【獣医師監修】ふわもこな大型犬オールド・イングリッシュ・シープドッグとの快適生活術

ふわふわの大型犬、オールド・イングリッシュ・シープドッグ。ミュージカル『アニー』のマスコット犬としても有名で、陽気な性格で家族を笑顔にしてくれます。そんな魅力的な犬種の歴史から注意したい病気、そして快適生活術を心得ておきましょう。

【獣医師監修】ふわもこな大型犬オールド・イングリッシュ・シープドッグとの快適生活術
出典 : pixta_18161558

オールド・イングリッシュ・シープドッグの歴史

オールド・イングリッシュ・シープドッグの歴史

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オールド・イングリッシュ・シープドッグの原産国は、イギリスとされています。
ヨーロピアン・シェパード・ドッグを祖先に持つという説が有力です。
成り立ちには諸説あり、スコッチ・ビアデッド・コリーが犬種の改良に大きな影響をおよぼしたという説や、ロシアン・シープドッグの血を引くという説もあります。
いずれにしても、オールド・イングリッシュ・シープドッグは牧羊犬としてよりも、郊外の牧場から都市部の市場まで家畜を追っていくのに使われた「家畜追い犬」として活躍したと伝えられています。
家畜追い犬は税金を免除されていたので、その職業を証明するために断尾をする習慣がありました。
イギリスなどでオールド・イングリッシュ・シープドッグの愛称や通称が、尾がないことを意味する「ボブ・テイル」であるのも、その歴史的背景を考えれば納得できます。

オールド・イングリッシュ・シープドッグのサイズや被毛など、身体的な特徴

オールド・イングリッシュ・シープドッグと似ている犬種で、ビアデッド・コリーがいます。
ビアデッド・コリーとの違いは、オールド・イングリッシュ・シープドッグのほうが理想体高がオス61cm、メス56cmと大きいのに対して、ビアデッド・コリーは理想体高がオス53~56cm、メス51~53cmと小型であることがひとつ。
ふたつ目は、オールド・イングリッシュ・シープドッグは被毛がふわふわで体のラインがわかりづらいですが、ビアデッド・コリーの体のラインは覆われた被毛でわからなくなることはありません。
また、毛色では、オールド・イングリッシュ・シープドッグにはグレー、ブルー、グリズル、ブルーマールなどがあり、ブラウンは好ましくありませんが、ビアデッド・コリーにはグレーやブルーに加えてブラウンや赤みがかったフォーンなども認めらています。
かつては、ビアデッド・コリーと違い、断尾をするオールド・イングリッシュ・シープドッグが多く見られました。
けれども、近年は動物愛護の観点から断尾を禁止する国が増えています。
断尾をしていないオールド・イングリッシュ・シープドッグの尻尾は背中の上に高く掲げられていますが、ビアデッド・コリーの尻尾は高く上がったとしても、背中の上までには及びません。

オールド・イングリッシュ・シープドッグとの快適生活の秘訣

オールド・イングリッシュ・シープドッグとの快適生活の秘訣

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オールド・イングリッシュ・シープドッグは、穏やかで、警戒心も高くなく、誰にでもフレンドリーで、とても安定した気質をしていています。
人との触れ合いに喜びを感じるので、屋外ではなく室内で愛情を注いでください。

オールド・イングリッシュ・シープドッグのような「家畜追い犬」の仕事をしていた犬種は、長距離を移動しても疲れを知らないタフさを備えています。
そのため、豊富な運動量を提供してあげなければなりません。
1日2回ほど、合計2時間位の散歩ができればベストです。
性格が穏やかとはいえ、好奇心旺盛な若犬期はパワフルに動くこともあるので、「マテ」などのトレーニングをしっかりしておくことも大切です。
理解力が高いので、トイレのしつけなども心配は不要でしょう。
「ワンツー」などの言葉の合図での排泄を教えれば、旅行中も役立ちます。
旺盛な食欲を利用して、おやつをうまく使いながら、オールド・イングリッシュ・シープドッグと楽しくトレーニングに取り組んでみてください。

オールド・イングリッシュ・シープドッグの平均寿命は?

