【獣医師監修】犬の寄生虫トリコモナスに感染したら? 予防法は?

トリコモナスという寄生虫に感染したら、どのような症状が愛犬に出現するのでしょうか? ジアルジアと同じく小腸に寄生する原虫であるトリコモナスについて、飼い主さんは念のため知っておきたいものです。

【獣医師監修】犬の寄生虫トリコモナスに感染したら? 予防法は?
出典 : pixta_18297948

トリコモナスとは

トリコモナスとは

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トリコモナスは、細胞1個で成り立っている原虫の一種。
原虫は原生動物と呼ばれるようなタイプの生物で、細胞分裂によって数が増えて行くのが特徴です。
寄生した宿主の体内で繁殖しやすい条件になると、どんどん増殖していくので注意しなければなりません。

トリコモナスは原虫の中でも、鞭毛虫類というグループに属しています。
犬や猫やハムスターなどのほか、人間にも寄生します。
ただ、犬や猫などから人間に感染する確率は低いと考えられています。
なお、人間の膣トリコモナス症を引き起こすトリコモナスと、犬や猫の腸トリコモナス症の原因となるトリコモナスは異なる原虫で、相互感染は成立しないとされています。

ジアルジアよりも発生頻度は少ないトリコモナスですが、日本各地に分布していて、多くの動物が飼育されているブリーダーの犬舎、ペットショップ、動物の保護施設などで感染が見られることがあります。

トリコモナスは、人の肉眼では確認できません。
トリコモナスには、洋梨のような形をした栄養型と呼ばれる形態だけが存在します。
ジアルジアには、栄養型のほかにシスト(耐久型)という形態も存在しますが、トリコモナスは栄養型が宿主となる動物への感染源となっています。

腸トリコモナス症になると出る症状は?

腸トリコモナス症になると出る症状は?

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トリコモナスは小腸に寄生するため、感染すると腸トリコモナス症と呼ばれます。
単独感染では、症状が出ないケースもめずらしくありません。けれども、ジアルジアなどとの混合感染をすると、下痢の症状が現れます。
成犬では無症状であっても、抵抗力の弱い子犬では下痢による脱水症状、元気消失、栄養失調などに注意が必要です。

ただし、ジアルジアのように耐久性のあるシストを作らないため、同居している犬にしか感染を広げる可能性はありません。
それが、ジアルジアよりも発生頻度が低い理由と言えるでしょう。

トリコモナスの検査と診断方法

トリコモナスの検査と診断方法

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粘液性や血様の下痢が見られ、腸トリコモナス症やジアルジア症が疑われる場合、飼い主さんは新鮮な糞便を持参して動物病院を訪れるようにしてください。
獣医師には、以下のことを伝えられるように用意してくことも大切です。

・下痢がスタートした時期
・子犬を迎えた場所とその環境(保護施設や、同居犬の多いブリーダー犬舎など)
・下痢のほかにどんな症状があるか
・元気があるか
・食欲はあるか

問診をして獣医師が寄生虫による感染症を疑った場合は、便の中からトリコモナスなどの原虫類がいるかを検査します。
トリコモナス感染のみの場合は症状が出ないこともあるので、獣医師は必ず、ジアルジアなどほかの寄生虫への感染があるかどうかも確認することになるはずです。
トリコモナスは鞭毛を動かして運動するので、糞便を生理食塩水で希釈して顕微鏡で観察する直接法という検査を行います。
ただ、トリコモナスはかなり小さく顕微鏡で見落とす可能性があることと、ほかの寄生虫への感染の有無を調べるため、検査キットや外注検査を利用して、確実な診断を行う動物病院が多いでしょう。

腸トリコモナス症の治療法

腸トリコモナス症の治療法

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腸トリコモナス症の治療では、駆虫薬を使ってトリコモナスを死滅させます。
ジアルジアも駆虫できる、メトロニダゾール(フラジール)といった薬を、1日2回、1週間程度続けて感染犬に投与させるのが一般的です。
メトロニダゾールには、嘔吐や下痢などの副作用が出現する場合があります。
薬の副作用で下痢が続いていると判断されれば、別の薬が処方されるケースもあるでしょう。
下痢がなかなかおさまらないときは、飼い主さんの判断で投薬を中止せず、早めに獣医師に相談してください。

トリコモナスの予防法は?

トリコモナスの予防法は?

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トリコモナスの寄生を予防できる薬やワクチンはありません。
トリコモナスに限らず、寄生虫に感染しないためには、すでに感染している犬と接触させないのが重要です。
原虫類は不衛生な環境で見られることが多いので、なるべく衛生的に保っているペットショップやブリーダーなどから子犬を迎えるようにしましょう。
もし多頭飼育をしていてトリコモナスに感染した犬が出た場合は、同居犬に感染させないように、生活環境を3%台のクレゾール溶液で消毒すると、ある程度の効果が期待できます。

まとめ

まとめ

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トリコモナスはジアルジアに比べれば、発生頻度や感染率が高くはありません。
けれども、ジアルジアなどの寄生虫との複合感染で主に子犬に下痢の症状が現れるので、飼い主さんは愛犬の便の様子を日頃からよく見ておいてください。
下痢が何回か続くようであれば、なるべく早く獣医師の診察を受けましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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