【獣医師監修】可憐なイタリアン・グレーハウンドと優雅な暮らしを満喫しよう

細くてしなやかな体が特徴の、イタリアン・グレーハウンド。かつてヨーロッパの王族貴族を魅了した犬種は、現在は日本でも大人気です。そんなイタリアン・グレーハウンドの歴史、快適な生活の秘訣、かかりやすい病気などを知っておきましょう。

【獣医師監修】可憐なイタリアン・グレーハウンドと優雅な暮らしを満喫しよう
出典 : pixta_54132091

イタリアン・グレーハウンドの歴史

イタリアン・グレーハウンドの歴史

pixta_62167408

古代遺跡から出土した犬の骨の化石から、イタリアン・グレーハウンドの祖先犬は有史以前から存在していたと推察されています。
紀元前5世紀頃、エジプトからギリシアを経由して、原産国となったイタリアに渡ったと伝わっています。
古い英語で「グレー」とは、「美しい、みごとな」という意味です。
ローマ帝国の支配者やヨーロッパ諸国の王族や貴族に、イタリアン・グレーハウンドは愛玩犬として人気を博しました。
その証拠に、当時の高級調度品やレリーフなどに、イタリアン・グレーハウンドと思われる犬の姿が多数残されています。
イタリアン・グレーハウンドは現在、イギリスのケネルクラブとアメリカンケネルクラブでは愛玩犬グループに属していますが、国際畜犬連盟(FCI)とジャパンケネルクラブ(JKC)ではサイトハウンドのグループに属しています。

イタリアングレーハウンドのサイズや被毛など、身体的な特徴

イタリアングレーハウンドのサイズや被毛など、身体的な特徴

pixta_60132182

イタリアン・グレーハウンドの理想とされる体高は32~38cm、体重は最大5kgです。
スタンダード(犬種標準)では、毛色はブラック、グレー、イザベラ(ペール・イエローのようなベージュ)の色調の単色で、胸と足にのみホワイトのマーキングが入っても良いとされています。
血統書の表記名としては、フォーン、レッド、シール、ブルーなどの毛色があります。
近縁のウィペットにあるブリンドルは、イタリアン・グレーハウンドの毛色にはありません。
スレンダーな体と顔に、ローズ・イヤーと呼ばれる耳を持っているのも、イタリアン・グレーハウンドの特徴です。
ローズ・イヤーとは、付け根が高く、後方に向かって小さく折りたたまれている耳のこと。
イタリアン・グレーハウンドが注意深く集中すると、耳たぶが側方に向かって水平に掲げられ、耳の形がプロペラのようになります。

イタリアン・グレーハウンドとの快適生活の秘訣

イタリアン・グレーハウンドとの快適生活の秘訣

pixta_54133249

イタリアン・グレーハウンドなどのサイトハウンドは、優れた動体視力を活かして猟をする犬種です。
サイトハウンドの細くてしなやかな体は、瞬発力や高速の走りを生み出します。
愛玩犬としての歴史が長いとはいえ、イタリアン・グレーハウンドも、ウサギやネコなどが動いているのを見ると追いかけたいという本能が目覚めるでしょう。
どんな時も、飼い主さんの呼び声に反応できるようにしつけておけば、外出先でも安心です。
猟犬としての高い運動欲求も、イタリアン・グレーハウンドは備えています。
牧羊犬のように長時間の作業を行うタイプではないため、運動量はたくさん必要なわけではありません。
けれども、旺盛な好奇心や走りたいという欲求を満たしてあげるため、毎日散歩に連れて行き、可能な限りドッグランなどでの自由運動を取り入れてください。

イタリアン・グレーハウンドには寂しがりやな一面もあるので、飼い主さんの姿が見えなくなるとキューンキューンという鳴き声で呼び続けることもあるでしょう。
若犬のうちから、留守番トレーニングをしっかり行っておきたいものです。
寂しさのせいかは不明ですが、多頭飼いのイタリアン・グレーハウンドはよく同じドッグベッドでくっついて寝ているようで、その様子が愛らしいとSNSなどで評判です。
イタリアン・グレーハウンドは、心身ともに繊細な部分を持ち合わせています。
一緒に生活する上で、本来の陽気で快活な性質を伸ばせるように、飼い主さんがおおらかな気持ちでやさしく接してあげることも大切です。

イタリアン・グレーハウンドの平均寿命は?

