【獣医師監修】甲斐犬はツンデレが魅力!? 野性味も備える日本犬と充実ライフを

日本犬特有の凛とした性格や、虎毛のワイルドな風貌が魅力の甲斐犬。そのルーツや特徴、かかりやすい病気、日常生活のコツなどを知って、充実した日本犬ライフを過ごしましょう。

【獣医師監修】甲斐犬はツンデレが魅力!? 野性味も備える日本犬と充実ライフを
出典 : pixta_38569358

甲斐犬の歴史

甲斐犬の歴史

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甲斐犬の祖先は紀元前から存在していたと伝わります。
かつて甲斐国と言われた現在の山梨県の山岳地帯で誕生し定着しました。
紀州犬と同様にイノシシやシカの狩猟で用いられた、中型犬です。
1928(昭和3)年に斎藤弘吉氏によって設立された日本犬保存会の尽力により、日本各地の“地犬”の血がミックスされることなく保存され、甲斐犬も1934年に日本の天然記念物に指定されました。

甲斐犬のサイズや被毛など、身体的な特徴

甲斐犬のサイズや被毛など、身体的な特徴

pixta_49146186/ Shutterstock.com

甲斐犬の別名が甲斐虎犬であることからもわかるとおり、虎柄の毛色が特徴的。
赤虎、黒虎、虎の3種類の虎毛で、幼齢期に単色でも成長するに従って虎毛になります。
体高は50cmほどで、中型の日本犬の中では最小。
小型に分類される柴犬の次に大きいサイズの日本犬です。
中型の日本犬らしさは、少し吊り上がった目尻を持つ、やや三角形の目にも表れています。

甲斐犬との生活で気をつけること

甲斐犬との生活で気をつけること

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中型の日本犬は、生粋の猟犬としての性格や習性を色濃く備えています。
主人に忠実、警戒心が強い、聡明で鋭敏といったものです。
ともに暮らす犬以外とは、喧嘩をすることも少なくありません。
これらは猟犬としては重要な気質ですが、家庭犬として暮らすには少し注意が必要になるでしょう。
外飼いをすると、警戒心がますます高まってしまいます。
甲斐犬が安心して生活できるよう、室内で家族と一緒に過ごせるようにしてあげてください。
仲間意識が高いので、相性が合えば多頭飼いも問題なくできるでしょう。
ただし、日本犬は所有欲が高く、広めのパーソナルスペースを必要とすると言われているので、人間の赤ちゃんや子供に危険が及ばないよう、甲斐犬のフードボウルやおもちゃなどに不用意に触らないように気をつけてください。
体のどこを触られても受け入れられるように、子犬期からおやつを使いながら訓練しておくのも甲斐犬には必須です。
自制心を抑えられるように、“マテ”などのしつけもしっかり行いましょう。
室内で生活をともにすると、実は甘えん坊な甲斐犬の一面にも触れる機会も多くなり、甲斐犬ならではのツンデレさに魅了されてしまう飼い主さんも多いようです。

甲斐犬との充実ライフのコツ

甲斐犬との充実ライフのコツ

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日本犬全般に言えることですが、甲斐犬を迎えたら、子犬期に様々な人や犬などと触れ合わせる社会化を最優先に行うのが重要です。
警戒心が高まる生後半年までの間に多くのものに慣れておけば、甲斐犬自身も恐怖心を抱く対象も少なく、神経質にならずに安心して日々の生活が送れるようになるでしょう。
そうすれば、旅行などにも同伴しやすくなります。
山岳地帯で狩りをしていた甲斐犬は、体力的にとにかくタフで運動欲求が高め。
愛犬に充実した毎日を過ごさせてあげるためには、豊富な運動量を提供してあげてください。
散歩は、毎日2回は行きましょう。
ただ歩くだけではなく、坂道を上ったり、走る運動も取り入れてあげたいものです。
自宅では、噛む欲求を満足させてあげられるような知育トイを与えたり、嗅覚でおやつを探し当てて狩猟欲を刺激できる遊びなどを行えば、さらに甲斐犬の充足感がアップするはずです。

甲斐犬の平均寿命は?

甲斐犬の平均寿命は?

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日本の家庭犬の平均寿命は、およそ14歳です。
日本犬は全般的に長生きする傾向にあると考えられるため、甲斐犬の平均的な寿命は12~15歳だと考えられます。

甲斐犬のかかりやすい病気

甲斐犬のかかりやすい病気

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甲斐犬は基本的には丈夫で病気も少ない犬種として知られますが、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・皮膚疾患

甲斐犬は皮膚病になりやすい犬種です。
細菌感染が主な原因となる膿皮症、食物アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などにかかる可能性があります。
痒がっている、皮膚に赤いブツブツができている、フケが多いといった様子が愛犬に見られたら、早めに獣医師に診てもらいましょう。
1歳未満から発症するケースが多い皮膚疾患は、早期に原因と病気を特定して、悪化しないうちに治療を開始することが大切になります。

・白内障

甲斐犬は、白内障になりやすい犬種のひとつだと言われています。
水晶体が白濁する白内障は、加齢に伴うもののほか、若齢でも発症する可能性があります。
治療は、点眼薬による内科治療が主流ですが、若齢の場合は視覚喪失と生活の質の低下を回避するために外科手術を選択する飼い主さんも増えています。
飼い主さんが愛犬の目の白濁に気づいた頃には、病状が進行していることも。
健康診断などを通して、早期発見できるように努めましょう。

・認知症

日本犬は全般的に老齢になると、認知症を発症しやすいことが知られています。
人間同様に認知能力が低下して、昼夜逆転、夜鳴き、徘徊といった症状が起こります。
薬物療法による治療も、現在は行われるようになりました。
その他、午前中に日光浴をさせる、歩けなくてもカートに乗せるなどして散歩をして脳を刺激する、昼間にずっと寝かせっぱなしにしないといった生活の工夫も行いながら、症状の悪化を防ぐことも重要です。

甲斐犬との旅行のコツ

甲斐犬との旅行のコツ

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甲斐犬と一緒に旅行をする前は、社会化をしっかり行って、ほかの人や犬に十分慣らしておきたいものです。
初めての場所では、おやつなどを使いながら、楽しいという印象を甲斐犬に与えてあげてください。
旅行には、いい匂いのするおやつをたくさん持参して。
甲斐犬は下毛と上毛の二層構造の被毛を持つ犬種なので、抜け毛が多めです。
旅行中は抜け毛の飛散量を抑えるために、洋服を着せておけばマナー面でも快適に過ごせるでしょう。
白色の日本犬と比較すると、虎柄の甲斐犬は見た目で凶暴だと勘違いされる可能性も、残念ながらあるようです。
外出先では、可愛いデザインの洋服を着せて、親しみやすさを演出するのも良いでしょう。
旅先には、ブラッシンググッズを持参してこまめに抜け毛を取り除いてあげてください。

甲斐犬の価格相場は?

甲斐犬の価格相場は?

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甲斐犬の価格相場は、15~35万円ほど。
日本犬保存会の展覧会で優秀な成績を収める甲斐犬を保有する犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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甲斐犬は、日本の天然記念物である6犬種(甲斐犬、柴犬、紀州犬、北海道犬、四国犬、秋田犬)の中でも、虎柄のワイルドな印象で人々を魅了しています。
子犬期からの社会化を継続するとともに、たっぷり運動をさせたり、狩猟欲を満たせる遊びなどを取り入れるのが充実ライフの秘訣。
お出かけや旅行でも、甲斐犬との楽しい思い出を増やしてくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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