【獣医師監修】鞭虫(べんちゅう)という寄生虫に愛犬が感染したら? 予防と対策は?

鞭虫と呼ばれる寄生虫に愛犬が感染すると、貧血や栄養失調になることがあるので注意が必要です。 鞭虫症の治療法や、予防法などをしっかりと頭に入れておきましょう。

【獣医師監修】鞭虫(べんちゅう)という寄生虫に愛犬が感染したら? 予防と対策は?
出典 : pixta_54357411

鞭虫とは

鞭虫とは

pixta_2064978

鞭虫は、主に盲腸に寄生します。
犬に寄生する鞭虫は、犬鞭虫と呼ばれて人間には感染しません。
鞭虫には多くの種類があり、猫に寄生する鞭虫類もいるようですが、日本には生息していないようです。

犬鞭虫は白色か乳白色で、成虫の全長は4~7cmほど。
体の前半部は細く、後半部は太いのも特徴のひとつ。

犬鞭虫は犬の体内で産卵を行います。レモンの形をした鞭虫の卵は、犬の便とともに外界に排出され、2~4週間をかけて卵の内部で幼虫を形成。
その幼虫形成卵を犬が経口的に体内に取り込むと、鞭虫への感染が成立することになります。

鞭虫(鞭虫症)に感染したらどんな症状が出る?

鞭虫(鞭虫症)に感染したらどんな症状が出る?

pixta_40103699

鞭虫に感染しても、少数にしか感染していなければ症状はほとんど現れません。
けれども、寄生される鞭虫の数が増えると、症状が見られるようになります。
軽症であれば、軟便や、排便の最後に血便が少量混じる程度でしょう。
重症化すると、下痢や粘血便が続くようになります。
さらに、痩せてきたり、腹痛のせいで元気がなくなったりしてくることも。貧血や脱水症状を招いて衰弱する恐れもあります。

犬鞭虫の検査と診断方法

犬鞭虫の検査と診断方法

pixta_25792040

犬鞭虫への感染にかかわらず、愛犬に下痢が続くようであれば早めに動物病院で受診をしましょう。
血が混じる粘液便を愛犬がしていたら、犬鞭虫への感染が疑われます。
獣医師には、診察時に以下のことを伝えてください。

下痢が始まった時期
下痢に血が混じっているか
下痢の頻度
・お腹を痛そうな様子を愛犬が見せているか
・ドッグランやオフ会など犬が多数いる場所を最近訪れたかどうか
・元気を消失していないか
・子犬であれば、犬を迎えた場所とその環境

診察に際して、愛犬の便を持参するようにしましょう。
問診や視診などをとおして、獣医師が犬鞭虫など寄生虫への感染の可能性があると判断した場合は、糞便検査をします。
糞便からは、鞭虫であれば虫卵が、その他の寄生虫との複合感染があれば、その種類によって成虫や幼虫などが見つかります。

鞭虫症の治療法

鞭虫症の治療法

pixta_54706837

鞭虫症でも症状が重くなければ、駆虫薬を投与して治療は完了します。
ほかの寄生虫との複合感染が認められるなど、症状が重い場合は、駆虫薬に加えて対症療法を行って愛犬の体力を回復させなければなりません。
栄養補給をはじめ、脱水症状への対処、貧血がひどい場合は輸血などを実施することがあります。

鞭虫の寄生は予防できる?

鞭虫の寄生は予防できる?

pixta_41886497

蚊が媒介するフィラリア、主にノミが媒介するサナダムシは、駆虫薬を定期的に投与することで寄生を予防することができます。
けれども、媒介役がなく、便に排出された卵を舐めたりして飲み込むことで感染する鞭虫に関しては、予防がむずかしいのが実際のところ。
鞭虫の成熟卵は、自然界では草の根元などで1年以上生きていると言われます。
そのため、愛犬には、なるべくほかの犬が排便をしたような草の上を歩かせたり、草を食べたりすることがないように気を付けてください。

鞭虫は乾燥に弱いので、ドッグベッドや毛布などを定期的に日光消毒をするとよいでしょう。
とくに多頭飼育をしている場合は、愛犬の便はすぐに片づけるようにして、食器や洋服などもこまめに洗うように。
さらには、掃除機を頻繁にかけて衛生的な環境を保つのも、寄生虫予防のためには重要です。

まとめ

まとめ

pixta_19476325

愛犬に寄生しても人間には感染はしない、犬鞭虫。
フィラリア同様、日本で鞭虫に寄生されている犬は年々減少しているようですが、多数の犬が生活するペットショップやブリーダーの犬舎などで感染が広がるケースもあるので油断は禁物。
感染すると、散歩中の排便によってほかの犬に感染を広げたり、同居犬にうつしたりする危険性もあります。
愛犬に下痢が見られたら、動物病院での診察を早期に受けるようにしましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

今週の「ライフスタイル」記事ランキング