【獣医師監修】優雅な大型犬ボルゾイとの健康的で楽しい暮らしを!

優雅な外見も魅力のボルゾイ。俊足で活発な大型犬で、上級者向けの犬種と言えます。ボルゾイの歴史や俊足の秘密から、注意したい病気、一緒に旅をする際のポイントなどを知っておきましょう。

【獣医師監修】優雅な大型犬ボルゾイとの健康的で楽しい暮らしを!
出典 : pixta_30544303

ボルゾイの歴史

ボルゾイの歴史ボルゾイの歴史

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ボルゾイは9世紀以上の歴史を持つ、ロシア原産の犬種。
ロシアン・ウルフハウンドと呼ばれていた時代があり、ロシア貴族が興じるオオカミ猟に使われていました。
視覚(サイト)を使って猟をするタイプのサイトハウンドの一種。
動体視力が良く、細い頭部と顔のおかげで馬のように広い視野を持ちます。
馬に乗った猟師が到着するまでの間に、速い足でオオカミを捕らえて押さえつけておく役割を担っていました。

11世紀のフランスの年代記によると、フランスのアンリ一世のもとに嫁いだ、キエフ大公の娘のアンナ・イアロスラバ女史がボルゾイ3頭を護衛犬として伴っていたと伝えられています。
19世紀末頃からは、ヨーロッパやアメリカでもその高貴な外観から人気を得るようになったようです。
1936年、ボルゾイという正式な名称で世界に知られることになりました。

ボルゾイの性格と特徴

ボルゾイの性格と特徴

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オオカミ狩りのための犬種だったと聞いて怖いと感じるかもしれませんが、普段のボルゾイはとても穏やかで、静かに過ごしています。
赤ちゃんがいる家庭でも、安心できる性格だと言えるでしょう。
独立心が強いので、独りになってもさびしがって吠えることもなく、留守番も心配ありません。
ただし、家庭犬としての難点は、屋外で小動物や獣を見るや否や興奮して追いかけようとするところ。
視力も良いため、飼い主さんより先に動物に気づくと、リードを振り切って走って行ってしまう危険性もあります。
外出時や旅先では、しっかりとリードを握って気を抜かないようにしましょう。

サイズ、毛色と毛質

サイズ、毛色と毛質

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ボルゾイの成犬の体高は、オスで75~85cm、68~78cmが理想です。
同じサイトハウンドであるアフガン・ハウンドとほとんど同じ大きさですが、アフガン・ハウンドのほうが一般的には少し小さいでしょう。
シルキーで柔らかな被毛が、ボルゾイの優雅な雰囲気を際立たせています。
ボディの被毛はかなり長く、ウェービー。子犬の頃はやや短毛ですが、成長に従って長毛になっていきます。
毛色は、白、黒、グレーなどの単色、ホワイト&レッド、ホワイト&レモン、ホワイトとレッドとブラックなどのトライカラー(3色の組み合わせ)など多種多様。
ただし、ブラウン(チョコレート)とブルーの色調は犬種標準では認められていません。

ボルゾイの平均寿命は?

ボルゾイの平均寿命は?

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日本の家庭犬の平均寿命は、約14歳と言われており、サイズ別では小型犬がもっとも長生きすると考えられています。
超大型犬のボルゾイの寿命は、8~11歳ほどです。

ボルゾイのかかりやすい病気

ボルゾイのかかりやすい病気

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ボルゾイは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・胃捻転

正式な病名は、胃拡張胃捻転症候群。
ボルゾイは胸が大変深いという骨格構成上の特徴から、胃が拡張して捻転を起こしやすいので注意が必要です。
発症後の処置が遅れると命を落とす危険性もあるので初期症状を見逃さないようにしましょう。
胃捻転を起こしてしまうと、不安そうな様子で室内をウロウロする、吐きたそうにしているのに吐けない、よだれを流すといった症状が現れます。
このような様子が見られたら、胃捻転の可能性があることを動物病院に電話等で伝え、すぐに病院に向かってください。
予防のために重要なのは、食後や水をガブ飲みしたあと最低でも1時間、理想的には2時間は運動をさせないで休ませること。
早食いも発症リスクを高めるので、早食い防止食器などを活用するのがおすすめです。
予防的に外科手術を行うことも可能です。
避妊・去勢手術の際に“胃固定手術”をする飼い主さんも近年では少なくありません。
避妊・去勢手術と同様に腹腔鏡手術を選択すれば、侵襲が少なく愛犬への心身の負担が減ります。

