【ドッグトレーナー監修】なぜ、犬の嗅覚はすごいの? 人の何倍? どのくらいの距離まで嗅ぎ分ける?

よく知られている通り、犬の嗅覚はとても優れています。ここでは、具体的にどのくらい優れているのか、その素晴らしい犬の嗅覚についてお話します。ほかにも、嗅ぎ分けるのが得意なにおいの種類、嗅覚がとくに発達している犬種、警察犬の高度な嗅覚の使い方など、犬の嗅覚にまつわるあれこれを紹介していきます

【ドッグトレーナー監修】なぜ、犬の嗅覚はすごいの? 人の何倍? どのくらいの距離まで嗅ぎ分ける?

犬の嗅覚がすごい理由は?

犬の嗅覚がすごい理由は?

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●わずかなにおいを嗅ぎ分ける

においは、鼻の中の嗅上皮(きゅうじょうひ)にある嗅細胞(きゅうさいぼう)によって感知されます。

犬はにおいを受け取る場所(嗅上皮)の面積が広く、細胞の数も多いため、人より敏感ににおいを嗅ぎ取ることができるのです。
具体的な上皮の面積は、人間は3〜4㎠であるのに対し、犬は18〜150㎠にもなります。

●得意なにおい
犬がより敏感に嗅ぎ分けられる、得意とするにおいがあります。
それは酢酸と吉草酸(きっそうさん)です。

・酢酸とは
酢酸は人間の汗に含まれています。
人間と暮らすようになった犬が、飼い主さんのにおいを嗅ぎ分ける能力が発達したのではないかという説があります。

・吉草酸(きっそうさん)とは
脂肪酸の一種である吉草酸。
分かりやすくいうと、足の裏のにおいのことです。
靴下が好きな犬が多いのは、飼い主さんの足裏のにおいに敏感に反応しているからかもしれません。

犬の嗅覚は人の何倍?

犬はにおいの情報処理を行なう嗅球とよばれる脳の部位が発達しています。
そのため、犬の嗅覚は人に比べて数千倍から1億倍優れているといわれています。
(酢酸は人の1億倍、吉草酸は人の170万倍)

これはにおいを「100万倍強く感じている」「100万倍遠くからでも嗅ぎ取れる」というわけでなく「人が感じ取れる最小の物質が、さらに100万倍薄まっても感知できる」ということを表しています。

犬の嗅覚はどのくらいの距離まで嗅ぎ分ける?

犬の嗅覚はどのくらいの距離まで嗅ぎ分ける?

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嗅覚が優れている犬ですが、遠くのにおいを嗅ぎ取るのが得意なわけではありません。
犬がキャッチできるのは、風向きにもよりますが最大で3m範囲くらいまでといわれています。

たとえば警察犬がにおいを追う際も、遠くのにおいを嗅ぎ取っているのではなく、足元の地面に付着した微量なにおいを感知して追跡しているのです。

犬の嗅覚、芳香剤は嫌い?

人よりはるかに発達した嗅覚を持つ犬にとって、芳香剤の香りはどのような影響があるのでしょうか。

基本的には、日常生活において人間に支障ないレベルであれば、犬への影響もほぼないと考えても大丈夫ですが、化学物質などから作られた人工的な匂いや刺激臭が強すぎるものは苦手に感じているかもしれません。

なお、ココナッツやジンジャーの匂いを犬に嗅がせると睡眠が増えたという研究もあるため(Johnathan Binks, Sienna Taylor et al., 2018)、これらの匂いは犬にとってリラックス効果があるかもしれません。

犬の嗅覚、犬種別の特徴

犬の嗅覚、犬種別の特徴

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●嗅覚に優れたセントハウンド
マズルの長さによって嗅覚は異なります。
鼻が長い犬種は嗅上皮の面積が広く、細胞の数も多いため、より優れた嗅覚を持ちます。

なかでも、セントハウンドと呼ばれるグループの犬種は、優れた嗅覚を最大限に活用し、タフな集中力で獲物を追跡するエキスパートです。
代表的な犬種にビーグルやバセット・ハウンドが挙げられます。

●「猿追い」が得意な日本犬
近年、日本の各地で、農作物を守るために猿を山へ追い戻す使役犬「猿追い犬」が活躍しています。
モンキードッグとも呼ばれています。
訓練によってさまざまな犬種のモンキードッグが誕生していますが、なかでも「猿追い」に向いた性質を持つといわれるのが、柴犬をはじめとする日本犬です。

日本犬は空気中の上方に漂う臭いを察知することに長け、木の上にいる猿の臭いを感じ取ることを得意としています。
これは、日本のマタギの猟では樹上の獲物を追うことが多かったため、マタギ犬として活躍していた日本犬には本能的にこうした能力が備わっているためと考えられています。

ちなみに、ヨーロッパの犬種は地中にある巣穴を探索したり、地面に近い部分の臭いを追跡する能力に優れています。
同じ嗅覚の能力でも、こうした犬種の由来によるものがあるのです。

警察犬はどのくらいすごいの?

