【獣医師監修】温厚なシー・ズーと旅や日常生活を充実させる秘訣

性格も動きもおっとりしていて、赤ちゃんのいる家庭からシニアまで、幅広い年代層に人気の犬種であるシー・ズー。 飼いやすい室内犬ですが、気になる病気や生活上の注意点などはあるのでしょうか? 中国王朝やイギリス王室で愛されてきた歴史とともに、シー・ズーの魅力にも迫っていきます。

【獣医師監修】温厚なシー・ズーと旅や日常生活を充実させる秘訣
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チベットがシー・ズーの発祥の地?

チベットがシー・ズーの発祥の地?

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シー・ズーは、チベットから唐の時代の中国宮廷に貢物として送られた、ライオンドッグと呼ばれる犬が原型だと伝えられています。
その後、清末期の権力者であった西太后がこのライオンドッグを愛し、紫禁城内で数を増やしながら、現在のシー・ズーに近い犬種に作り上げたと言われています。
清朝が中国革命により崩壊すると、紫禁城にいたシー・ズーのほとんどが殺されましたが生き残ったシー・ズーはヨーロッパに渡り、イギリス王室やノルウェー王室に持ち込まれました。

イギリスではペキニーズなどの血を導入しながら、現在の姿に改良されていったと言います。
シー・ズーの姿に気品を感じるのは、長らく貴族の抱き犬として寵愛を受けてきたからにほかなりません。

シー・ズーの性格と特徴

シー・ズーの性格と特徴

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シー・ズーはとても柔和でフレンドリーな性格です。
一方で、貴族の抱き犬としての長い歴史の中で培われたのか、プライドが高めで頑固な面も持ち合わせているかもしれません。
飼いやすい犬種の代表格だからと油断せず、グルーミングや歯磨きなどの日常のケアがスムーズにできるように、成犬になるまでの間に社会化や基本的なトレーニングは行っておきたいものです。

シー・ズーの標準体重は4.5~8.1kgで、理想とされる体高は26.7cmまで。
細すぎず、安定感があることも飼いやすい理由のひとつと言えるでしょう。

バリエーションが豊富な毛色も、魅力のひとつ。
日本では、ゴールド&ホワイトやブラック&ホワイトなどのパーティカラー(2色の毛色)がポピュラーですが、海外ではソリッド(単色)を目にすることもめずらしくありません。
ソリッドには、ブラック、ブラウン、ゴールドなどがあり、ブラウンは顔の部分が黒っぽいので“ブラックマスク”という異名も持ちます。

シー・ズーの平均寿命は?

シー・ズーの平均寿命は?

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小型犬であるシー・ズーの寿命は、比較的長め。
12~15歳位が平均的な寿命と考えられます。

シー・ズーのかかりやすい病気

シー・ズーのかかりやすい病気

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短頭種で垂れ耳のシー・ズーには、注意が必要な病気がいくつかあります。

・皮膚病

皮膚が脂っぽくなりやすい脂漏体質のシー・ズーは、皮膚病にかかりやすいことが知られています。
なかでも罹患率が高いのが、脂漏症。
飼い主さんは、愛犬の体臭が強いことで気づくケースもあるでしょう。
ほかに、フケ、脱毛、皮膚のベタつきなども見られます。
主に、脂漏症用のシャンプー療法によって治療します。
脂漏症が悪化すると、二次的にマラセチア皮膚炎や膿皮症を招く恐れもあります。
真菌の一種であるマラセチアの増殖が原因で発症するのが、マラセチア皮膚炎。
指の間、口周り、脇の下や股の間など、皮膚が重なり合う部分に発症しやすいのが特徴です。
耳道でマラセチアが増えると外耳炎の原因になります。
マラセチアは油脂を好むので、抗菌シャンプーを使って患部を清潔に保つのが重要です。
膿皮症は、ブドウ球菌の細菌感染によって生じます。
赤い発疹やドーナツ状に拡がった発疹やフケが特徴的で、悪化すると皮膚が黒く色素沈着を起こしたり、脱毛したりします。
抗菌作用のあるシャンプー療法とともに、必要に応じて抗生物質を投与しての治療が行われます。

・外耳炎

シー・ズーは外耳炎になりやすい犬種です。
外耳の炎症が進行すると、耳ダレや出血が起こり、痛みのせいで顔を触ろうとすると攻撃性を見せるケースもあります。
愛犬の耳をこまめにチェックして、汚れがひどかったり、体臭が強いと感じたら、なるべく早く動物病院を受診してください。
獣医師は洗浄液を使って耳道内の汚れを取り除いたのち、点耳薬と、マラセチアやブドウ球菌が耳道内で認められれば、抗生物質や抗真菌剤を用いての治療を行います。

