【獣医師監修】ゴールデン・レトリーバーと楽しい生活を

ゴールデン・レトリーバーは、海外では大型犬ではなく中型犬として扱われる国も多く、それほど大きくなく飼いやすい犬種です。フレンドリーな性格で吠えることも多くないので、旅のパートナーとしても最適。そんなゴールデン・レトリーバーの、歴史から性格、かかりやすい病気まで、幅広く紹介します。

【獣医師監修】ゴールデン・レトリーバーと楽しい生活を
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レトリーバーとは回収する犬のこと

レトリーバーとは回収する犬のこと

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レトリーバーと名のつく犬種は、水猟で活躍してきました。
猟師が撃ち落した水鳥を、川や湖や海に飛び込んで回収してくるというのが、多くのレトリーバーの役割です。

ゴールデン・レトリーバーの生みの親は、スコットランドのツイードマス卿。
ウェービーコーテッド・レトリーバーから誕生したイエローの子犬を基礎に、フラットコーテッド・レトリーバーやセッターなどの血も加えて、現在に近い姿に作り上げました。

ツイードマス卿の息子が1881年、愛犬のレトリーバーを連れて北米に渡ったことをきっかけに、アメリカやカナダでもこの黄金の長毛を輝かせるレトリーバーへの関心が高まったとか。
1931年にはイギリスのケネルクラブで、翌年にはアメリカン・ケネル・クラブでゴールデン・レトリーバーが公認犬種となりました。

イギリスの犬種標準ではゴールド系とクリーム系の色が認められていますが、アメリカの犬種標準ではゴールド系が理想とされています。
それも含めて、イギリス系とアメリカ系のゴールデン・レトリーバーでは少々タイプが異なる印象を持つかもしれません。
イギリス系のゴールデンは、“英ゴル”や“イングリッシュ・クリーム・ゴールデン”という異名で、日本では呼ばれていることもあります。

ラブラドール・レトリーバーとの明らかな違いは、ゴールデン・レトリーバーには短毛の犬がいないことです。
どちらもダブルコートを持つので、換毛期に抜け毛が増えるのは変わりありません。
もしゴールデン・レトリーバーと旅行をするのであれば、抜け毛の飛散予防のために洋服を着せておくとよいでしょう。

ゴールデン・レトリーバーの性格と特徴

ゴールデン・レトリーバーの性格と特徴

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ゴールデン・レトリーバーは泳いで獲物を回収する仕事を与えられていた犬種なので、水を見れば散歩中でも旅行中でも、すぐに飛び込みたくなってしまうかもしれません。
とにかく、水遊びが大好きです。
そんなゴールデン・レトリーバーとの旅行先は海や川を選んだり、ドッグプール付きのホテルやペンションに滞在するのがおすすめ。
ただし、流れのある海や川では泳ぎの達人であるゴールデン・レトリーバーと言えども危険を伴うので、必要に応じて犬用ライフジャケットを装着させるようにしましょう。

ゴールデン・レトリーバーの性格は温厚で、人との交流を強く求めます。
個体差があるので一概には言えませんが、ラブラドール・レトリーバーよりもゆったりと落ち着いた性格をしている犬が多いようです。
とはいえ、子犬期の社会化や基本的なトレーニングは、ゴールデン・レトリーバーにも不可欠。
フレンドリーな性格ですが、雑な育て方をしてしまうと、散歩中や旅先でほかの犬や人などに強く当たってしまう恐れがあるので要注意。

重い体重や強い噛む力をコントロールしながらソフトに遊べるよう、“犬の幼稚園”といった施設に通い、プロの導きのもとでほかの犬と適切に遊びながら社会化に取り組めれば安心です。
以前、ゴールデン・レトリーバーが赤ちゃんを噛むという事故(事件)が発生してニュースに広く取り上げられました。
レトリーバーは仕事柄、くわえる力がそもそも強いので、遊びの一環で噛んだつもりでも、赤ちゃんや小型犬にケガを負わせてしまうケースがないとは言い切れません。
噛む力の加減は、ぜひ学ばせておいてください。

ゴールデン・レトリーバーとの運動

ゴールデン・レトリーバーは、実はラブラドール・レトリーバーほど運動量を必要とはしません。
ラブラドールの半分~4分の1程度の運動量で満足すると考えられています。
その点では、ラブラドールよりも飼いやすいと言えるでしょう。
けれども、もとは作業犬で、人と一緒に働く意欲が高い犬種であることは事実。
毎日の散歩では、くわえて持ってこさせる作業意欲が満たせるよう、公園でロングリードにしてボール遊びをしたり、ドッグランなどで思い切り走らせてあげてください。

飼い主さんと一緒に何かをするのを喜びと感じる犬種なので、トレーニングやドッグダンスなどにも嬉々として取り組むに違いありません。
屋外飼育ではなく室内でともに過ごし、毎日のブラッシングついでに飼い主さんとのスキンシップを深めれば、ゴールデン・レトリーバーの毎日は充足感に満たされることでしょう。

ゴールデン・レトリーバーの平均寿命は?

