【ドッグトレーナー監修】犬の感覚世界 犬ってどんなふうに音が聞こえているの?

愛犬との生活の中で、「何に反応しているの?」「なんで怖がるの?」といった疑問を持つことも。 大切な愛犬の気持ちを理解するには、外からの刺激をどのように感じているのか理解する必要があります。 今回は「犬が聞こえる音」に注目し、「ヒトとは異なる音の聞こえ方」や、「犬が嫌がる音の種類や慣らし方」について解説します。

【ドッグトレーナー監修】犬の感覚世界 犬ってどんなふうに音が聞こえているの?
出典 : pixta_59350091

犬の聴力

人の可聴域(聞こえる音の周波数の範囲)が16~20,000Hz(ヘルツ)なのに対し、犬の周波数は65~50,000Hzといわれています。
周波数が高いほど高音として聞こえますが、犬は人間が聞くことが出来ない高周波の音(超音波)まで聞くことが出来ます。

このような犬の聴力を利用した道具として犬笛があります。
犬笛は約30,000Hzの周波数なので人には聞こえない音ですが、犬には聞き取ることが出来るため、周囲の人間には気づかれずに犬に指示を出すことが出来ます。

このように、犬は普段から人が聞こえない音を聞いて生活しています。
特にマンションなどの集合住宅の場合では、「エレベーターの音」「壁の中や天井などの排水管を流れる水の音」「廊下での足音や話し声」など、私達では聞こえない多くの音に囲まれて生活しているのです。
「犬は何もないところを見て突然吠えたりするから霊が見えている」といった声を聞きますが、これもおそらく壁の中や扉の向こう側の、人では聞き取れない「音」を聞いて反応しているのだと思われます。

最近では室内飼いが増えたためあまり見かける機会は減りましたが、特に外で飼われている犬は、救急車や消防車のサイレンの音を聞くと遠吠えすることがあります。
その理由としては、遠吠えの周波数とサイレンの周波数が近いため、サイレンの音に同調して遠吠えをしていると考えられています。

また、高い音や聞きなれない音を犬に聞かせると、キョトンとした顔をして、首を左右にかしげることがありますが、これは首の位置を微妙に変えて耳の角度を変えることで、聞こえる音源を正確にキャッチしようとしている行動です。

犬が嫌いな怖がる音

犬が嫌いな怖がる音

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一般的に、
·「雷」や「花火」といったお腹に響くような強い振動を伴う音
·「金属音」などの高音
·「トラックやバスなどのエンジン音」
などの音を怖がる犬は多くいます。

また、
·家の外から聞こえる人や犬の声など
·散歩中暗闇から聞こえてくる人や犬の声
などの音は警戒しやすい傾向があります。

嫌な経験によって怖くなることも

嫌な経験によって怖くなることも

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犬は「刺激」と「その後の出来事」を関連付けて覚えることが多く、飼い主さんが知らないうちに学習が進んでいるということはよくあることです。

例えば、ドライヤーや掃除機の音。
ドライヤーは勢いよく風が出ますし、掃除機はすごい音を立てながら動きます。
ドライヤーの勢いのよい風を嫌う犬は多く、シャンプーの後に無理やりドライヤーを当てられる経験をするとドライヤーの音を聞くだけで怯えるようになります(性格など個体差があり、慣れてしまう犬もいます)。

掃除機をかける時、犬の反応を面白がってわざと犬に向かって動かすなど、恐怖心を煽るようなことをすればドライヤー同様に「音を聞いただけ」もしくは音が出る前の「掃除機を見る」という段階で逃げ出してしまう子もいます。

その他、インターホンやチャイムの音も同じことが言えます。
犬にとって宅配の人や見慣れない来客は、自分の縄張りに侵入してくる不審者と認識して警戒心を持ちます。
そのため、これらの来訪者が来た際に、犬は自分の縄張りを守ろうとして本能的に吠えます。
そして、

1)玄関にお客さんが来た
2)怖いから(警戒して)から吠える
3)知らない人がいなくなる

といった経験を積んでいくことで、
·来客が来た時の警戒心とインターホンやバイクの音を結びつける
·吠えれば縄張りから来客を追い返すことが出来る
と学習するので、来客時に激しく吠えるようになってしまうのです。

様々な音を怖がらないようにするために予防

様々な音を怖がらないようにするために予防

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人との生活の中で受ける様々な刺激に慣らすためには、社会化期と呼ばれる生後3週齢から12週齢の間にどれだけ色々な経験をしたかが重要になってきます。
この時期に、テレビの放送やCD、スマートフォンなどを利用して、外の世界の音(雷、花火、金属音、工事の音など)を聞かせ、慣れさせたり、実際に散歩に連れて行って町中の様々な音を聞かせることで、音に対して過剰な恐怖反応を抑えることができます。

この時の注意点として、上記で挙げたような「犬が怖がりそうな対象」には絶対に無理やり近づけないようにしてください。
一度怖い思いをしてしまうと音に慣れさせるどころか、トラウマとなる可能性もあります。

学習によって、苦手になってしまった音に慣らす方法

すでに怖くなってしまった音、嫌な出来事と関連付けてしまった音に慣らす方法としては「学習の上書き」をさせます。
犬は音(刺激)の後の出来事を関連付けて覚えるので、「音=怖い」という学習を「音=良いことがある」と上書きするのです。

最初は音量を最小にし、小さな音から聞かせていきます。
その際、苦手な音が流れたら大好きなおやつを与えるなど、犬が喜ぶことをしてあげます。
この練習をするときは、徐々に音のボリュームをあげていくことが重要で、少しでも怖がるそぶりが見られたら、もう一度音量を下げて繰り返し練習していきます。