・眼病

短頭種で目が大きいシー・ズーは、眼病に注意しなければなりません。
眼球突出、角膜炎や結膜炎などを生じる危険性があるので、目をぶつけたり傷つけたりしないように、飼い主さんは日常の生活で気をつけましょう。
シー・ズーの白内障は、若齢から発症する例も少なくありません。
水晶体が白濁する病気ですが、治療せず放置しておくと緑内障や網膜剥離といった合併症に進展する恐れや、視覚を失う可能性があります。
若年性白内障の場合は、愛犬の生活の質を保つためにも、高額にはなりますが、獣医眼科での外科手術も治療の選択肢のひとつとして検討したいものです。

シー・ズーとの快適生活のポイント

シー・ズーとの快適生活のポイント

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シー・ズーはとにかく飼いやすくて、飼い主さんも“育犬ストレス”を抱えにくい犬種です。
とはいえ、主に健康管理の面で心得ておきたいポイントがあります。
ひとつは、日々のグルーミングが重要だということ。
もともと乾燥地帯にルーツがあるシー・ズーは、日本の高温多湿な環境で過ごすと皮膚トラブルを生じやすいので、毎日のブラッシングによって抜け毛を取り除き、通気性を良好に保って皮膚の新陳代謝を促してあげてください。
顔周りはコーム(櫛)を使って手入れをするのが秘訣。
食べ物のカスや目ヤニが原因で雑菌が繁殖しやすい環境を、作らないようにしましょう。
目ヤニは手でつまんで取ると皮膚にダメージを与える心配があるため、ノミ取り用コームを使って目ヤニの塊を取り除くのがコツ。
水に濡らしたガーゼなどで、涙が溜まりやすい部分をぬぐうようにもしましょう。
旅行にも、愛犬のグルーミンググッズは忘れずに持参を。
旅先でも、ブラッシングや顔周りのケアは欠かせません。

飼い主さんがスムーズに、愛犬にはストレスなくグルーミングが行えるよう、子犬の頃からどこを触られても大丈夫になるように練習しておいてください。
子犬におやつをあげながらブラッシングや目の周辺を拭いたりをすれば、ブラシや飼い主さんの手がきっと大好きになるはず。
毛玉になりやすいお腹や脚の付け根をブラッシングするには、仰向けに抱っこする必要があります。
まずは子犬が嫌がらないレベルから、おやつを使ったり飼い主さんがやさしく触ったりしながら、子犬を仰向け抱っこに慣らしていきましょう。

もうひとつのポイントは、短頭種なので熱中症に注意すること。
柔和な性格で旅のパートナーにもぴったりですが、高温多湿な環境では熱中症にかかりやすくなります。
散歩や旅行には熱中症対策グッズをそろえて持参し、予防に努めてください。

シー・ズーの価格相場は?

シー・ズーの価格相場は?

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シー・ズーの価格は、15~45万円と、毛色や血統により差があります。
流行犬種なので乱繁殖された結果、遺伝性疾患を抱えていたり、健康状態が良くない子犬もいます。
価格で選ぶのではなく、なるべく親犬の健康管理に気遣っているブリーダーのもとで生まれた子犬を迎えるようにしたいものです。

シー・ズー「まとめ」

まとめ

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グルーミングを日課にすれば抜け毛も多くなく、独立心も備えているので留守番も上手で、吠えることも比較的少ないなど、生活や旅行のパートナーとしてシー・ズーは最良です。
お気に入りの毛色のシー・ズーを迎えて、楽しく快適な毎日を過ごしてくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

・資格
獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト

・職業
獣医師
ペットスペース&アニマルクリニックまりも

・所属団体、学会
一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事)

・著書(一部)

[(link) "text": "最新版 愛犬の病気百科","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4092", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


[(link) "text": "愛犬をケガや病気から守る本","url": "http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4439", "target": "_blank"]
著者名: 愛犬の友編集部 編


・職業上でのペットとの関わり
普段犬猫の診察をしています。
飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。

・飼っている動物
シーズー

・ペット歴
ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア)

・ペットへの想い
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。
愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています

・ペットに関するエピソード
シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。
2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。
動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。
犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

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