【獣医師監修】陽気でやさしいシェットランド・シープドッグと豊かな毎日を

知性が高くてやさしい性格が魅力のシェットランド・シープドッグは、シェルティーの愛称で親しまれる人気の犬種です。その歴史、身体的な特徴、日常生活や旅行中の注意点、かかりやすい病気などを頭に入れて、豊かな日々を過ごしましょう。

【獣医師監修】陽気でやさしいシェットランド・シープドッグと豊かな毎日を
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シェットランド・シープドッグの歴史

シェットランド・シープドッグの歴史

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シェットランド・シープドッグは原産地がシェットランド諸島で、原産国はイギリスです。
狭く険しい土地が多いスコットランド地方のシェットランド諸島では、小型の羊の群れをまとめる作業を担うために牧羊犬も小型化されました。
当時のシェットランド・シープドッグは、スコットランドにいたボーダーコリーの先祖にあたる牧羊犬に、初期のポメラニアンなどの小型犬に近いサイズの犬の血などが取り入れられていて、現在よりもさらにサイズが小さかったようです。
のちにラフ・コリーの血が導入されるようになり、サイズが大きくなり、コリーの小型版のような外観になりました。
19世紀にはスコットランド地方の荒波を越えてイギリスに渡り、1909年、イギリスで登録が認められるようになりました。

シェットランド・シープドッグのサイズや被毛など、身体的な特徴

シェットランド・シープドッグのサイズや被毛など、身体的な特徴

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シェットランド・シープドッグは、原産であるイギリスと、イギリスから紹介されてショードッグとして大活躍するようになったアメリカでは、サイズや外観が少し異なります。
イギリス・タイプは、険しい土地でも軽快に活動できる牧羊犬としての運動能力を重視するため、頭部が軽めで線が少々細め。
対してアメリカ・タイプはショードッグとしての見栄えを重視してブリーディングがなされたので、全体的に骨量が重めでしっかりした体格をしていて、毛量も多いのが特徴です。
シェットランド・シープドッグの体高は、33cm以上40.5cm以下が理想とされています。
体高と体長の比率は、およそ10:11です。
豊富な毛色のバリエーションには、3色のトライカラー、体の大部分が茶色のセーブル、グレーっぽく見えるブルーマールなどがあります。
コリーにはない「バイカラー」(2色の意味)には、ブルー&ホワイトやブラック&ホワイトがあります。

シェットランド・シープドッグとの快適生活のコツ

シェットランド・シープドッグとの快適生活のコツ

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シェットランド・シープドッグは牧羊犬や番犬として、スコットランド地方の人々の生活を支えてきた犬種です。
作業を行う上で吠える必要があったため、生き物の動きに敏感で、物音に対する警戒心が低くはありません。
個体差もありますが、全般的に外部からの刺激には吠えて反応しやすいでしょう。
日本の都会のような住宅密集地や集合住宅では、吠え声は気になるものですが、吠えるたびに叱っても、本当の意味でのしつけにはなりません。
まずは子犬期に、あらゆるものに慣れさせる社会化に力を注ぎたいものです。
牧羊犬は、半日は屋外で活動し続けられるほどの持久力と体力を持っています。
シェットランド・シープドッグが心身ともに作業意欲を満たせるよう、1日2回は散歩に出かけ、室内でも嗅覚でおやつを探すゲームや、飼い主とのコミュニケーションを兼ねたトレーニングで脳トレをしてあげてください。
そうすれば、充足感を得られて、吠えてストレスを発散することも少なくなるでしょう。

シェットランド・シープドッグの平均寿命は?

シェットランド・シープドッグの平均寿命は?

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日本の家庭犬の平均寿命は、約14歳。
シェットランド・シープドッグは中型犬ですが比較的長生きする犬種と言われ、平均的な寿命は13~15歳ほどだと考えられます。

シェットランド・シープドッグのかかりやすい病気

シェットランド・シープドッグのかかりやすい病気

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シェットランド・シープドッグは以下の病気に、比較的かかりやすいことが知られています。

・高脂血症(脂質代謝異常症)

シェットランド・シープドッグは遺伝的な素因による高脂血症が、他犬種と比較すると多いことがわかっています。
高脂血症とは、血液中の中性脂肪や総コレステロールが高い状態になる代謝性疾患。
高脂血症そのもので何か症状が出ることはありません。
けれども、膵炎などのその他の疾患の原因になるため、悪化させないようにする必要があります。
肥満やストレスが、高脂血症の悪化要因になると言われています。
シェットランド・シープドッグは、人のそばにいるのを好み、寂しがりやです。
一人暮らしよりも、常に誰かがそばにいられる家庭環境のほうがストレスなく生活できるでしょう。
食事は、脂肪分が少ないフードを選び、おやつのあげすぎなどには注意してください。

・膵炎

膵臓に炎症が起こる膵炎は、シェットランド・シープドッグでは若齢のうちからの発症が見られます。
食欲低下、嘔吐、下痢などが主な症状ですが、胃腸炎と同様の症状なので飼い主が気付きにくいかもしれません。
膵炎では痛みを伴うので、前述の症状に加えてシェットランド・シープドッグの元気がなくぐったりしているようであれば、早めに動物病院で受診してください。
血液検査や超音波検査で膵炎だと診断された場合、嘔吐や下痢や脱水症状への対症療法や、膵炎の治療薬の投与などの内科療法を行います。
肥満や脂肪分の多い食事が発症リスクを高めるため、食事や運動の管理を適切に行うことも重要です。

・胃拡張胃捻転症候群

シェットランド・シープドッグは、持久力を維持するための高い心肺機能を備えています。
そのため、胸が深い骨格構成をしていて、胃捻転胃拡張症候群が起こりやすいので注意が必要です。
吐きたそうにしているのに吐けない、不安そうな表情で部屋をウロウロしたり隅に隠れたりするというのが、胃捻転の典型的な初期症状です。
しばらく様子を見て、動物病院に行くか判断しようとしていると、どんどん症状が進行して命を落とすかもしれません。
胃捻転が疑われたら、緊急で動物病院に向かってください。
胃捻転が判明したら、多くのケースで緊急手術などで治療を行うことになるでしょう。
胃捻転胃拡張症候群の予防には、食後2~3時間は運動を控える、早食いさせないようにするといった生活管理が大切になります。

シェットランド・シープドッグとの旅行の秘訣

シェットランド・シープドッグとの旅行の秘訣

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シェットランド・シープドッグは、抜け毛が多い犬種。
寒さには強いのですが、抜け毛の飛散を防止するために、冬の旅行でも洋服を着せておけばマナー面で安心です。
夏は、熱中症を予防できるような冷感タイプのウェアや、通気性の良いメッシュタイプの洋服が最適です。
ブラッシングが必須の犬種なので、普段から使い慣れたブラシやトリミンググッズの持参も忘れずに。
旅先で部分的に汚れた際は、水のいらない泡タイプのシャンプー剤を使うと便利です。

シェットランド・シープドッグの価格相場は?

シェットランド・シープドッグの価格相場は?

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シェットランド・シープドッグの価格相場は、12~40万円ほど。
珍しい毛色や、ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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優美な姿はもちろん、口角を上げた可愛い笑顔を見せたり、理知的な表情をしたりと、豊かな表情でも人々を魅了しているシェットランド・シープドッグ。
世界中で家庭犬として愛されてきた歴史に裏打ちされた飼いやすさも、人気の理由でしょう。
愛情深く明朗快活なシェットランド・シープドッグと、アクティブな生活を楽しんでください。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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