【獣医師監修】おとなしく愛らしい狆と一緒に、ハッピーな毎日を

日本犬の一種である、狆(ちん)。小さくて愛らしく、独特の魅力を持つ狆との毎日を楽しめるように、生活の注意点、かかりやすい病気、旅行の秘訣などを心得ておきましょう。宮中でも愛玩された狆の歴史についても、紹介します。

【獣医師監修】おとなしく愛らしい狆と一緒に、ハッピーな毎日を
出典 : pixta_40870754

狆の歴史

狆の歴史

pixta_14041197

ジャパンケネルクラブ(JKC)で愛玩犬グループに属する狆の原産国は、日本です。
約1300年前に、中国や新羅(韓国)の宮廷から渡来した犬に由来すると伝えられています。
「生類憐みの令」で有名な徳川綱吉の時代(1680~1709年)には、室内犬として江戸城で飼育されていました。
イギリス人やアメリカ人が日本から海外へと狆を持ち帰ったり紹介したりしたのち、世界でも注目されました。
イギリスのビクトリア女王が愛育したことも知られています。
日本でも、上流階級の婦人たちに人気の“座敷犬”として、長きにわたり愛されてきました。

狆のサイズや被毛など、身体的な特徴

狆のサイズや被毛など、身体的な特徴

pixta_40870722

狆の体高は、オスが25cm前後、メスはオスより小さめです。
左右対称が好ましいと言われる白と黒の斑が、狆の顔の印象を深めています。
丸みを帯びた頭部、大きな目、おちょぼ口が、狆の愛らしさを際立たせると言えるでしょう。
被毛は絹糸のようにまっすぐで長く、白地に黒か赤の斑があります。
中国の宮廷で愛育されていたペキニーズと見間違う人もいるようですが、ペキニーズよりも狆のほうが小型で四肢が長く、華奢な体格をしています。

狆との快適生活のコツ

狆との暮らしで必要なしつけは、トイレくらいでしょうか。
狆はとても飼いやすい犬種です。
性格も穏やかでおとなしく、ほとんど吠えることもありません。
かといって、散歩も行かず室内だけで過ごさせては、刺激不足で狆にもストレスが溜まります。
健康促進にもつながる適度な日光浴も兼ねて、また体の運動だけでなく脳の運動にもなるため、毎日短時間でも散歩をしてあげましょう。

狆の絹糸のような美しい被毛は、絡まりやすいので要注意。
飼い主さんとのコミュニケーションやスキンシップにもなるブラッシングは、日課にしてください。
もし愛犬がブラッシングを嫌がるようであれば、長時間噛めるジャーキーのようなおやつを使いながら、愛犬がうれしい気分でブラッシングができるようにするのがコツ。
毎回完璧にブラッシングを終えようと無理をせず、愛犬が飽きる前に終了するのもポイントです。

狆の平均寿命は?

日本の家庭犬の平均寿命は約14歳で、サイズ別では狆が属する小型犬がもっとも長生きできると言われています。
狆の平均的な寿命は12~15歳ほどだと考えられます。

狆のかかりやすい病気

狆のかかりやすい病気

pixta_16365380

狆は、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・膝蓋骨脱臼(パテラ)

簡単に表現すれば、膝のお皿がはずれてしまう関節疾患です。
軽度のグレード1から重度のグレード4までに分類され、重症の場合は外科手術で治療を行うのが一般的です。
グレードが高いまま放置しておくと、他の関節疾患の引き金にもなるので注意が必要です。
若齢のうちに手術をしたほうが、中高齢期に生活の質を落とさず、愛犬も関節炎などの痛みによる苦痛を味わずに済むでしょう。
滑る床やソファなどから飛び降りることが発症リスクを高めたり、重症化の要因になるので、狆の過ごす場所にはカーペットを敷くなど、生活環境を整えてあげてください。

・外耳炎

狆は垂れ耳な上に耳まわりに豊かな飾り毛を持っているので、耳の内部が蒸れて雑菌が繁殖しやすく、外耳炎になりやすい傾向があります。
愛犬の外耳に耳垢が増えていたり、耳が臭いようであれば、獣医師に早めに相談を。
外耳炎の場合は、獣医師による耳の洗浄ののち、飼い主さんが継続して行う点耳薬による治療が必要です。

・僧帽弁閉鎖不全症

高齢の小型犬に多い心臓病で、僧帽弁の動きに異常が生じて血液が逆流します。
聴診で心雑音が認められるのが特徴なので、狆と暮らす上では、シニア期以降は定期的に獣医師に聴診をしてもらいましょう。
レントゲン検査や超音波検査で、確定診断が可能です。
僧帽弁閉鎖不全症の治療の主流は、内服薬による内科療法です。
重症の場合、施設は限られますが、近年は外科手術による治療も行えます。

狆との快適旅行のポイント

狆との快適旅行のポイント

pixta_40870757

狆は抜け毛も体臭も少なく、あまり吠えることもないので、安心して旅行に連れて行ける犬種です。
狆との旅行の必須アイテムは、グルーミンググッズ。
白を基調とする被毛は汚れると目立つため、水のいらない泡タイプのシャンプーなどがあると、すぐに汚れを落とせるので便利です。
もちろん、使い慣れたブラシなども忘れずに。

狆は江戸時代に、大奥の貴婦人に抱かれて寝室に入ったあと、布団から出て歩く際に足音で人を起こさないように伸ばされたという、筆毛と呼ばれる足先の長い毛を持っています。
アクティブに動く旅行中は、狆が歩きにくかったり、足が汚れる可能性があるので、筆毛を事前にカットしておくのもよいでしょう。

狆の価格相場は?

狆の価格相場は、15~45万円ほど。
ドッグショーでのチャンピオンを輩出しているブリーダーの犬舎で生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

pixta_14041205

江戸時代には着物を着せられることもあったという、日本が世界に誇る愛玩犬である狆。
心穏やかに小型犬との暮らしを送りたい人には、ぴったりのパートナーになってくれることでしょう。
健康管理や被毛の手入れをしっかり行いながら、狆との優雅な毎日を満喫してください。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

編集部のおすすめ記事

今週の「ライフスタイル」記事ランキング