【獣医師監修】おっとり優しいセント・バーナードとの、豊かな暮らしを叶えよう

一緒に暮らす人々を穏やかな気持ちにさせてくれる、セント・バーナード。そんなセント・バーナード自身の心も体も満たしてあげるには、どうすれば良いでしょうか。超大型のセント・バーナードとの暮らしのコツやかかりやすい病気などを心得ておきましょう。

【獣医師監修】おっとり優しいセント・バーナードとの、豊かな暮らしを叶えよう
出典 : pixta_1465370

セント・バーナードの歴史

セント・バーナードの歴史

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セント・バーナードは、スイスの国犬です。
その祖先は17世紀中頃から、グラン・サン・ベルナール山道の峠の宿坊で、旅人や巡礼者の護衛をしていたと伝わっています。
雪や霧で遭難した人々を捜索するためにも使われ、この超大型犬のおかげで多くの人命救助がなされたことが、各国の言語で記された年代記からうかがい知れます。
ちなみに、ヨーロッパで撮影されたセント・バーナードの写真には首から樽をぶら下げているものが多数あります。
この樽は山岳救助には欠かせないアイテムで、発見した遭難者の体を早急に温めるための、ラム酒やブランデーといった度数の高い酒が入っています。
1884年にはスイス・セント・バーナード・クラブが設立され、標準タイプが定められました。
現在では山岳救助犬としてはもちろん、良き家庭犬としても世界中で愛されています。

セント・バーナードのサイズや被毛など、身体的な特徴

セント・バーナードのサイズや被毛など、身体的な特徴

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セント・バーナードには、スムース・コートのショートヘアード(短毛)と、ラフ・コートのロングヘアード(長毛)の2つの種類が存在します。
いずれも大きさは、体高がオス70~90cm、メス65~80cm、体重は65~115kgほど。
超大型で、筋肉質でがっしりとしていて力強いのが特徴です。
毛色は、ホワイトを地色として、様々な大きさの赤みがかったブラウンの斑があり、背などには赤みがかったブラウンのブランケット(毛布をまとったような模様)が見られます。

セント・バーナードとの快適ライフの秘訣

セント・バーナードとの快適ライフの秘訣

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セント・バーナードは超大型犬ですが、猟犬として作出された犬種ではないため、猟犬タイプの大型犬ほど豊富な運動量は必要としません。
もちろん、筋トレと脳トレのため、毎日最低でも合計1時間程度は散歩に連れて行ってください。
一般的に人懐っこく甘えん坊のセント・バーナードは、室内飼いをしてあげましょう。
スイスの山岳地方が原産の犬種なので、日本のような高温多湿な気候に弱い点でも、屋外飼育には適していません。
心身の健康維持のために、必ず室内でコミュニケーションを十分に取りながら暮らしてください。
凶暴なところがなく穏やかで優しい性格のセント・バーナードとならば、人間の赤ちゃんや同居の犬や猫も安心して暮らせるでしょう。
ただし、体が大きいので、興奮して大きな動きをしたセント・バーナードにぶつかったりすると、子供や小型犬などはケガをする危険性もあります。
オスワリ、マテ、オイデなどの基本的なしつけやトレーニングはマスターして、飼い主さんが愛犬の動きをコントロールできるようにしておくことも大切です。

セント・バーナードの平均寿命は?

セント・バーナードの平均寿命は?

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日本の家庭犬の平均寿命は、およそ14歳。
サイズ別では超大型犬は最も短命で、小型犬のほうが長生きすることがわかっています。
そのため、セント・バーナードの平均的な寿命は、7~10歳だと考えられます。
小型犬との違いは、大型犬は医療費などが高いこと。
予防医療のための薬代から、治療費や入院費も小型犬より高くなります。
皮膚を健やかに保つためのトリミング代も高額です。
小型犬より寿命は短いですが、超大型犬との暮らしは経済的な負担が大きくなることも覚悟しておきましょう。