一般的には小型犬よりも大型犬のほうが寿命が短くなります。
ゴールデン・レトリーバーの平均寿命は、10~14歳。

ただし、ゴールデン・レトリーバーの死因では悪性腫瘍(がん)がほかの犬種に比べて多くなっています。
悪性腫瘍が原因で、10歳前後で命を落とすゴールデン・レトリーバーもめずらしくありません。
6歳を過ぎたら定期的な健康診断を行い、悪性腫瘍の早期発見と早期治療に努めれば、ゴールデン・レトリーバーを長生きさせてあげられる確率は高まるでしょう。

ゴールデン・レトリーバーのかかりやすい病気

ゴールデン・レトリーバーのかかりやすい病気

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悪性腫瘍(がん)

ゴールデン・レトリーバーは、悪性腫瘍を発症しやすい犬種のひとつ。
とくに、大型犬特有のがんとして知られる骨肉腫、組織球肉腫などにかかりやすいことが知られています。
骨肉腫は、2歳前後からの発症もあるので注意が必要です。

いずれのがんも、抗がん剤による治療効果が認められているので、獣医師と相談のうえ、飼い主さんと愛犬にマッチする治療法を探っていってください。
ほかに、悪性リンパ腫、肥満細胞腫などを発症するゴールデン・レトリーバーもいます。

股関節形成不全(股異形成)

遺伝的な素因が関係すると考えられている、股関節形成不全。
ゴールデン・レトリーバーでも、以前から若齢での発症が多く見られましたが、近年は繁殖のコントロールによって股関節形成不全が認められるゴールデン・レトリーバーが減少傾向にあります。

ただし、滑りやすい床での生活や、成長期の過度な運動は発症の引き金になるので要注意。
足腰に負担がかからないよう、カーペットなどを敷いた環境で生活させるようにしましょう。
歩行の異常や、運動をしたがらないといった様子を見せたら、獣医師に相談を。

胃捻転

正式な病名は、胃拡張胃捻転症候群。

ゴールデン・レトリーバーに限らず大型犬は、胃が拡張して捻転を起こしやすい体の構造をしています。
発症後の処置が遅れると命を落とす危険性が高いので、軽く見てはいけません。
予防のために、食後や水をガブ飲みしてから2時間は、運動をさせないで休ませるのが理想的です。
早食いも発症リスクを高めるので、早食い防止食器などを活用するのがおすすめ。

最近は、避妊・去勢手術の際に予防的に“胃固定手術”をする飼い主さんも増えてきました。
腹腔鏡手術を選択すれば、侵襲が少なく愛犬への負担も減ります。
胃捻転を起こしてしまうと、吐きたそうにしているのに吐けない、ウロウロと不安そうな様子で動き回る、よだれを流すといった症状が現れます。
これらの様子が見られたら、胃捻転の可能性があることを電話等で伝え、すぐに緊急で動物病院に向かってください。

ゴールデン・レトリーバーの価格相場は?

ゴールデン・レトリーバーの価格相場は?

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ゴールデン・レトリーバーの価格は15~50万円ほどです。
イギリス系のゴールデン・レトリーバーは日本ではめずらしいため、価格が高いかと思います。
ゴールデン・レトリーバーを迎えるのであれば、ブリーダーに、股関節形成不全に関しては血統的に問題がないかを確認できれば安心です。

まとめ

人にもほかの犬にもやさしく温厚な性格から、セラピードッグやファシリティードッグとしても活躍している、ゴールデン・レトリーバー。
適切に社会化とトレーニングを行えば、どこへでも同伴できる最良のパートナードッグになることでしょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

・資格
獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト

・職業
獣医師
ペットスペース&アニマルクリニックまりも

・所属団体、学会
一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事)

・著書(一部)

[(link) "text": "最新版 愛犬の病気百科","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4092", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


[(link) "text": "愛犬をケガや病気から守る本","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4439", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


・職業上でのペットとの関わり
普段犬猫の診察をしています。
飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。

・飼っている動物
シーズー

・ペット歴
ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア)

・ペットへの想い
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。
愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています

・ペットに関するエピソード
シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。
2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。
動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。
犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

旅行誌の編集記者を経て、フリーに。
30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。
2007年から2017年まで東京都中央区で“犬の幼稚園Urban Paws”を経営し園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。
室内外で犬を多頭飼育していた祖父や獣医師の叔父の影響もあり、小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアを飼いながら、近所の野良猫への餌やりも欠かさない少女時代を過ごす。
現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしながら、「人と動物のよりよい関係」を願い、小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。
東京都中央区動物との共生推進員。

著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』
執筆歴:毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム(09年3月終了)、AllAbout「犬の健康」(09年10月終了)、『AERA(週刊誌)』(朝日新聞出版)、『BUHI(季刊誌)』(オークラ出版)、『フレンチブルドッグ生活の家計簿』※ライティング(オークラ出版)、『きみとさいごまで』※書籍に寄稿(オークラ出版) 、『愛犬をケガや病気から守る本』※編集(誠文堂新光社)、『最新版 愛犬の病気百科』※編集(誠文堂新光社)、ニッポン放送Webサイト「ペットと一緒に by臼井京音」※連載継続中 など

趣味:日本文学を専攻した大学時代から続けている旅行(30代まではバックパッカー旅行も多数)と読書。
20代後半にフリーになってすぐ夜間に2年間写真専門学校に通い始めてからは、世界の人と犬の関わりを撮影すること。
最近は育児に追われてそれらの趣味の時間を持てず、ママさんバレーボールが目下唯一の息抜き。

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