏んでしまい、それを帰宅して舐めて感染するケースもあります。
ジステンパーウイルスは非常に伝染力が強いため、予防が重要です。

ジステンパーの初期症状から末期症状まで

ジステンパーの初期症状から末期症状まで

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犬の鼻や口から侵入したジステンパーウイルスは、全身に広がっていきます。
ウイルスに感染すると3~6日の潜伏期間を経て、食欲不振や発熱、元気がなくなるといった初期症状が出現します。
その後、高熱、嘔吐、下痢、血便、膿のような鼻汁、結膜炎などに伴う目ヤニ、咳、くしゃみなどが出現して、元気を消失します。
末期になり脳にまでジステンパーウイルスが及ぶと、異常行動やけいれんが見られ、下半身にまひなどを生じるケースも。こうした神経症状は、ジステンパーを発症した犬の2割ほどに現れます。

免疫力の高い成犬では、初期症状のみや、無症状のまま治ってしまうことがあります。
けれども抵抗力の弱い子犬や老犬がジステンパーウイルスに感染すると、致死率がかなり高くなるので要注意。

ジステンパーは、ウイルス検査によって確定診断を行います。
血液検査や症状などを見ながら診断を進めますが、症状は多岐にわたり、どのような症状が出るかは個体差があるので、最終的にはウイルス検査に頼らざるをえません。

飼い主さんは、もし下痢や嘔吐などが愛犬に見られる場合は、いつから始まったかと、血液が混じっていないかをメモして獣医師に伝えましょう。
高熱が出ている場合は、睡眠中でなくても鼻が乾きますので、自宅で愛犬の体温が測れない場合はよく観察しておいてください。

ジステンパーと診断された犬と同居のペットがいる場合は、ケージやドッグベッドなどをアルコール消毒したり洗濯したりしてウイルスを少しでも死滅させるように努めましょう。

ジステンパーの治療法

ジステンンパーの治療法

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ジステンパーウイルスに有効な薬は、現在のところありません。
ジステンパーの確定診断が出たら、隔離病棟に入院をして対症療法を受けることになるでしょう。
脱水症状を防ぐ補液をはじめ、整腸剤や利尿剤、神経症状がある場合にはそれらを抑える薬を用います。

また、抵抗力が落ちるとほかの感染症への二次感染も懸念されます。
そのため、抗生物質などの投与も必要になります。

ジステンパーは予防が肝心

ジステンンパーは予防が肝心

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ジステンパーは致死率の高い病気のため、ワクチンが開発されています。
ワクチンには、すべての犬が接種すべきだと考えられているコアワクチンと、補助的なノンコアワクチンに分類されています。
ジステンパー、パルボ、犬伝染性肝炎、狂犬病が、犬のコアワクチン。
狂犬病を除くコアワクチンは、3種混合(※製薬メーカーによっては細かく分類して4種以上の混合とするところもある)ワクチンとしてどの動物病院でも容易に接種が可能なので、定期的に接種しましょう。

生まれて最初にワクチンを接種させるのは、母体移行免疫を失う生後50~60日頃が理想的。
ただし、これは母体がワクチン接種などによってウイルスによる免疫を獲得していて、子犬が初乳を飲めた場合に限ります。
それが定かではない場合は、生後30日頃に初回、その約30日後に2回目のワクチンの接種を。
欧米では子犬の混合ワクチン接種は合計2回が主流ですが、日本では母体移行免疫が子犬の体内に残っていて初回のワクチンの効果が十分でなかったケースを想定して、2回目からさらに約30日後に、3回目のワクチンを打つケースもめずらしくありません。

ワクチン接種後、およそ2~3週間で抗体を獲得します。
成犬になったら、獣医師と相談のうえ1~3年に1回、追加でワクチンを接種していけば予防策は万全です。

たとえば、フィラリアの予防薬をもらいに行く時期に接種すると決めておけば、うっかり忘れを防ぎやすいかもしれません。

まとめ

まとめ

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ジステンパーは愛犬が死亡する危険性のある恐ろしい感染症です。
最大の対策は、ワクチンの定期接種。
とくに子犬で嘔吐や下痢が見られたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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