セント・バーナードのかかりやすい病気

セント・バーナードのかかりやすい病気

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セント・バーナードは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・拡張型心筋症

心臓の筋肉が拡張してしまい、血液のポンプ機能が低下する心臓病です。
初期症状が出にくい特徴があるので、定期的にレントゲン検査やエコー検査を受けて早期発見に努めましょう。
重症化すると呼吸が困難になり、命に関わります。
治療の主流は、内科療法です。
なお、2019年7月にアメリカ食品医薬品局(FDA)が、マメ科の植物の含有量が多いグレインフリーのドッグフードと、拡張型心筋症の発症の関連性を指摘する発表を行いました。
調査は継続中なので明らかになっていない部分もあり、今後の発表によっては状況が変化するかもしれませんが、拡張型心筋症の好発犬種のひとつであるセント・バーナードに限っては、マメ科の植物を含有するグレインフリーのドライフードなどには注意したほうが良いかもしれません。

・関節疾患

体重が重いため四肢に負担がかかるセント・バーナードは、膝の前十字靱帯断裂を起こしやすい犬種です。
犬の膝関節は常に曲がった状態なので、歩行時などに突然、靱帯を断裂する恐れがあります。
地面に肢をつけないようにして歩くなど、愛犬の歩行に異常が見られたら、なるべく早めに動物病院へ。
靱帯損傷を治療しないでいると、変形性関節炎を発症するケースも少なくありません。
治療には、温存療法と外科療法があります。
大型犬の場合、生活の質を維持するために早期に外科手術を行うのが理想だと言われます。
整形外科に力を入れている動物病院では、術後の適切なリハビリを経て元通りに歩けるようになる、TPLOという術式が一般的になってきています。
肥満傾向の犬や、筋肉が衰え始めたシニア期以降は靱帯損傷のリスクが高まるので、ご飯の量や質に注意しながら、肥満にさせないように気をつけることも重要です。

・腫瘍

セント・バーナードには、骨肉腫、リンパ腫、組織球肉腫、血管肉腫などの腫瘍ができる可能性があります。
拡張型心筋症のみならず、腫瘍の早期発見のためにも、定期的にレントゲン検査や超音波検査を含む健康診断を受けさせるようにしてください。
悪性腫瘍の治療は、抗がん剤など数種類があり、獣医師と相談しながら治療方針を決めていくことになるでしょう。

セント・バーナードとの旅行のコツ

セント・バーナードとの旅行のコツ

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セント・バーナードはよだれが出やすい犬種です。
犬と入れるカフェや滞在先をよだれで汚してしまわないように、よだれかけやカフェマットの活用を。
抜け毛が多いため、洋服を着せて抜け毛の飛散量を抑えるのも良いでしょう。
寒さから身を守るための分厚いダブルコートを持っているセント・バーナードは、熱中症にも要注意。
暑い時期は、保冷剤を仕込めるバンダナや冷感ウェアなどの熱中症対策グッズを、外出時や旅行に必ず持参してください。
こまめなブラッシングを旅行中も行い、皮膚の通気性を保つようにも心がけましょう。

セント・バーナードの価格相場は?

セント・バーナードの価格相場は、20~60万円ほど。
ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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超大型犬の中でも、穏やかでフレンドリーな気質のセント・バーナードは飼いやすい犬種だと言えるでしょう。
よだれや抜け毛などのマナー面に気をつけ、熱中症予防をすれば、一緒に楽しく旅ができるに違いありません。

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監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター/ドッグ・ジャーナリスト。 旅行誌編集者を経て、フリーライターに。独立後は週刊トラベルジャーナルや企業広報誌の紀行文のほか、幼少期より詳しかった犬のライターとして『愛犬の友』、『ペットと泊まる宿』などで執筆活動を行う。30代でオーストラリアにドッグトレーニング留学。帰国後は毎日新聞での連載をはじめ、『週刊AERA』『BUHI』『PetLIVES』や書籍など多数の媒体で執筆。著書に『室内犬気持ちがわかる本』『うみいぬ』がある。

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