イタリアン・グレーハウンドの平均寿命は?

pixta_58204916

日本の家庭犬の平均寿命は、約14歳です。
イタリアン・グレーハウンドはもっとも長生きする犬種のひとつとして知られ、平均的な寿命は、13~16歳位でしょう。

イタリアン・グレーハウンドのかかりやすい病気

 イタリアン・グレーハウンドのかかりやすい病気

pixta_47114939

イタリアン・グレーハウンドは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・骨折

骨折をしやすい犬種の筆頭に挙げられるのが、イタリアン・グレーハウンドとミニチュア・ピンシャーです。
ジャンプ力があるイタリアン・グレーハウンドは、ソファやベッドはもちろん、盗み食いが目的でテーブルに上ってしまうこともあると言われます。
バランスを崩しながら下りたり、滑る床に飛び降りてしまうと、前脚の骨を折ってしまう可能性があります。
カーペットを敷くなどして、イタリアン・グレーハウンドには滑らない床で生活させるのがマスト。
それに加えて、椅子やテーブルには愛犬が自由に上れないように、生活環境の工夫を加えておくと安心です。
骨折の治療は、犬の場合は外科手術が多くなります。
予防に努めましょう。

・皮膚病

イタリアン・グレーハウンドは、皮膚病になりやすい犬種のひとつです。
マラセチア皮膚炎、膿皮症、アレルギー性皮膚炎などにかかる可能性があります。
ブルー系の毛色では、遺伝的な素因との関連性が疑われるCDA(カラー・ディリューション・アロペシア)と呼ばれる脱毛症が見られるケースもあります。
イタリアン・グレーハウンドはブラッシングなどの手入れが少なくて済むのも飼いやすいポイントのひとつですが、なるべくこまめに皮膚の状態をチェックするようにして、皮膚の異常を発見したり愛犬が痒がっていたりしたら、なるべく早期に動物病院で相談してください。

・歯周病

イタリアン・グレーハウンドは、若齢のうちから歯周病になりやすい犬種と言われています。
子犬の頃から歯ブラシに慣れさせて、歯磨きを日課に。
定期的に歯科検診も受けて、必要に応じて獣医師による歯石除去を行ってもらうようにしてください。

イタリアン・グレーハウンドとの快適旅行術

イタリアン・グレーハウンドは、寒さに弱い犬種。
旅行では、防寒着と耳を覆えるスヌードは必須です。
冬の屋外でスヌードをしないと、耳が凍傷になる危険性もあります。
耳の端が白くてギザギザしているのであれば、凍傷の可能性があるので獣医師に診てもらいましょう。
夏の旅行での盲点は、エアコンです。
冷房が効きすぎている施設や宿などで、背中を曲げながらブルブルと震えているイタリアン・グレーハウンドを見ることもめずらしくありません。
イタリアン・グレーハウンドにとって、冷房の設定温度が24℃以下では低すぎます。
部屋の日当たりや湿度などにもよりますが、宿泊先などで設定できるのであれば、27℃位を目安にしてください。
飼い主さんが冷房の温度を管理できない場合は、夏の室内でも必要に応じて防寒着を着せましょう。
冷房の効いた室内で留守番させる際には、イタリアン・グレーハウンド自身の意思で暖を取るために潜り込めるよう、フリースや毛布を設置してあげてください。

また、イタリアン・グレーハウンドの頭部は細いため、首輪がスポっと抜けて旅先で失踪してしまいかねません。
首輪は抜けにくいタイプを選んだり、ハーネスを利用するのをおすすめします。

イタリアン・グレーハウンドの価格相場は?

イタリアン・グレーハウンドの価格相場は?

pixta_62167404

イタリアン・グレーハウンドの価格相場は、13~50万円ほど。
ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

pixta_55537099

抜け毛や無駄吠えが少なく、飼いやすさの面でも、初心者をはじめ多頭飼いの飼い主さんに人気のイタリアン・グレーハウンド。
運動神経が良いので、アクティブな生活のパートナーとしても最適です。
健康管理に気をつけながら、長生き犬種としても知られるイタリアン・グレーハウンドと毎日を満喫してくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

「ライフスタイル」の人気記事RANKING