【獣医師監修】犬の寄生虫コクシジウムに感染したら? 予防法は?

コクシジウムは犬の消化器系に寄生する原虫です。 感染したら、どのような症状が出現するのか。治療法はあるか。 とくに子犬を迎えたばかりの飼い主さんは、知っておきたい知識です。

【獣医師監修】犬の寄生虫コクシジウムに感染したら? 予防法は?
出典 : pixta_55396190

コクシジウムとは

コクシジウムとは

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コクシジウムは、細胞1個で成り立っている原虫の一種です。
とても小さく、人間が肉眼で確認することはできません。

コクシジウム類と呼ばれる原虫には、多くの種類があります。
その中のイソスポラ類というグループに属する数種類の原虫は、犬や猫に寄生することがわかっています。
犬から猫に、猫から犬に同じ種類のイソスポラ類が感染することはありません。
ただし、寄生する宿主の体内環境がコクシジウムの繁殖に適していれば、細胞分裂によって増殖していくので注意が必要です。

コクシジウム(イソスポラ症)に感染したらどんな症状が出る?

コクシジウム(イソスポラ症)に感染したらどんな症状が出る?

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コクシジウムに感染して発症をすると、コクシジウム症やイソスポラ症などと呼ばれます。
すでにコクシジウムに感染している犬の便から排出されたコクシジウムを舐めたりして摂食する、コクシジウムの待機宿主となっている動物などを捕食するといった行為により、犬はコクシジウムに感染します。
やっかいなのは、成犬では感染していても症状が出ないこと。
そのため、ブリーダーの犬舎やペットショップなどの多数の犬がいる環境で、成犬の便から子犬へと感染が広がる危険性があります。

発症して症状が出るのは、主に生後数ヵ月以内の子犬です。
5~7日の潜伏期間を経て、水様性の下痢が始まります。
同時に食欲が減り、元気がなくなり、体重の低下が見られるでしょう。
軽度の発熱や、粘血便が生じるケースもあります。
感染から3週間以上が過ぎると、症状は改善されてきますが、抵抗力の弱い子犬がコクシジウム症にかかって衰弱すると、命を落とす恐れもあります。
とくに、免疫力が落ちた状態ではウイルスや細菌の二次感染を起こしやすくなり、コクシジウム症以外の感染症を併発した場合、重症化して死亡する危険性が高まるので、早期に発見して治療を開始しましょう。

コクシジウムの検査と診断方法

コクシジウムの検査と診断方法

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コクシジウムの感染が疑われて動物病院に行く際は、必ず愛犬の糞便を採って持参してください。
獣医師には、診察時に以下のことを伝えられるようにしましょう。

・下痢が始まった時期
・下痢の頻度
・子犬を迎えた場所とその環境
・ドッグランなど犬が多数出入りする場所を、1週間以内に訪れたかどうか
・食欲は落ちていないか
・下痢のほかにどんな症状があるか
・元気を消失していないか

問診によってコクシジウム症(イソスポラ症)が疑われた場合は、獣医師は糞便検査をして診断を下します。

なお、コクシジウムのひとつのグループであるクリプトスポリジウムに感染した場合は、発症をすることは少ないと考えられています。
クリプトスポリジウムに感染しても、免疫機能が正常な犬では自然治癒すると言われています。

コクシジウム症の治療法

コクシジウム症の治療法

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コクシジウム症(イソスポラ症)には、一般的にサルファ剤と呼ばれる薬物を用いて治療を行います。
完全に駆虫できるまで、数週間の投与が必要になるでしょう。
下痢や衰弱や貧血といった個別の症状による対症療法もあわせて行い、症状の改善と体力の回復をはかります。

コクシジウムの寄生は予防できる?

コクシジウムの寄生は予防できる?

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コクシジウムの寄生を予防できるワクチンはありません。
ただし、感染している犬がペットショップやブリーダーの犬舎にいたとしても、糞便を速やかに片づけるようにすれば、感染を防げる可能性が高くなります。
イソスポラ類は、糞便内に混じって排出された直後は未成熟の状態で、ほかの動物への感染力を持っていないからです。
同居動物がいる場合は、食器類やトイレの消毒も積極的に行い、なるべく飼育環境を衛生的に保ちましょう。

まとめ

まとめ

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コクシジウムは犬から猫や人間へは感染しません。
けれども、成犬がコクシジウムに感染していても無症状のまま糞便に排出され、比較的容易に犬から犬へと経口感染をするので要注意です。
子犬では重症化して、最悪の場合は死亡する危険性も。
愛犬に下痢が見られたら、早い段階で便を持参して受診をし、寄生虫の種類を特定する検査をうけたのち適切な治療を開始しましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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