【獣医師監修】活発で愛くるしいミニチュア・ピンシャーとのびのび暮らす秘訣

ミニピンの略称でも親しまれる小型犬、ミニチュア・ピンシャー。スリムな体が生み出す軽やかな動きや明るい性格で、人々を魅了しています。そんなミニチュア・ピンシャーと楽しく暮らす秘訣から、かかりやすい病気、歴史まで幅広く知っておきましょう。

【獣医師監修】活発で愛くるしいミニチュア・ピンシャーとのびのび暮らす秘訣
出典 : pixta_54022059

ミニチュア・ピンシャーの歴史

ミニチュア・ピンシャーの歴史

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ミニチュア・ピンシャーは、1895年にドイツでピンシャー・クラブが設立したことで広く知られるようになりました。
ミニチュア・ピンシャーの歴史はさらに古く、オランダと交易をしていた18世紀中頃から19世紀中頃にかけての日本に、ミニチュア・ピンシャーの祖先と思われる小型のピンシャーが渡来していたとも言われています。
ピンシェル(英語の発音でピンシャー)とは、ドイツ語でテリアという意味です。
ミニチュア・ピンシャーが小型なのは、イギリス原産の小型テリア種と同様、ネズミなどの小動物を駆除する役割を担っていたからに違いありません。
ドイツでは当時、小鹿を意味するレイ・ピンシャーとも呼ばれて親しまれていたそうです。
ミニチュア・ピンシャーの成り立ちには様々な説がありますが、有力なのは、ヘル・ピンシェルという中型のピンシャーを小型化したというもの。
ドーベルマンとよく似た外観をしているのは、ドーベルマンも同じヘル・ピンシェルから大型化された犬種だと考えられているからです。
アメリカで1929年にミニチュア・ピンシャー・クラブが設立されると、愛玩犬としてアメリカで一躍人気犬種に躍り出て、日本に1960年代から多く輸入されるようになりました。
現在、原産国のドイツでは使役犬グループに属し、ツヴォルク・ピンシャーと呼ばれています。

ミニチュア・ピンシャーのサイズや被毛など、身体的な特徴

ミニチュア・ピンシャーのサイズや被毛など、身体的な特徴

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ミニチュア・ピンシャーは小鹿を意味するレイ・ピンシャーと呼ばれていたとおり、細くて適度な長さのある四肢と、しなやかさを感じさせる快活さが魅力です。
大きさは、理想体高が25~30cm、理想体重が4~6kg。
コンパクトで筋肉質なボディが特徴です。
かつては断耳と断尾をする犬種でしたが、現在では動物愛護の観点からヨーロッパ各国をはじめ、断耳と断尾を禁じる国が多くなり、垂れ耳でしっぽの長いミニチュア・ピンシャーも日本で増えてきました。
断耳をしない場合、自然に立ち耳になったり、根元は立ち上がっていて中ほどあたりから垂れたりと、個体差があります。
毛色は、レッド、ブラック&タン、チョコレート&タン(通称チョコタン)の3種類のカラーバリエーションがあります。
ブラック&タンは、レッドまたは茶色の斑のある黒漆色で、ミニチュア・ピンシャーの被毛はなめらかで光沢があるため、黒の部分が光線や角度によってグレーっぽく見えることもあるでしょう。

ミニチュア・ピンシャーとの快適生活のコツ

ミニチュア・ピンシャーとの快適生活のコツ

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ミニチュア・ピンシャーは、飼いやすさで考えれば小型犬の中ではやや上級者向きと言えるでしょう。
害獣駆除の仕事をしていた歴史的背景から動くものを見ると興奮しやすく、ジャンプ力もあり動きが機敏なので、少し油断すると盗み食いをするなど、イタズラに苦労することがあるかもしれません。
また、少し神経質な部分があり、刺激があると吠え続けることもあるでしょう。
特に、活発な若年期は大変だったと語る飼い主さんも少なくありません。
ミニチュア・ピンシャーを迎えたら、しつけは必須と言えます。
子犬期は、あらゆる刺激に慣れる“社会化”に力を入れることが大切です。
刺激に対して警戒心を抱かずいられれば、吠えることも少なくなります。
また、チャイムやサイレンなどの音で吠えなくなれば、飼い主さんも愛犬の鳴き声を心配せずに留守番させられるようになるでしょう。
社会化は、パピーパーティなどに参加してドッグトレーナーに適切な方法を教えてもらったり、犬の幼稚園と呼ばれるような施設に通わせたりして行うのがおすすめです。
適切に社会化ができれば、一緒にお出かけする際に飼い主さんもぐっと安心感が増すでしょう。
ミニチュア・ピンシャーは活発な犬種なので、運動欲求も高め。
小型犬だからと少ない運動量ではストレスを抱えてしまい、吠える、噛むといった問題行動が増えがちに。
毎日、可能な限り2回ほど散歩に行ってあげましょう。
ただ歩くだけでなく、走ったりボール遊びをするなどのバリエーション豊富な運動を提供してあげれば、愛犬の満足度もアップします。

ミニチュア・ピンシャーの平均寿命は?