日本の家庭犬の平均寿命は、約14歳。
サイズ別では小型犬がもっとも長生きでき、大型犬は短命傾向であると言われています。
オールド・イングリッシュ・シープドッグの平均的な寿命は、9~12歳ほどだと考えられるでしょう。

オールド・イングリッシュ・シープドッグのかかりやすい病気

オールド・イングリッシュ・シープドッグのかかりやすい病気

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オールド・イングリッシュ・シープドッグは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・外耳炎

オールド・イングリッシュ・シープドッグは垂れ耳で、豊富な被毛に耳が覆われているため、耳の通気性が悪くなりがち。
高温多湿な環境におかれる梅雨時から初秋にかけては、特に耳の内部が蒸れやすく、外耳炎にかかりやすくなります。
耳垢の増加、耳の悪臭、外耳の赤みや、愛犬が痒がっている様子に気付いたら、早めに動物病院へ。
外耳炎だと診断された場合、獣医師による耳の洗浄と、点耳薬によって治療を行います。

・胃捻転胃拡張症候群

オールド・イングリッシュ・シープドッグのような高い心肺機能が必要だった大型犬は胸が深く、胃捻転を起こしやすいので注意が必要です。
胃捻転胃拡張症候群を発症すると、急速に進行して命を落とす危険性が高くなります。
初期症状は、部屋をウロウロと不安げに歩き回ったり、部屋の隅で震えながらうずくまったり、吐きたそうにしているのに吐けないといったもの。
こうした様子が愛犬に見られたら、夜中でも、かかりつけ医の診察時間外でも、緊急で動物病院に向かってください。
大型犬との生活では、普段から救急対応をしてくれる動物病院をリストアップしておきましょう。
胃捻転の緊急治療は、外科手術で行うケースが多くなります。
予防のために、食後2~3時間は散歩に出ず静かに過ごさせるのが大切です。
早食いも胃捻転の発症リスクになると言われているので、早食い防止食器などを活用するのも良いでしょう。

・白内障

オールド・イングリッシュ・シープドッグは、若齢期から白内障にかかる可能性があります。
白内障は、飼い主が肉眼で目の白濁に気づいた時には、症状がかなり進行していると考えて良いでしょう。
初期の段階で発見して、点眼薬や手術ができれば、愛犬が視覚を失わずに済みます。
若齢期のうちから、定期的に眼科検診を受けるようにするのが重要です。

オールド・イングリッシュ・シープドッグとの旅行の秘訣

オールド・イングリッシュ・シープドッグは長毛の犬種で、トップコートと保温性の高いアンダーコートのダブルコートを備えているので、かなりの毛が抜けます。
特に春と秋の換毛期に旅行を計画しているのであれは、抜け毛対策は必須。
旅行前に、可能であれば、トリミングサロンで被毛と皮膚をさっぱりさせると良いでしょう。
シャンプーは、体臭対策にも役立ちます。
旅行には、抜け毛の飛散を抑える洋服や、大型犬用のブラシは必携です。
汚れをさっと落とせる、水のいらない泡タイプのシャンプーも持参すれば便利でしょう。
外出中は、目の周りの被毛を結んで視界を良くしてあげられるよう、人間用のヘアゴムも忘れずに持って行ってください。

オールド・イングリッシュ・シープドッグの価格相場は?

オールド・イングリッシュ・シープドッグの価格相場は?

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オールド・イングリッシュ・シープドッグは日本ではそれほど多く見られない犬種で、価格相場は、25~45万円ほど。
ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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オールド・イングリッシュ・シープドッグは心身ともにタフな犬種なので、飼いやすさで言えば中級向きかもしれません。
けれども、アクティブな生活を楽しむパートナーとしてはぴったり。
健康管理に気をつけながらたくさん運動をさせて、ぜひオールド・イングリッシュ・シープドッグと笑顔の日々を過ごしてください。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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