【獣医師監修】華麗で従順なイングリッシュ・コッカー・スパニエルと愉快な日々を

耳の豊かな飾り毛が印象的な、イングリッシュ・コッカー・スパニエル。活動的で温厚な性格なので、旅のパートナーにもぴったりです。そんなイングリッシュ・コッカー・スパニエルの歴史や日常の管理におけるポイントを押さえておきましょう。

【獣医師監修】華麗で従順なイングリッシュ・コッカー・スパニエルと愉快な日々を
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イングリッシュ・コッカー・スパニエルの歴史

イングリッシュ・コッカー・スパニエルの歴史

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1946年まで、イングリッシュ・コッカー・スパニエルとアメリカン・コッカー・スパニエルは同じ犬種でした。
現在でも、コッカー・スパニエルと言えば、イギリスではイングリッシュ・コッカー・スパニエルを、アメリカではアメリカン・コッカー・スパニエルを指します。
スパニエルの歴史は古く、ウェールズ王のハウエル・ダニー(915~948年治世)の法典に「王のスパニエルは1ポンドの価値あり」という記載が残されています。
スパニエルの役割は、茂みに隠れている鳥を探し出し、飛び立たせることでした。
コッカーの名は、ウッド・コック(ヤマシギ)を捕らえる犬という意味を持ちます。
鉄砲ではなく網で猟をしていた時代は、コッカー・スパニエルは断尾をしていませんでした。
ところが、銃猟が盛んになると、鳥を見つけたコッカー・スパニエルが草むらで尻尾を振ったり吠えたりして、銃で撃つ前に鳥が飛び立ってしまう不都合が生じました。
そのため、断尾をするとともに、吠えにくいコッカー・スパニエルを選択交配するようになったと言います。
1892年にイギリスのケネルクラブが正式な犬種として認めた時には、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは吠えにくく温厚な性格の、理想的な家庭犬としても進化を遂げていました。
なお、現在は動物愛護の観点から、イギリスをはじめヨーロッパやオーストラリアなどで断尾は禁止されています。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルのサイズや被毛など、身体的な特徴

イングリッシュ・コッカー・スパニエルのサイズや被毛など、身体的な特徴

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イングリッシュ・コッカー・スパニエルの体高は、オスが39~41cm、メスは38~39cmが理想とされます。
被毛はシルキーで、顔部のみ短毛ですが、ボディや耳や四肢には飾り毛があります。
毛色には10種類以上があり、主流のカラーとも言えるブルーローン(白い部分に黒の差し毛が入る)をはじめ、ブラック、レバー(チョコレート)、レッド、ブラック&タン、ブラック&ホワイト、ブルーローン&タンなどがあります。
アメリカン・コッカー・スパニエルとの違いで明瞭なのは、頭部と顔部の骨格です。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルに比べて、アメリカンはマズルが短めで頭部が丸くドーム型をしています。
サイズは、イングリッシュのほうがアメリカンより大きく、鳥猟犬としての機能性を色濃く残しています。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルとの快適生活のコツ

イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、人に従順で甘えん坊な気質を持っています。
他の動物にも友好的なので、多頭飼育にも向いています。
室内で、なるべく孤独を感じさせないように育ててあげれば、本来の明朗快活さが伸ばされることでしょう。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルはもとは狩猟犬なので、運動欲求が高めです。
散歩は1日2回、早歩きやドッグランでの自由運動も可能な限り取り入れながら、質の高い運動を提供してあげてください。
鳥を回収する作業を行うこともあったので、物をくわえて持ってくる遊びも大好きです。
散歩に出られない悪天候の日は室内で、ボールやぬいぐるみを投げて取ってこさせる遊びを行ってあげれば、愛犬はきっと満足してくれるに違いありません。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルの平均寿命は?