ミニチュア・ピンシャーの平均寿命は?

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日本の家庭犬の平均寿命は約14歳で、サイズ別では小型犬がもっとも長生きすると考えられています。
ミニチュア・ピンシャーの平均的な寿命は12~16歳ほどです。

ミニチュア・ピンシャーのかかりやすい病気

ミニチュア・ピンシャーのかかりやすい病気

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ミニチュア・ピンシャーは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・皮膚疾患

ミニチュア・ピンシャーは皮膚病にかかりやすい犬種です。
若齢から発症するアレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎は、動物病院を訪れるたびに獣医師にチェックしてもらい早期治療を開始したいものです。
アレルギー体質のミニチュア・ピンシャーの場合、春や秋などになると花粉症のように花粉がアレルゲンとなって皮膚炎が生じるケースもめずらしくありません。
また、脱毛症にかかるミニチュア・ピンシャーもいます。
遺伝的な素因によると言われる脱毛ですが、気になる場合は獣医師と相談しながら対処法を検討してください。

・眼疾患

ミニチュア・ピンシャーは、白内障、緑内障、進行性網膜萎縮(PRA)などの眼病に注意が必要です。
白内障は若年性白内障や非加齢性白内障などと呼ばれる、若齢から発症するものもあります。
進行が速いのが特徴で、処置が遅れると失明する危険性も高まります。
飼い主さんが肉眼で水晶体の白濁に気づいた時にはかなり進行しているケースもあるので、若齢期から、なるべくこまめに動物病院で眼をチェックしてもらいましょう。
若齢で白内障になった場合、QOL(生活の質)の低下を防ぐために、外科手術による治療を選択する飼い主さんも近年では増えています。
様々な要因で緑内障を発症するミニチュア・ピンシャーも少なくありません。
緑内障は眼圧が高くなる病気で、ミニチュア・ピンシャーは痛みを覚えるので早期に発見して治療をしてあげてください。
眼圧を下げる薬を使用しての内科療法のほか、近年では外科治療の技術も進歩してきました。
遺伝的な眼病である進行性網膜萎縮症(PRA)は、生後半年位の若年から4歳位で発症します。
初期症状は暗い場所が見えにくくなる夜盲症で、発症してから2~4年ほどで失明に至るのが一般的な進行過程。
残念ながら根本治療はできない眼病ですが、現状維持や進行を少しでも遅らせるために、早期に発見して内科治療を早くから行えるように努めましょう。

ミニチュア・ピンシャーとの旅行の秘訣

ミニチュア・ピンシャーとの旅行の秘訣

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ミニチュア・ピンシャーは陽気で明るく、好奇心が旺盛。
旅先では、うれしすぎてリードをぐいぐい引っ張る可能性も高くなります。
また、ミニチュア・ピンシャーは外出先での失踪が起きやすい犬種と考えられます。
旅行の時は首輪とハーネスを併用するダブルリードにしたりして、脱走を防ぐように気をつけましょう。
首輪には、飼い主さんの名前と電話番号を記載した迷子札を装着しておくのも忘れずに。
暑さには比較的強い犬種ですが、黒い被毛は日光を受けて熱くなってしまいます。
冷感ウェアなどを着せて、快適に外出できるように工夫してあげてください。
短毛の犬種なので、寒さは苦手。
秋から冬にかけては、防寒ウェアは必須です。
寒いところに長く滞在したあとは、耳や足先などの冷えやすい部分をマッサージしたりして、温めてあげましょう。
シングルコートの犬種ですが、ほかのシングルコートの犬種に比べて抜け毛は多め。
飲食店や宿などの室内であっても、抜け毛の飛散を軽減させるために洋服を着せておけば、マナー面でも万全です。

ミニチュア・ピンシャーの価格相場は?

ミニチュア・ピンシャーの価格相場は?

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ミニチュア・ピンシャーの価格相場は、15~50万円ほど。
ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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ミニチュア・ピンシャーはドーベルマンにも似た凛々しさと、小鹿のような愛らしさが魅力。
活発で陽気なミニチュア・ピンシャーとならば、心弾む旅の喜びをたっぷり共有できることでしょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野
麻布大学獣医学部獣医学科

・資格
獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト

・職業
獣医師
ペットスペース&アニマルクリニックまりも

・所属団体、学会
一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事)

・著書(一部)

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著者名: 愛犬の友編集部 編


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著者名: 愛犬の友編集部 編


・職業上でのペットとの関わり
普段犬猫の診察をしています。
飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。

・飼っている動物
シーズー

・ペット歴
ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア)

・ペットへの想い
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。
愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています

・ペットに関するエピソード
シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。
2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。
動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。
犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。
旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

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