【獣医師監修】スポーツ万能なボーダー・コリーと楽しい毎日を

運動神経も知能指数も、全犬種トップレベルのボーダー・コリー。体は大きくないけれど、アクティブな飼い主さんに向いている犬種です。 その特質やかかりやすい病気などのポイントをおさえて、ボーダー・コリーも家族も楽しい日々を送れるように心がけましょう。

【獣医師監修】スポーツ万能なボーダー・コリーと楽しい毎日を
出典 : pixta_49683316

スコットランドから世界へ広まった歴史

スコットランドから世界へ広まった歴史

pixta_54359974

ボーダー・コリーの原産国は、イギリス。
祖先犬は8~11世紀にバイキングによってイギリスに持ち込まれたという説が有力です。
主にスコットランドで小型の羊を扱う用途で、土着犬との交雑が行われ、19世紀に現在のボーダー・コリーに近い姿になったと言われています。
ボーダーとは国境や境界の意味で、当初はスコティッシュ・コリーと呼ばれていた犬種は、イングランドから見れば境界地帯の牧羊犬だったため、最終的にボーダー・コリーと命名されて登録されました。

その後、あらゆる牧羊犬の中でもボーダー・コリーが世界に広まったのは、その独特の性能からだと言えるでしょう。
羊に向かって吠えることなく、目で睨みをきかせて羊を威圧してコントロールするのが、ボーダー・コリー独特のスタイル。
しかも、身体能力と理解力の高さも群を抜いて高く、ハンドラーの遠隔操作で動けるのはもちろん、自分で状況を判断して行動できるのもボーダー・コリーの優れた資質です。

日本の牧場にも、1900年代初頭にオーストラリアやアメリカからボーダー・コリーが相次いで輸入されました。
化学繊維の普及によって日本で牧羊産業が衰退すると、ボーダー・コリーはドッグスポーツの名手として名を馳せるようになり、現在に至ります。

ボーダー・コリーの性格と特徴

ボーダー・コリーの性格と特徴

pixta_35202575

ボーダー・コリーの理想的な体高は53cmで、体重は20kg前後。
生粋の牧羊犬としての背景から、大変注意深い犬種です。
伏せに近い姿勢を保ちながら、忍び足で羊などに近づく“スニーク”と呼ばれる動きも特徴的です。
反射神経と高いジャンプ力から、羊の分厚い被毛を咬んで引っ張るという作業もこなせるため、ターゲットを咬んでコントロールをしたいという牧羊犬気質を残しているボーダー・コリーも少なくありません。
ボーダー・コリーは攻撃的な犬種ではありませんが、これらの動きは家庭犬として都市生活を送るボーダー・コリーでは問題になる場合があるので、動きを管理するためのしつけは必須です。

国際畜犬連盟(FCI)では、35種類の毛色が認められています。
メジャーなブラック&ホワイトのほか、茶色と白のツートンカラーであるチョコレート&ホワイト、ブラックとホワイトとレッドの3色が混じったトライカラーなどがあります。
グレーとブラックのまだら模様が印象的なブルーマールという毛色のみ、ブルーの目が認められ、ブルーとブラウンと左右で違う目の色を持つオッドアイが見られることもあります。
長毛とスムースの2種類の被毛があり、長毛とスムースを交配しても問題ありません。

ボーダー・コリーの耳は直立か半直立で、標準タイプとしては垂れ耳ではありません。
音に対する高い反応を見せ、耳がよく動くのもボーダー・コリーの特徴と言えるでしょう。

ボーダー・コリーの平均寿命は?

ボーダー・コリーの平均寿命は?

pixta_37112299

ボーダー・コリーは中型犬。
小型犬よりは一般的には寿命が短いとされ、平均的な寿命は11~15歳位でしょう。

ボーダー・コリーのかかりやすい病気

ボーダー・コリーのかかりやすい病気

pixta_40362320

ボーダー・コリーに注意が必要な病気は以下のとおりです。

・コリーアイ(コリー眼異常)

ボーダー・コリーやコリーやシェットランド・シープドッグなど特定の犬種に見られる目の異常です。
先天的に、脈絡膜の形成不全、視神経の形成不全などを持っている状態を指します。
視神経の形成不全や視神経乳頭の欠損といった異常を持って生まれた場合、目が見えません。
脈絡膜の形成不全の場合は視覚はありますが、コリーアイの根本治療はできないのが現状です。
コリーアイで両目が見えないケースは多くありません。
けれども、子犬を一般家庭に譲る前に眼底検査をしているブリーダーもいるので、遺伝病の管理をしているブリーダーのもとで生まれたボーダー・コリーを手に入れるようにしたいものです。

