【ドッグトレーナー監修】犬にストレスを感じさせない正しい撫で方(触り方)は?愛犬が喜ぶポイントを紹介

犬を飼っている人も飼っていない人も、犬が好きな人は「犬を撫でたい、犬と触れ合いたい」と思うことは多いはず。しかし犬を撫でようとしたら嫌がられたり、逃げられてしまったり…という経験がある人もいると思います。なぜ嫌がられてしまったのか?犬が好むポイントと好まないポイントを知って、犬と上手にコミュニケーションを図りましょう!

【ドッグトレーナー監修】犬にストレスを感じさせない正しい撫で方(触り方)は?愛犬が喜ぶポイントを紹介
出典 : pixta_46030966

犬が撫でられたくない時・撫でてもらいたい時

犬が撫でられたくない時・撫でてもらいたい時

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一言に犬といっても犬種の特性や個性があるため、「どんな人にでも撫でてもらいたい」と思う犬もいれば、「飼い主さんだけにしか撫でられたくない」と思う犬もいます。

また、普段から撫でられたり触られたりすることが好きだと思っている犬でも、「今はちょっと…」と好まない時があります。
例えば、ご飯を食べている時や眠っている時など。
犬によっては食事中に手を出すことで、「ご飯を取られるかもしれない」と思い急いで飲み込んでしまったり、ご飯を守ろうと唸ることもあります。
また、寝ている時も過度に撫でられたり触られると犬は安心して休むことが出来ないため、唸ったり噛みついたりといった抵抗をすることもあります。

一方、犬が撫でられたり触られることを好む時は、犬が「撫でて!」と寄ってくる時です。
寝起きやお留守番の後など、飼い主さんとしばらく離れて寂しい思いをしたあとは、積極的に触れ合ったり触られることを望んでいます。
また、飼い主さんがリラックスしている時に、ひざの上などに乗ってきて、撫でられることをリクエストしてくる犬もいます。
このように犬が自ら撫でられたり触られることを好むようなしぐさが見られた時は、優しくたくさん撫でてあげ、「もういいよ。ありがとう。」と離れていったらいったん終了しましょう。

麻布大学で行われた研究では、飼い主が犬にマッサージ(撫でるなどのスキンシップ)を行うと、犬の体内で幸せホルモンとして有名な「オキシトシン」が上昇することがわかっています。

しかし、犬が望んでいない時に人の都合で「無理に撫でる」ことは、幸せに感じるどころかストレスに感じてしまいます。
人と同じように、犬も状況によっては触られたり撫でられたりすることを好ましくないと感じるため、愛犬が今どんな気持ちでいるかを察し、愛犬に余計なストレスを与えないようにしましょう。
犬に不安や不快な思いをさせないように接してあげれば、咬傷トラブルなどを防ぐことに繋がり、飼い主さんと犬の絆も深まっていきます。

犬が撫でられて嬉しい場所と注意点

犬が撫でられて嬉しい場所と注意点

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犬が撫でて欲しくて自ら近づいてきた場合も、ただ撫でてあげれば喜ぶか、というとそうではありません。
犬が撫でて欲しい場所・撫でられると心地いい場所は次の通りです。

【犬が撫でられたい場所】
・耳の後ろ
・首周り
・背中
・身体の横
・顎の下 など

撫でられたら嬉しい場所であっても、撫で方には注意が必要です。
犬は100センチより近い距離にはっきりと焦点を合わせることが出来ないため、あまり近い位置で激しく手を動かされると不安に感じてしまいます。
そのため、顔の周りをワシャワシャと激しく撫でることはやめましょう。
また、犬は上から覆いかぶさられるような人の動きにも不安を感じます。
そのため、立った状態で前かがみになって犬の頭の上から手を出すことはせず、座ったりしゃがんだりして姿勢を低くし、撫でる手も上からではなく下からゆっくり出して、毛並みにそって優しく撫でてあげましょう。

犬が撫でられたくない場所とポイント

犬が撫でられたくない場所とポイント

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犬にとって撫でられて嬉しい場所があるように、あまり撫でられたくない(触られたくない)場所もあります。
一般的に犬が撫でられるのを好まない場所は次の通りです。

【撫でられたくない(触られたくない)場所】
・足(特に足先や指の間の水かき部分)
・お腹
・尻尾
・目の周り
・口周り(口の中)
・耳の中

撫でられたくない場所というのは、犬に限らずその動物にとって弱い部分(急所)や神経が密集している敏感なところです。
そのため、犬自身がリラックスして、自らお腹を出して撫でて欲しいとアピールする時以外は、撫でられることを嫌います。

犬が撫でられたくない場所とポイント

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しかし、上にあげたような場所は、トリミングサロンや病院などのケアや健康チェック時にはどうしても触られる場所です。
そのため、日ごろから触られることに慣らしていないと、いざ触らなくてはいけなくなった時に強いストレスを感じたり、場合によっては噛み付いて逃れようとすることも。
犬にとって本来は触られたくない場所を理解したうえで、子犬の頃から触られることに慣らすトレーニングをしておくことが大切です。