警察犬はどのくらいすごいの?

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高度な訓練を受けることで、犬が持つ嗅覚の能力を最大限に発揮しています。

●追跡する能力
地面にわずかに残った特定のにおいを手がかりに、対象人物の移動した順路を追跡していきます。
警察犬は靴の裏の匂いではなく、対象人物の体から落ちた細胞の匂いをかぎ取って追跡しているといわれています。

●判別する能力
複数のにおいを嗅ぎ分ける能力にも優れています。
嗅いだにおいを記憶にとどめ、同じにおいのするものや人を嗅ぎ分けて判別することができます。

犬の嗅覚、においに敏感な犬は?

●嗅覚を使うには訓練が必要
家庭犬として暮らす犬は、嗅覚をフル稼働して情報を得ることが少なくなっています。
視覚で判断することも多い犬たちは、優れた嗅覚を持っていても、意識的に使っていなければ能力は発揮できません。
そこで、おやつが入った箱や入れ物をにおいで当てたり、特定のにおいをつけたものを部屋の中から探すような、嗅覚を使うトレーニングを日常のゲームや遊びとして取り入れてみましょう。
こうした学習を進めていくと、嗅覚を使うことが習慣になり、より研ぎすまされて、犬の本能的欲求が満たされるでしょう。

●嗅覚が弱い犬種
パグやフレンチ・ブルドッグ、ボストンテリアなど、鼻が短く短頭種と呼ばれる犬は、ほかの犬種にくらべて嗅覚が劣るといわれます。
(Zita Polgár et al., 2016)
鼻が極端に短いために嗅上皮のスペースが狭く、においを感知する細胞の数も少ないためと考えられます。

犬の嗅覚まとめ

 犬の嗅覚まとめ

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人間の1億倍も優れた嗅覚を持つ犬たち。
人間にはキャッチできないわずかなにおいを感知したり、複数のにおいを識別したりと、人間の鼻の機能とは大きく異なっていることが分かります。
こんなにも素晴らしい能力を持っているのですから、お散歩中や家の中など日常的にも嗅覚を使う遊びを取り入れるなどして、その力を発揮させてあげましょう。
ぜひ、におい当てゲームを愛犬と一緒に楽しんでみてください。
優れた能力にきっと驚かされるはずですよ。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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ライタープロフィール

石川 明加 Haruka Ishikawa

石川 明加 Haruka Ishikawa

フリーライター 【経歴】 1977年生まれ神奈川県出身。目白学園女子短期大学国語国文科卒。編プロ勤務を経て2005年より独立。以来、雑誌や広告、webメディアなどで取材執筆。美容と健康、ウエディングからペットとの暮らしまで、より豊かな毎日を過ごすための女性のライフスタイル提案などを多く取材。おもにウェディング系、ペット関連の分野にて長く取材を続けており、ペット記事の執筆歴は10年以上。 【執筆歴】 ペット系フリーマガジン『ONE BRAND』、ウェディング情報誌『Wedding collection』、雑誌『ESSE』、webメディア『ourage』ほか 【ペット歴】 犬、猫、ハムスターなど。現在は、元保護犬のはな(メス、シニアの洋犬ミックス)と暮らす。 【ペットへの想い】 その短い命で、私たちの人生をどれほど豊かにしてくれるのでしょう。いつでも愛してくれて、希望をくれて、最高に笑わせてくれます。仲良くしてくれてありがとう。 【愛犬とのエピソード】 リビングのソファで「はな」と一緒に寝ているとき、だいたいは私の頭と反対側に「はな」が寝ています。たまに、太ももやお腹の上に乗っかっていて、私が体の向きを変えた拍子に仰向けにひっくり返ります。起き上がると「またやったの?」というような顔をして(もしくは何もなかったように)耳を片方ひっくり返したまま私を見ます。「はな」には悪いですが、その様子が面白く「ごめん、ごめん」と言いながら笑ってしまいます。それから、はなが水を飲むとき、水入れの周りがいつも水びたしになります。その水びたしの光景が「はなが水を飲んだのね」と安心できて好きです。

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