日本の家庭犬の平均寿命は、約14歳です。
小型犬がもっとも長生きをすることがわかっていますが、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは中型犬ながら長生き犬種として知られ、平均的な寿命は12~15歳位だと考えられています。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルのかかりやすい病気

イングリッシュ・コッカー・スパニエルのかかりやすい病気

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イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・外耳炎

イングリッシュ・コッカー・スパニエルは垂れ耳の犬種の中でも、外耳炎の好発犬種です。
日常生活では、ブラッシングの際など、こまめに愛犬の耳の内部をチェックしてください。
もし耳垢が増えていたり、耳が臭いと感じたり、外耳道が赤みを帯びていたりしたら、外耳炎の可能性があるので動物病院へ。
外耳炎だと診断されたら、まず耳を洗浄したのち、点耳薬などにより治療を行います。
予防のため、耳の内部の通気性を良好にできるよう、寝ている時にたまに耳をめくっておくと良いでしょう。
泳ぐことが好きなイングリッシュ・コッカー・スパニエルも多いですが、水遊びやシャンプーで被毛が濡れたあとは、しっかりとドライヤーで乾かしましょう。

・皮膚疾患

コッカー・スパニエルの皮膚は少し脂っぽいという特質があります。
そのため、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、脂漏症、膿皮症、マラセチア皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などを発症しやすい傾向にあります。
愛犬が痒がっていたり、皮膚に異常が見られた場合は、早めに獣医師に診てもらってください。
痒みを伴う皮膚疾患は、愛犬の心理的なストレスの原因になります。
また、掻き壊すことで皮膚のバリア機能が弱まり、二次感染を起こす恐れもあります。
早期発見と、病状に適した早期の治療開始に努めましょう。
皮膚を健やかな状態に保つために、こまめなブラッシングと、定期的なシャンプーやトリミングも必須です。

・突発性激怒症候群

イングリッシュ・コッカー・スパニエル、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルなどには、突然攻撃的になり、人や犬やまわりの物などに本気で咬みついたりする突発性激怒症候群が見られることがあります。
これは先天的な脳の異常が原因なので、人の接し方やしつけによって行動を直すことはできません。
近年は、突発性激怒症候群を発症する血統を繁殖ラインから排除するというブリーダーの努力が実り、突発性激怒症候群を持つスパニエルは減少しています。
けれども、もし愛犬にその疑いが見られるようであれば、獣医師に相談しましょう。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルとの旅行の秘訣

イングリッシュ・コッカー・スパニエルとの旅行の秘訣

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イングリッシュ・コッカー・スパニエルは暑さにも寒さにも比較的強い犬種ですが、抜け毛が多いので、マナー面で安心していられるように、旅行中は洋服を着せるのをおすすめします。
耳の長い飾り毛は、においを嗅いだりごはんを食べたりする時に汚れがち。
耳カバー(スヌード)も持参して、シーンに合わせて活用しましょう。
ただし、耳カバーを付けっぱなしにしていると、耳の内部が蒸れて外耳炎の発症リスクがアップします。
就寝時などは、耳カバーははずしておいてください。

屋外で鳥を見ると、追いかけたくなる本能が目覚めてしまうことも。
飼い主さんがリードをゆるく持っていると、鳥を追って失踪してしまう危険性があるので、イングリッシュ・コッカー・スパニエルのリードはしっかりホールドしておきましょう。
念のため、首輪には迷子札をつけておきたいものです。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルの価格相場は?

イングリッシュ・コッカー・スパニエルの価格相場は、15~35万円ほど。
ドッグショーでチャンピオンを獲得している親犬から生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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フレンドリーで温厚で、吠えることも少なく、人に寄り添うことに喜びを感じるイングリッシュ・コッカー・スパニエルは、飼い方で不安な要素がないのはもちろん、旅の良きパートナーになってくれる理想的な家庭犬です。
見た目にも華麗でフォトジェニックなイングリッシュ・コッカー・スパニエルと一緒に、楽しい日々を過ごしてくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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