学習させる以外の対策としては、環境の見直しです。
怖い音がダイレクトに聞こえてこないように、原因となる音から遠い場所に犬の落ち着けるスペースを用意してあげます。
特に、家の中では窓際と玄関の近くは一番外の音が入りやすい場所なので、それらの近くに犬のスペースがある場合には、なるべく家の中心の犬が落ち着ける場所を見つけることから始めましょう。

慣れさせるのが難しい音

慣れさせるのが難しい音

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音に慣れさせるためには「環境設定」と「学習の上書き」をします。
しかし、音というのは空気の振動なので、生で聞く場合とテレビやスマートフォンで聞く場合とでは聞こえ方、受ける刺激が違ってきてしまいます。
特に雷や花火といった、お腹に響く音(振動)は再現することができないため、慣れさせることが難しい場合もあります。
また、牧羊犬種など他の犬種に比べて耳が良い犬種は音に対して非常に敏感だったり、音響恐怖症などになってしまった犬などは、慣らす練習が困難になります。
音に対する恐怖心や警戒心が強い場合は、自分だけでなんとかしようとせず、必ず専門家に相談することをお勧めします。

犬が怖がる音【まとめ】

犬が怖がる音【まとめ】

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一般的に多くの犬は、雷や花火、自然界に存在しない金属音などを嫌がる傾向がありますが、犬の性格や経験の差によっても怖がる音は異なってきます。

愛犬が「どんな音に反応しているのか」「どんなふうに怖がっているのか」などを細かく把握して、少しでもストレスを緩和してあげられるように「環境設定」や「学習の上書き」を取り入れましょう。
状況によっては専門家に相談することも有効です。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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ライタープロフィール

長根 あかり Akari Nagane

長根 あかり Akari Nagane

【経歴】 2017年 帝京科学大学 アニマルサイエンス学科卒業。 卒業後、株式会社シロップで約2年間勤務。ウェブメディア『ペトこと』や、保護犬猫とのマッチングサービス『OMUSUBI』で犬猫の飼い方を中心に執筆。 ペットイベントへの取材・編集、「犬猫との暮らし」「犬とのお出かけ」などをテーマとした連載記事も担当。 退職後は犬のしつけ・トレーニングのアドバイスをする傍ら、都内にある犬猫の保護シェルターで勤務。犬猫のお世話だけでなく譲渡会へも参加し保護の現場を学ぶ。 【資格】 2017年2月 ドッグトレーナー 2017年3月 動物介在教育アドバイザー 2018年3月 愛玩動物飼養管理士 【ペット歴】 幼少期は、金魚をはじめオタマジャクシ、カエル、アゲハチョウ、ザリガニなどを飼育。 祖母の家に行けば4匹の猫と遊び、休日は公園に集まる散歩中の飼い主さんに声をかけ犬に遊んでもらっていました。小学4年生から中学3年生までシマリス「シママ」と暮らし、大学3年生になり保護犬のアルを迎え現在に至ります。 【愛犬とのエピソード】 幼い頃から犬と暮らすことが夢だった私にとって、アルとの出会いで昔からの夢が一つ叶いました。 これまでたくさんの犬と触れ合ってきましたが、実際、四六時中一緒にいるとそれまで意識したことがなかったことも気になって不安になる夜もありました。 家に帰ると乳歯が落ちていて驚いたり、撫でているときに「あれ?ここって骨出っ張ってたっけ?」と急に心配になったり・・・。 寝息を立てているアルの隣で寝ようとしたときに、自分の呼吸のリズムがわからなくなって一緒に寝るのを諦めたこともありました。 まだ学生でしたので、お留守番前の朝はしっかり散歩をして授業が終われば帰って一緒に遊ぶ日々。週2日は朝の部活にも一緒に行ってトレーニングをして、時には一緒に授業に行って実習を受けることもありました。 そんなアルとの生活ですが、アルは警戒心が強く人や環境に慣れるのに時間がかかりました。行動学やトレーニングを学んでいるとは言え、性格はそれぞれなので後はお互い手探りしながら、アルのペースでゆっくり一緒に成長してきたように感じています。 人から学べることもたくさん有るけれど、結局は犬から教えられることの方が多いなと毎日が学びの日々です。 【趣味】 多趣味なのでインドアもアウトドアも好きですが、やっぱり動物や自然に触れ合える場所に行くことが多いです。 友達と犬連れで車を走らせて、油壺マリンパークやマザー牧場などに日帰りの弾丸旅行をすることもしばしば。(犬なしで行くなら、横浜動物園ズーラシア・京都水族館・名古屋港水族館がおすすめです!) 最近ではペットOKの観光地も増えていますし、何よりドッグランのあるサービスエリアが増えているので、気になってわざわざ寄り道しちゃいます。 【ペットへの想い】 私にとってペットは、友であり、兄弟であり、子供であり、かけがえのない存在です。 家族や友達には相談できないこともペットには相談できる。辛いことがあったとき、悲しいことがあったとき、ただそばにいてくれるだけで安らぎ、乗り越える力をくれるのもまたペットたちです。 犬でも猫でも鳥でも、ヘビやトカゲであっても人とペットの繋がりは変わらないと思います。 年齢に似合わず『世界名作劇場』のシリーズが好きなのですが、作品の多くが主人公とパートナーである動物が支え合って一緒に困難を乗り越える物語です。 また、現代では動物を介在させることで治療やリハビリ、子供教育にも大きな影響を与えることがわかっており、さまざまな場面で動物との活動が行われています。 そんな切っても切れない人とペットとの関係が、今後もっともっと良くなることを願っていますし、暮らしやすくなるように活動していきたいと思っています。

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