・関節疾患

ボーダー・コリーは俊敏な動きが可能で、キック力も強い脚力自慢の犬種。
そのため、運動中の前十字靱帯断裂など関節疾患には要注意です。
ブリーダーの繁殖努力で近年は数が減っていますが、遺伝的な要素も関係があるとされる股関節形成不全にかかるボーダー・コリーもいます。
日常的には、滑らない床での生活がマスト。
シニア期に入ったら、関節への負荷を減らすため過度な運動は控えるのが無難でしょう。
ワクチン接種の際などに、定期的に関節を獣医師にチェックしてもらうように心がけましょう。

・結石症

ボーダー・コリーは、尿路結石や膀胱結石などに比較的かかりやすい犬種です。
排尿を我慢すると結石症のリスクが高くなるので、日常生活や旅行中など、こまめにトイレに連れて行ってあげたり、「ワンツー」などの排泄を促す合図を覚えさせると良いでしょう。
結石症だと診断されれば、食事療法や、重症の場合は手術によって治療を行います。

・腫瘍

ボーダー・コリーには、腫瘍がしばしば見られます。
良性も悪性もあるため、ブラッシングついでに愛犬の体表に、歯磨きの時には口腔内に異常がないかをチェックする習慣をつけてください。
シニア期以降は、レントゲンや超音波による健康診断を受け、腫瘍の早期発見に努めましょう。

ボーダー・コリーの心身を健康に保つには

ボーダー・コリーの心身を健康に保つには

pixta_32499736

広い牧場を動き回っていた犬種なので、豊富な運動量が必要です。
といっても、ボーダー・コリーはいくら長い時間を費やしても、ただ歩くだけの散歩では満足してくれないでしょう。
牧場でなくても、動くものを追いたいという欲求を満たしてあげるため、ドッグランなどでボールやディスクで遊ぶのがおすすめです。
量に加えて、散歩タイムでは質も高めてください。

室内では、頭脳プレーで作業意欲を満足させてあげましょう。
物の名前をあれこれ覚えさせ、「リモコン」と合図をしたらそれを運んでくるなどの高度なトレーニングも、世界一賢い犬種として知られるボーダー・コリーならば覚えられるはず。
ワーカホリックな犬種なので、ストレスなくボーダー・コリーが過ごせるように、ぜひ様々な仕事を提供してあげてください。

ボーダー・コリーは本来与えられた仕事の一環として、群れをまとめようとする性質を持っています。
そのため、突発的な動きを見せる、人間の赤ちゃんや幼児の動きをコントロールしようとして咬んだりするケースがあるようです。
ボーダー・コリーは決して悪気があってやっているのではありませんが、本能的な動きをコントロールできるようにしつける自信がないようであれば、赤ちゃんや子供がいる家庭には少々不向きかもしれません。
豊富な運動と脳トレが必要であることを考慮すると、ボーダー・コリーのために多くの時間を割ける飼い主さんが、ボーダー・コリーの心身を健やかに保つにはベストだと言えます。

退屈すると家具の破壊や誤飲をする恐れもあるので、子犬期や若犬期のボーダー・コリーを留守番させる際は、部屋のスペースを区切ったりサークルに入れるなどして予防策を講じましょう。

ボーダー・コリーとの旅行での必須アイテム

ボーダー・コリーとの旅行での必須アイテム

pixta_55523812

ボーダー・コリーは抜け毛が多い犬種。抜け毛の飛散量を減らせる洋服は、旅行の必須アイテムです。
スムースコートならばラバーブラシ、ロングコートならばスリッカーブラシやピンブラシ、コームも持参して、旅先での汚れや抜け毛をこまめに落としたいものです。

ボーダー・コリーは、日常的に見慣れない野生動物などを追って、旅先で失踪してしまうケースもあります。
飼い主さんのもとにすぐ駆けつけられるように、ふだんから呼び戻しをマスターさせておくのはもちろん、飼い主さんは旅先ではリードをしっかり持つことと、必要に応じてハーネスと首輪の両方を装着させてダブルリードにしてください。
首輪には、迷子札を付けておくのも忘れずに。

ボーダー・コリーの価格相場は?

ボーダー・コリーの価格相場は?

pixta_49628843

ボーダー・コリーの価格は15~45万円。
めずらしい毛色であったり、ドッグスポーツやドッグショーで優勝経験のある親犬の子犬であると、値段が高い傾向にあります。

まとめ

まとめ

pixta_4620330

ボーダー・コリーは、頭と体を使うことが大好き。
アクティブな飼い主さんと、ドッグスポーツや旅行にと、刺激的な日々を過ごせればきっとハッピーな毎日が過ごせるでしょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

・資格
獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト

・職業
獣医師
ペットスペース&アニマルクリニックまりも

・所属団体、学会
一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事)

・著書(一部)

[(link) "text": "最新版 愛犬の病気百科","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4092", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


[(link) "text": "愛犬をケガや病気から守る本","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4439", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


・職業上でのペットとの関わり
普段犬猫の診察をしています。
飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。

・飼っている動物
シーズー

・ペット歴
ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア)

・ペットへの想い
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。
愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています

・ペットに関するエピソード
シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。
2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。
動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。
犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

「ライフスタイル」の人気記事RANKING