【獣医師監修】優美な鳥猟犬アイリッシュ・セターとのアクティブライフを満喫

赤茶色の美しい長毛が印象的な、アイリッシュ・セター。もとは鳥猟犬として活躍し、今は陽気で活動的な家庭犬として愛されています。そんなアイリッシュ・セターの歴史から、日常生活や旅行中の注意点、かかりやすい病気などを知って楽しい毎日を!

【獣医師監修】優美な鳥猟犬アイリッシュ・セターとのアクティブライフを満喫
出典 : pixta_44569086

アイリッシュ・セターの歴史

アイリッシュ・セターの歴史

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アイリッシュ・セターの原産地は、犬種名のとおりアイルランドです。
その成り立ちについては諸説ありますが、有力なのはアイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッターなどに由来するという説です。
18世紀頃には、現在のアイリッシュ・セターに近いタイプが存在していたと言われています。
アイリッシュ・セターは、狩猟犬の中でもポインティング・ドッグという種類に分類されます。
野山を走り回って獲物となる鳥を探し、獲物を見つけると、その近くで伏せの姿勢を保ち(セットして)猟師に鳥の居場所を教えるのです。
ちなみに、獲物を発見すると低い姿勢になって片脚を上げて示す(ポイントする)のが、ポインターと名の付く犬種です。

アイリッシュ・セターのサイズや被毛など、身体的な特徴

アイリッシュ・セターのサイズや被毛など、身体的な特徴

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アイリッシュ・セターは大型犬で、体高はオスが67cm前後、メスは62cm前後です。
ほとんど同じ大きさのイングリッシュ・セターとの主な違いは、毛色です。
アイリッシュ・セターは、ジャパンケネルクラブ(JKC)のスタンダードでは、リッチ・チェスナットの毛色と定義されています。
簡単に表現すると、濃いレッドや濃い栗色、木材で有名なマホガニー色とも言えるでしょう。
単色ですが、胸、喉、指、前頭部に小さく白色が見られることはあります。
一方のイングリッシュ・セターは、オレンジ&ホワイト、ブラック&ホワイトの2色やトライカラーで、単色ではありません。
アイリッシュ・セターの顔部は短毛ですが、ボディを覆うシルキーな長い被毛を揺らしながら歩く様子が目を引き、ドッグショーが盛んなアメリカでも人気の高い犬種です。

アイリッシュ・セターとの快適生活のコツ

もともと鳥猟犬であるアイリッシュ・セターには、豊富な運動量が必要です。
毎日2回は、お散歩に連れて行ってあげましょう。
ただ歩くだけでなく、ドッグランなどで思う存分走らせたり、ボール遊びをしてあげると、アイリッシュ・セターの満足度が高まるはずです。
本来はそれほど吠えない犬種ですが、運動不足になると、噛んで家具などを破壊したり、吠えたりしてストレスを解消しようとするかもしれません。
アイリッシュ・セターとの暮らしでは、質の高い運動の提供が必須です。

アイリッシュ・セターの平均寿命は?

日本の家庭犬の平均寿命は約14歳で、サイズ別ではアイリッシュ・セターが属する大型犬はもっとも短命であると言われています。
アイリッシュ・セターの平均的な寿命は11~14歳ほどだと考えられます。

アイリッシュ・セターのかかりやすい病気

アイリッシュ・セターのかかりやすい病気

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アイリッシュ・セターは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・胃捻転胃拡張症候群

胸が深い犬種であるアイリッシュ・セターは、胃捻転になりやすいので日常的に注意が必要です。
予防のために、食後2時間ほどは運動を控える、水をなるべくガブ飲みさせない工夫をする、早食い防止食器を活用して一気に食べないようにするといった管理を怠らないようにしましょう。
胃捻転胃拡張症候群の初期症状は、吐きたそうにしているのに吐けない、室内を不安そうな様子でウロウロしたり部屋の隅で背中を丸めてうずくまったりする、よだれを流すといったもの。
急速に悪化して、処置が遅れると命を落とす危険性があります。
初期症状に気付いたら、夜間でも、急患を受け付けている動物病院へ向かってください。

・外耳炎

アイリッシュ・セターは垂れ耳で、日本より寒冷な地域が原産の犬種です。
日本の高温多湿の環境では、耳の内部が蒸れて雑菌が繁殖しやすく、外耳炎になりやすいので要注意。
愛犬の外耳に耳垢が増えていたり、外耳が赤くなっていたりするようであれば、獣医師に早めに相談しましょう。
外耳炎の場合は、まずは獣医師による耳の洗浄ののち、飼い主さんが継続して行う点耳薬による治療が必要です。
耳カバーの付けっぱなしは耳の通気性を損ねるので、就寝中などは耳カバーは装着しないようにしてください。

・進行性網膜萎縮症(PRA)

アイリッシュ・セターは、かつては遺伝的な眼病である進行性網膜萎縮症(PRA)の好発犬種として知られていました。
ブリーディングによる管理が進んだ現在では、PRAになるアイリッシュ・セターは減少していますが、発症する可能性はあります。
PRAは若齢期からの発症があり、最終的には視覚を消失します。
初期症状は、暗い場所で見えにくくなること。
そのうち、明るい場所でも見えづらくなってきます。
アイリッシュ・セターと暮らす上では、念のため若齢のうちから定期的に眼科検診を受けるようにしましょう。
手術などで完治させられない病気ですが、早期に発見できれば、進行を少しでも遅らせるなどの手立ても可能です。

アイリッシュ・セターとの旅行の秘訣

アイリッシュ・セターとの旅行の秘訣

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アイリッシュ・セターは陽気で臆病なところがなく、他の犬や人に対する攻撃性も低いため、旅のパートナーとして申し分ありません。
そのため、つい油断をしてリードを持つ手を緩めてしまい、失踪させてしまわないように注意しましょう。
元来は狩猟犬であるアイリッシュ・セターは、気になる野生動物などを見つけて走って行ってしまう恐れがあるからです。
初めてのお出かけや旅行をする前には、呼び戻しや、リードを引っ張らないで歩けるようなしつけをしっかりマスターしておきたいものです。

アイリッシュ・セターは、絹のようになめらかな被毛が魅力の犬種です。
ただし、海水浴や山遊びをしたりすると、細い被毛が絡まったり傷んだりしがち。
宿泊先やカフェなどでの抜け毛対策も兼ねて、旅行中は洋服を着せておけば安心です。
海水浴用の犬用ラッシュガードなども活用してください。
耳カバー(スヌード)も、お役立ちアイテムのひとつ。
また、被毛の汚れを取り除けるよう、洗い流さないタイプのシャンプーや、大型犬用の使い慣れたブラシを持参するようにしましょう。

アイリッシュ・セターの価格相場は?

アイリッシュ・セターの価格相場は、20~40万円ほど。
ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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外観の美しさはもちろんのこと、愛情深く陽気な性格でも人気の高いアイリッシュ・セターと一緒ならば、どこへ出かけても楽しいに違いありません。
愛犬とのアクティブな生活をぜひ満喫してください。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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