【獣医師監修】テリアの中で最大のエアデール・テリアと紡ぐスマートライフ

テリア種の中で最大の大きさを誇る、エアデール・テリア。軍用犬、盲導犬、警察犬など幅広いフィールドで活躍してきた聡明なエアデール・テリアの歴史、飼い方のコツ、かかりやすい病気までを幅広く知り、大型テリアとの充実ライフを過ごしましょう。

【獣医師監修】テリアの中で最大のエアデール・テリアと紡ぐスマートライフ
出典 : pixta_18720063

エアデール・テリアの歴史

エアデール・テリアの歴史

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エアデール・テリアの原産国はイギリスで、キング・オブ・テリアと呼ばれています。
17世紀頃、ヨークシャー地方のエア川ではオッター・ハウンドを使用したカワウソ猟が行われていました。
そのオッター・ハウンドと、大きめのテリア種が交配されて誕生したのが、エアデール・テリアです。
最初は地名に由来したビングリー・テリアや、カワウソ猟に従事したことからウォーター・サイド・テリアと呼ばれていましたが、1878年にエア川にちなみエアデール・テリアと命名されました。
猟犬としてだけなく、日本では昭和初期に軍用犬として広く育成されました。
戦後は、警察犬や盲導犬として、さらに現在は災害救助犬や介助犬として幅広く活躍しています。

エアデール・テリアのサイズや被毛など、身体的な特徴

エアデール・テリアの体高は、オスが約58~61cm、メスが56~59㎝です。
毛色は、ブラック&タンとグリズル&タンがあります。
どちらもタン(黄褐色)を基調に、顎の上部や胴体や尾の上部がブラックかグリズル(ブラックとグレーとレッドが混じり合った色)になった毛色です。
エアデール・テリアは水中でも作業をしたため、水が皮膚まで届きにくいよう、わずかに縮れたりウェーブしている上毛(トップコート)を持つのも特徴です。
前脚の間にわずかに白い毛が見られることもあります。
水中作業がしやすいように、長い四肢とすっきりと長めの首を持ち、まさに“キング”の名にふさわしい風格と気品ある姿をしています。

エアデール・テリアとの快適生活のコツ

エアデール・テリアとの快適生活のコツ

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賢くて勇敢、さらにフレンドリーで明朗な性格から、エアデール・テリアは猟犬の枠を超えて使役犬としても多くの現場で愛されています。
人と共に働くことを喜びとする犬種なので、エアデール・テリアを迎え入れたら、屋外ではなく室内でたくさんの愛情を注いで育ててください。
そうすれば、すばらしい信頼関係が築けることでしょう。
ただし、猟犬としての本能を持つテリアの一種です。
獣と戦うことも恐れないマインドの強さを備えている大型犬なので、しっかりとトレーニングを行う必要があります。
まずは子犬期に、犬の幼稚園やしつけ教室などに通うなどして“社会化”に力を注ぎましょう。
社会化とは、生きていく社会のあらゆる物や生き物や音などに慣れること。
警戒心の低い子犬のうちに、他の犬や人と上手にコミュニケーションが取れるようにしておけば、成犬になってからどこへでも安心して連れて行けます。
生後半年以降を目安に、興奮を抑えるためのオスワリやマテを教え、飼い主さんを引っ張らずに歩けるレッスンなどを行いましょう。
テリア種は全般に体力があり、運動欲求が高め。
エアデール・テリアとの暮らしでは、毎日最低でも合計1時間半以上はお散歩をしてあげたいものです。
作業欲を満たすために、訓練競技会やドッグスポーツにチャレンジするのもおすすめです。

エアデール・テリアのお手入れ方法

エアデール・テリアのお手入れ方法

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エアデール・テリア本来の硬いトップコートを保つには、プラッキングと呼ばれるトリミングの手法が欠かせません。
粗毛を持つテリア全般が行っているプラッキングは、ハサミで被毛をカットするのではなく、トリミングナイフと呼ばれる特殊な櫛を使って古いトップコートを抜いていく技法です。
プラッキングの頻度は、月に1回が目安。
独学やセミナー受講によって技術を習得して、自宅でプラッキングを行う飼い主さんも少なくありません。
トリミングサロンに依頼する場合は、プラッキングを行えるトリマーがいることを確かめてから依頼をしましょう。

エアデール・テリアの平均寿命は?