・眼疾患

ボルゾイは、非加齢性白内障(若年性白内障と呼ばれることもあります)と、進行性網膜萎縮症(PRA)を遺伝的な素因で発症する可能性があります。
非加齢性の白内障は、加齢による白内障よりも症状の進行が速いのが特徴。
なるべく早期に発見できるようにしたいものです。
ワクチン接種などの際、動物病院で定期的に眼のチェックを実施してもらってください。
白内障の治療には、病気の進行を遅らせる点眼薬のほか、人間同様に外科手術による治療も効果があります。
PRAは進行性の眼疾患で、最終的には視覚を失います。
外科手術もできず、完治はさせられません。
PRAを発症した場合、目薬によって病気を管理することになります。

・外耳炎

ボルゾイは外耳炎になりやすい傾向にあります。
外耳炎は初期のうちに洗浄を行い、点耳薬による治療を開始して悪化を防ぐのが重要です。
早期に発見できるよう、とくに高温多湿の時期は耳の汚れが増えていないか、耳から悪臭がしないかどうかをこまめにチェックするようにしましょう。

毎日の生活や旅行時のポイント

毎日の生活や旅行時のポイント

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ボルゾイは運動欲求が高く、毎日1~2時間は散歩が必要です。
欲求不満になると、破壊行動や過剰な吠えなどでストレスを発散しようとするので、ボルゾイの毎日が充実する量の運動を提供してあげてください。
ドッグランで思い切り走らせてあげたり、ドッグスポーツを一緒に楽しむのも良いでしょう。
旅行に伴うのであれば、広々としたドッグランを持っているような宿泊先が最適です。
旅行中は、抜け毛対策も万全に。
ボルゾイはアンダーコートとトップコートを備えるダブルコートの長毛種です。
特に春と秋の換毛期には抜け毛が多くなるので、週に4~5回のブラッシングは必須。
旅先にも使い慣れた大型犬用のブラシを持参して、抜け毛をこまめに取り除いてください。
抜け毛の飛散量を抑えるために、宿泊施設などでは洋服を着せるのもおすすめです。
夏の旅行では、サマーカットにしておくのも抜け毛対策と熱中症対策のひとつになります。
ただし、皮膚が露出するほどのサマーカットは、逆に皮膚のバリア機能を損ねたり、体が熱をダイレクトに受けてしまい熱中症リスクを高めるため、ほどほどにしておきましょう。

ボルゾイの価格相場は?

ボルゾイの価格相場は?

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ボルゾイの価格相場は、10~35万円。
ドッグショーでチャンピオンを獲得した親犬の直子などは、価格が高い傾向にあります。

まとめ

まとめ

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気品あふれる外貌と、大型犬ながら俊敏さが魅力のボルゾイ。
飼い主さんの指示にしっかりと耳を傾けてくれるようにトレーニングをして、豊富な運動量を提供してあげれば、良き家庭犬になってくれるでしょう。
ドッグスポーツや旅のパートナーとして、アクティブに楽しい日々が過ごせるはずです。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

・資格
獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト

・職業
獣医師
ペットスペース&アニマルクリニックまりも

・所属団体、学会
一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事)

・著書(一部)

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著者名: 愛犬の友編集部 編


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著者名: 愛犬の友編集部 編


・職業上でのペットとの関わり
普段犬猫の診察をしています。
飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。

・飼っている動物
シーズー

・ペット歴
ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア)

・ペットへの想い
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。
愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています

・ペットに関するエピソード
シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。
2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。
動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。
犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

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