【獣医師監修】個性派ブルドッグと、穏やかゆったりライフ

鼻ぺちゃのシワシワ顔と、ずんぐりとした体型が印象的なブルドッグ。それほど運動は必要なく、吠えることも少ないので、体調管理さえ行えば飼いやすい犬種です。かかりやすい病気や飼い方の秘訣などを知って、ブルドッグとゆったりライフを満喫しましょう。

【獣医師監修】個性派ブルドッグと、穏やかゆったりライフ
出典 : pixta_49799539

ブルドッグの歴史

ブルドッグの歴史

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ブルドッグがなぜ鼻ぺちゃでシワの多い顔をしているかは、歴史的な背景が教えてくれます。
ブルドッグはかつて原産国のイギリスで、ブルベイティング(雄牛と犬を闘わせる見世物)で使用されていました。
牛に咬みついている間でも呼吸がしやすいように鼻ぺちゃに改良され、牛に攻撃された際に顔や体を守るために皮膚にたるみを持たされたのです。
ブルベイティングが動物虐待だとして禁止されると、攻撃的で恐れ知らずなブルドッグは減り、赤ちゃんとも仲良くできる穏やかな家庭犬として変化を遂げていきました。
現在はイギリスの国犬としても知られ、個性的な見た目と愛情深い性格で世界中の人々を虜にしています。

ブルドッグのサイズや被毛など、身体的な特徴

ブルドッグのサイズや被毛など、身体的な特徴

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ブルドッグの成犬の理想体重は、オスが25kg、メスが23kg。
毛色は種類が豊富です。
まず単色か、ブラックのマスクかブラックのマズルを持つ単色である「スマット」があります。
単色の場合は、レッド、フォーン、ブリンドル、ファロー(淡黄色)など。
ホワイトと前記いずれかの色の組み合わせである「パイド」もあります。
ボディはがっしりしていて、四肢は頑丈で筋肉が発達しているのもブルドッグの特徴です。
近縁の犬種で立ち耳のフレンチ・ブルドッグとは違い、ブルドッグの耳はローズイヤーと呼ばれる垂れ耳です。

ブルドッグの平均寿命は?

ブルドッグの平均寿命は?

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日本の家庭犬の平均寿命は14歳です。
ブルドッグは中型犬ですが、超大型犬に匹敵するほど寿命は短く、平均寿命は8~10歳と考えられています。

ブルドッグのかかりやすい病気

ブルドッグのかかりやすい病気

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ブルドッグは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・短頭種気道症候群

短頭種であるブルドッグは、気道が狭いという生まれつきの身体的特徴を備えています。
そのために引き起こされる、短頭種気道症候群に注意してください。
軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)、外鼻孔狭窄(がいびこうきょうさく)、喉頭虚脱(いんとうきょだつ)、気管低形成などが単独または複数で起こるのが、短頭種気道症候群です。
子犬の頃から、呼吸をする際に音がする、睡眠中のいびきをかく、口を開けて荒い呼吸をすることが多い、運動をすると舌の色が紫っぽくなるといった様子が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
避妊・去勢手術の際に、軟口蓋過長症や外鼻孔狭窄の外科治療を行えるからです。
呼吸器周辺の筋肉が衰えてくる老犬期は、病状が悪化し、麻酔をかけての手術リスクも上がります。
呼吸器疾患の手術は、若齢期に実施するのが理想的です。

・外耳炎

垂れ耳のブルドッグは、外耳炎を発症しやすいので注意が必要です。
短毛なのでブラッシングの頻度は少ないかと思いますが、愛犬の耳をこまめにチェックしてあげてください。
耳の臭いや汚れが気になる場合は、動物病院で早めに診察を受けましょう。
獣医師による洗浄と点耳薬による治療で、早期に治療するのが重要です。

・皮膚疾患

ブルドッグはパグなどと同様に、顔や体にシワが多いという特徴上、皮膚に汚れが溜まりやすく皮膚疾患を発症しやすい犬種です。
もともとアレルギー体質で、アレルギー性皮膚炎を生じやすいブルドッグも少なくありません。
アレルギー性の皮膚炎を疑って動物病院を受診すると、血液検査やその他の検査によってアレルゲンを特定したのち、食事療法や対症療法を選択することになるでしょう。
ブドウ球菌の細菌感染によって生じる膿皮症のほか、シワとシワの間に汚れが溜まり通気性が悪くなってマラセチアが増殖すると、マラセチア皮膚炎にかかる可能性もあります。
シャンプーのしすぎは皮膚のバリア機能を損なうので注意が必要ですが、定期的なシャンプーやグルーミングと、日常的にシワとシワの間を固く絞った濡れタオルなどで拭くといった手入れを徹底し、皮膚を衛生的に保つように心がけましょう。

ブルドッグとの旅行のコツ

ブルドッグとの旅行のコツ

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ブルドッグはあまり吠えず、物おじしない性格で、ほかの人や犬にもフレンドリー。
それほど運動欲求も高くないので、旅先で興味のあるものを見つけてダッシュで脱走してしまう危険性もありません。
旅のパートナーとしては理想的な犬種だと言えるでしょう。
けれども、注意点があります。
それは、短頭種ゆえに熱中症にかかりやすいこと。
春から秋にかけては、ブルドッグとの外出時には保冷剤を仕込めるバンダナ、冷感ウェアを持参や装着させて、熱中症対策を万全に。
こまめな水分補給も忘れずに行いましょう。
高温だけでなく、気温が低くても多湿な環境でも熱中症の発症率がアップするので、梅雨の時期の同伴旅行には最大限の注意が必要です。
多くの航空会社では、夏期は短頭種の搭乗ができないため、もし飛行機を利用しての旅行を検討している場合は事前に確認をしましょう。
ブルドッグは短毛の犬種ですが、抜け毛が少なくありません。
寒がりではありませんが、外出時には洋服を着せて抜け毛の飛散量を抑えれば、マナー面で飼い主もまわりの人も安心して過ごせるでしょう。

ブルドッグの生活の工夫点

ブルドッグの生活の工夫点

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短頭種気道症候群を抱えているブルドッグのために、なるべくエアコンを活用してあげてください。
暑い季節、扇風機を使っても湿度は下がりません。
ブルドッグの呼吸器のためには、扇風機ではなくエアコンで湿度を下げるのがベスト。
除湿モードでなくても、冷房を使用するだけでブルドッグに快適な湿度まで下がります。
夜間の就寝中や留守番をさせる間も、高温多湿の日は必ず冷房の利用を。
呼吸器への負担を減らすために、普段の散歩では首輪ではなくハーネスを装着しましょう。

ブルドッグの価格相場は?

ブルドッグの価格相場は?

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飼育頭数がそれほど多くないブルドッグの価格相場は、20~50万円。
一般的には、ドッグショーでチャンピオンになった親犬の直子などが高額になります。

まとめ

まとめ

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少々いかつい顔にも見えますが、性格はやさしいブルドッグ。
おっとりしているので、旅行に連れて行っても一緒にのんびりと過ごせるに違いありません。
熱中症には細心の注意を払いつつ、ブルドッグと穏やかな時間を楽しんでください。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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