【獣医師監修】マダニによって引き起こる犬の病気と症状は?マダニに刺された時の対処法とは!

犬がマダニに刺されることで引き起こる病気や症状をご紹介。 マダニは犬の死因となりうる伝染病も媒介する恐ろしい害虫です。マダニを見つけても、無理に取ったり、潰してしまったりせず、動物病院で対処してもらいましょう。今回は、マダニを見つけた時の予防法や対処法をご紹介します。

【獣医師監修】マダニによって引き起こる犬の病気と症状は?マダニに刺された時の対処法とは!
出典 : pixta_44522774

犬のマダニ「マダニの特徴とつく場所・原因」

犬 マダニ 原因

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マダニは草木に潜み、寄生する動物が通りかかるのを待って飛び移ります。
山林や河川敷などに多く生息しますが、都市部でも公園や道路沿いの植え込みなどにいる可能性は低くありません。

ちなみにマダニは、ミミヒゼンダニ(いわゆる耳ダニ)や、人間の生活環境である布団や衣類などに付くチリダニといった微小ダニとは異なる種類です。

マダニが犬や猫に寄生した場合、耳の付け根、目のまわり、肛門周辺で見つけやすいでしょう。
もちろん、全身に寄生する可能性があります。
指と指の間に寄生して吸血されると犬は痛みを感じるので、脚をぴょんぴょんと上げながら歩くことも。
マダニの見つけ方は、むずかしくありません。
吸血前は2~4mmで、吸血をすると10mmほどの大きさに膨らみます。
大豆のようなものが愛犬の皮膚に食い込むようにして付着しているとしたら、マダニである可能性は大! けれども、発見しても飼い主さんがすぐに取ってはいけません。
無理に引っ張ると、愛犬や愛猫の体内にマダニの頭部だけが残って炎症を起こす恐れがあるからです。
さらには、病原菌を媒介している危険性があるので、潰さないように注意する必要もあります。
十分に血液を吸ったマダニは自ら口を放して落ちることもありますが、マダニが愛犬に付いているのを見つけたら、動物病院へ行って処置をしてもらいましょう。
もし飼い主さんがマダニを取ってしまった場合も、マダニの口器が残っていないか、診てもらうようにしてください。

犬のマダニ「マダニによる病気の症状」

犬 マダニ 原因 病気 症状

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マダニに数匹寄生されているだけでは、無症状のことも。
けれども、びっしりと多数寄生されていた場合は貧血になる犬もいます。
さらに、寄生されたマダニの数にかかわらず、唾液によるアレルギー性皮膚炎を起こすケースも少なくありません。
また、毒性の物質を唾液と一緒に分泌するマダニに吸血された場合は、神経障害が生じるダニ麻痺症になる可能性もあります。

マダニは人間と動物に共通する感染症を媒介することもあります。
以下が、主な共通感染症の種類と症状です。

バベシア症

 犬の症状:発熱、元気がない、貧血、黄疸など。重症例では嘔吐下痢、赤い尿が出るなどが見られ、急に死亡することも。
 人の症状:発熱、貧血、黄疸など。

ライム病

 犬の症状:成犬では無症状の場合もありますが、子犬や老犬では元気消失、発熱、関節炎、けいれんなど。
 人の症状:頭痛、倦怠感、発熱など。

日本紅斑熱

 犬は無症状。
 人の症状:頭痛、発熱、倦怠感など。重症の場合死亡することがあります。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

犬は無症状の場合が多いと言われていますが、2011年に発見された新しい感染症のため詳細は不明。
人の症状:主な症状は発熱、消化器症状。ほかに頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節の腫れが見られることもあり、2018年7月までに全国で368例が報告されたうち63名が死亡しています。
(参考:国立感染症研究所HP)

犬のマダニ「正しい駆除や退治方!」

マダニ 駆除 退治 方法

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マダニはついてしまっても、48時間以内に駆除ができれば、マダニ媒介性疾患の病原体の影響を受ける危険性はほとんどないと言われています。
マダニを駆除するのに、動物病院では即効性のあるスプレータイプの駆除薬を使用することが多いでしょう。

犬や猫にいるマダニの取り方をインターネットで検索すると、酢とアルコールを混ぜて浸したコットンをマダニの上に置くという方法がヒットするかと思います。
マダニは酢のにおいを嫌うので口器を放して取れたという経験談もあるようですが、すぐ取れるケースは、ほとんどないのでは? 数分~数十分そのままにしなければならないことや、そもそも犬や猫が酢のにおいを嫌がってじっとしていないことも考えられます。
また、逃げ出したマダニを見逃してしまう恐れもあり、獣医師としてはその方法は推奨していません。

犬のマダニ「治療法は?刺されたらどうする?」

マダニに 刺された 治療法

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マダニをペットの体に発見したり、飼い主さんが刺されたら、どうすればよいでしょうか。
ペットの場合はすぐに動物病院へ。
飼い主さんは、皮膚にマダニに噛まれた跡を発見することがあるかもしれません。
いずれにしても、愛犬や愛猫にマダニを発見したあとは、しばらく飼い主さん自身の体調の変化を気にしておいてください。
少しでも異変を感じたら、ペットの有無やマダニと接触したかもしれないことを伝えつつ、病院で受診を。
マダニが原因の感染症は、抗菌薬などによる治療が可能です。
ただし、現在のところSFTSに関しては対症療法のみで、有効な治療法は見つかっていません。

犬のマダニ「予防法と対策!」

マダニ 予防 対策

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マダニ対策で重要なのは、寄生されないように万全な予防策を講じることです。
マダニの吸血活動が活発化する時期は、春から秋にかけて。
この時期は、皮膚に垂らすスポットタイプの駆虫薬、おいしい味のついたおやつタイプの飲み薬などを定期的に投与してください。
月1回~3ヵ月に1回まで、薬により投与の頻度が異なるので、かかりつけの獣医師に相談しながら、飼い主さんが行いやすい方法を選ぶとよいでしょう。
スポットタイプの駆虫薬は、投与してから数日経てばシャンプーの影響を受けることはありません。
うっかり忘れず、定期的に駆虫薬を投与しておけば、万が一マダニに寄生されても、数時間~数十時間以内に駆除ができるので安心です。

森林や川など、自然豊富な場所に旅行に行く際は、飼い主さんも予防を怠らないように。
長袖長ズボンを着用し、首や足先が出ないように注意しましょう。
熱中症対策には、虫がつきにくい加工をしてあるインセクトシールドのメッシュタイプのウェアを着用するのもおすすめです。
マダニにも効果がある虫除けスプレーも持参して活用したいものです。

犬の「マダニ」まとめ

犬 マダニ まとめ

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マダニは、犬や人間の命を奪うこともある恐ろしい感染症を媒介しています。
とにかく適切な予防によって、マダニによる被害を遠ざけましょう。
もしマダニを発見しても、吸血しているマダニを引っ張って取ろうとすると、口先が動物の体内に残ってしまうので要注意。
寄生しているのを見つけたら、動物病院で対処してもらってください。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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