日本の家庭犬の平均寿命は約14歳で、サイズ別では小型犬がもっとも長生きします。
エアデール・テリアの平均的な寿命は、11~14歳ほどだと考えられます。

エアデール・テリアのかかりやすい病気

エアデール・テリアのかかりやすい病気

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エアデール・テリアは、以下の病気に比較的かかりやすい傾向があります。

・皮膚疾患

エアデール・テリアは水中作業に適した、脂っぽくて水を弾きやすい皮膚を持っています。
そのため、皮脂の分泌異常が原因で起こる脂漏症になりやすい傾向にあります。
脂漏症の場合、シャンプー療法をはじめ、病状によって内科療法などで治療を行います。脂漏症がきっかけで、マラセチアが増殖してマラセチア皮膚炎に進展するケースも少なくありません。
また、アトピー性皮膚炎を発症するエアデール・テリアもいます。
愛犬の皮膚に異常が見られたり、愛犬が痒がっている様子を見せていたら、なるべく早期に動物病院を受診しましょう。
皮膚病は早期に発見して早期に治療を始めるのが、愛犬のストレスを減らすためにも重要です。

・外耳炎

皮膚が脂っぽいため、日本のような高温多湿の環境で暮らすエアデール・テリアは、外耳炎にかかりやすいと言われています。
耳垢が増えた、耳が赤い、外耳道が臭うといった症状が見られたら、獣医師に相談を。
動物病院ではまず、耳洗浄を行います。
外耳炎だと診断されたら、点耳薬による治療を継続しなければなりません。

・胃捻転胃拡張症候群

エアデール・テリアのような胸が深い犬種は、胃捻転を起こしやすいので注意が必要です。
胃捻転の初期症状は、吐きたそうにしているのに吐けない、不安そうな様子でウロウロする、背中を丸めて座る、よだれを流すなど。
悪化すると、呼吸困難に陥ります。
命を救うには、初期症状のうちに気付いて動物病院に急行するしかありません。
診察時間外や夜間でも、すぐに急患を受け付けている動物病院に向かってください。
多くは緊急手術で、胃捻転胃拡張症候群の治療を行います。
胃捻転を予防するためには、食後2~3時間は運動を控えること、早食いやガブ飲みを予防することが重要です。

エアデール・テリアと快適に旅行する秘訣

大型犬であるエアデール・テリアと旅先で安心して過ごすには、まずは、オスワリ、マテ、テーブルに手をかけないといった基本的なしつけをマスターさせておきましょう。
エアデール・テリアは利口な犬種ですが、しつけをしなければ、好奇心旺盛の怖いもの知らずで興奮しやすい“テリア気質”が全面に出てしまう可能性もあります。
必要に応じて、ドッグトレーナーの力を借りるのもよいでしょう。
旅先のカフェや公共スペースでは、なるべくフセをさせておけば安心です。
ぜひカフェマットを持参し、シチュエーションにあわせて活用してください。
カフェマットは抜け毛を床に残さないで済むので、マナー面でも利便性が高いでしょう。
エアデール・テリアはダブルコートの犬種の宿命として、抜け毛が多め。
抜け毛の飛散量を軽減できる、洋服を着せておくのもおすすめです。

エアデール・テリアの価格相場は?

エアデール・テリアの価格相場は、20~40万円ほど。
ドッグショーでチャンピオンを獲得している親犬から生まれた子犬は、価格が高くなる傾向にあります。

まとめ

まとめ

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テリアの王様と呼ばれ、テリア愛好家の憧れの的であるエアデール・テリア。
飼いやすさの面では、大きさや必要運動量やお手入れ方法を考えると、中級から上級向きの犬種かもしれません。
それでも、トレーニングでもスポーツでもオールマイティーな能力を発揮するエアデール・テリアと一緒に暮らせば、様々な可能性が広がり充実した日々が過ごせるに違いありません。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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