初対面の人から撫でられる時の注意点

初対面の人から撫でられる時の注意点

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来客や散歩中、新しい人と出会うこともあります。
そんな時、1番大切なことは「愛犬の気持ちを汲んであげる」ことです。
間違った対応をしてしまうと、犬にストレスがかかるだけでなく、相手に怪我をさせてしまうこともあります。

犬は恐怖や興奮(喜び・警戒)している時や、突然の出来事に驚いた時には予期せぬ行動をすることがあります。
吠え、噛み付き、唸る、飛びつき、パニックになるなど、場合によってはそういった犬の行動によって事故や怪我が発生してしまいます。
最悪の場合、損害賠償責任を求められることも。
そうならないためにも、気を付けるべきポイントを抑えて愛犬に嫌な思いをさせないようにしましょう。

【気を付けるポイント】

初対面の人から撫でられる時の注意点

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1.「愛犬の性格を理解する」
犬によって性格は違います。
人が好きな犬もいれば、苦手な犬もいます。
人が苦手な犬にとって、初対面の人から撫でられる(触られる)というのはとても怖い状況で、些細な出来事でもさらに人嫌いになってしまうことがあります。

2.「ボディーランゲージを読み取る」
ボディーランゲージというのは、非言語コミュニケーションのこと。
犬の身体の動きから気持ちを読み取ります。
尻尾や耳、姿勢でその他、目や息づかいなどからも読み取ることができます。
初対面の人を目の前にして、尻尾が下がっていたり、耳が後ろに倒れていたりする場合は恐怖や緊張を感じている状態ですので、無理強いすることは避けましょう。

また、「尻尾を振っているから喜んでいる」と決めつけるのは危険です。
犬は興奮している時に尻尾を振るので、嬉しいときだけでなく、警戒して興奮している時にも尻尾を振ります。
そんな時に、知らない人が急に触ろうとすると、びっくりして相手を噛んでしまうこともあります。

3.「相手の人に接し方を伝える」
初対面の人に愛犬を触ってもらう時には、犬に恐怖心や不安感を抱かせないように触り方を伝えてあげましょう。
犬の目を見つめないようにしながら姿勢を低くし、手を犬の顔より下の位置からゆっくり出してもらいましょう。
手を犬の前に出したところで、犬から匂いを嗅ぎに行ったり、特に気にしないようなら優しく撫でてもらいましょう。
しかし、手を出された時に不安や緊張を示すボディーランゲージが見られたり、その場から逃げるようしぐさが見られたら無理に触ってもらわず、相手の人に「怖がっているみたいなのですみません。」と伝えることも必要です。

4.「突然触ろうとしてくる人に要注意」 
散歩中、子供など突然犬に駆け寄って触ろうとしてくることもあります。
子供が苦手な犬は多いですし、子供でなくても突然知らない人から触られることで驚いて反射的に防衛行動をとってしまうこともあるため注意が必要です。
予測できる場合には、距離をとって歩いたり道を変えて回避してあげましょう。
とっさの時には、飼い主さんが愛犬とその人との間に立ったり、抱き上げるなどして愛犬を守ってあげてください。

犬種による特徴

人から撫でられることに対して好きか嫌いかというのは、犬の性格やその時の気分、また犬種の特性によっても違いが生じます。

いわゆる「ペット」として品種改良されてきた、トイプードルやヨークシャーテリア、マルチーズなどは「人のそばにいたい」といった愛着欲求が高いため、撫でられることが好きな子が多いです。

反対に、柴犬や秋田犬、ハスキーなど遺伝子的にオオカミに近い犬種は警戒心が強いため、あまり人から触れられることを好まない傾向があります。
また、コーギーやシェパード、ビーグルなど使役犬として身体能力を重視されて改良されてきた犬種というのは、撫でられるよりも体を使って人と何かのやり取りをすることを好む傾向があります。

まとめ

まとめ

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犬と人は触れ合うことで相互に良い影響をもたらしますが、それはお互いの気持ちが一致した時です。
一方的に気持ちを押し付けてしまうのは、人間社会でもよく思われないですよね。

「飼い主さんに撫でられるのは好き、でも知らない人は嫌」「首周りや背中を撫でられるのは好きだけれど、足先や口の中は触られたくない」など、愛犬の性格をよく知り、今はどんな状態(気分でいるのか)なのかをしっかりと見てあげましょう。
そして、必要があれば触られることに慣らしてあげたり、時には犬の気持ちを尊重して触りたくても触らないでそっとしてあげる我慢の気持ちも大切になります。

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監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions (ALS)代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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ライタープロフィール

長根 あかり Akari Nagane

長根 あかり Akari Nagane

・学歴:帝京科学大学 (生命環境学部 アニマルサイエンス学科) ・ライター歴:2年 ・過去の執筆履歴:ペトこと 『楽しく教える犬のしつけ』『犬と寝るって幸せ』など ・飼っている犬種:雑種 「幼少期から動物が好きで将来は動物に携わる仕事がしたいと夢見ていた。 高校、大学と動植物について学び、大学2年の時に初めての犬に「保護犬」を迎える。 愛犬と共に行動学やアニマルセラピーについて学び、OPDES公認ドッグトレーナー資格、動物介在教育アドバイザー認定資格を取得。 現在は、自身の経験から保護犬についての相談や家庭犬のしつけ・トレーニングについてフリーで行っている。」

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