【獣医師監修】老犬をペットホテルに預けたい、その種類は?選び方やポイント、注意点は?

老犬をペットホテルに預けたいと思っても、一部を除き、一般的なペットホテルでは10歳以上の犬は受け入れてもらえないことが多いです。なぜなら老犬は体調を崩すリスクが高く、ケアや気配りもより必要で、専門的な知識や経験のあるスタッフも必要になるからです。ではどこに預けたらいいのでしょうか?その選択肢となる預け先やポイントとは?

【獣医師監修】老犬をペットホテルに預けたい、その種類は?選び方やポイント、注意点は?
出典 : pixta_22604422

老犬のペットホテルの種類①「老犬ホーム」

老犬のペットホテルの種類①「老犬ホーム」

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老犬の預け先として、一つには老犬ホーム(老犬介護ホーム)があります。

老犬ホームは飼い主さんに代わって老犬の世話をすることを業務としていますが、長期・生涯預かりの他、ショートステイやデイケアといった一時預かりや、1泊からの短期預かりサービスを設けているところも多いので、ペットホテル代わりに利用することは可能です。

料金の目安は以下のとおりです。
介護が必要な犬では料金が加算される場合もあり、別途フード代や、送迎代(送迎サービスがあり、希望する場合)、治療が必要な事態になった時にはその治療代などが必要になることもあります。

【老犬ホームに短期で預ける際の料金目安】

ショートステイ/1時間宿泊/1泊デイケア/8時間程
小型犬400~1,000円3,000~8,000円2,000~6,000円
中型犬500~1,000円4,000~9,000円3,000~9,000円
大型犬600~2,000円5,000~1万3,000円3,000~1万円

(注:施設の設備や地域、立地条件、スタッフ数などによって料金には大きく差が生じ、料金体系も様々です)

補足:
老犬ホームによっては、一時・短期預かりを「ペットホテル」と称しているケースもあります。

老犬のペットホテルの種類②「動物病院」

老犬のペットホテルの種類②「動物病院」

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もう一つの預け先として、動物病院があります。

動物病院に併設された一般的なペットホテルの場合は、愛犬が体調を崩した時にはすぐに対応してもらえるのが利点です。
かかりつけの動物病院であれば、その犬の状況も把握できているのでより安心でしょう。

また、預ける前に簡易的健康チェックをしてもらう、預けている間に診察やトリミングをしてもらうということも可能です。

補足:
動物病院が老犬ホームを運営しているケースもあります。

【動物病院併設のペットホテル料金目安】

宿泊/1泊
小型犬2,500~4,500円
中型犬3,000~5,500円
大型犬4000~7,500円

(注:施設の設備や地域、立地条件などによって料金がこれより高くなることもあります)

老犬のペットホテル選びのポイント・注意点は?①「預かり期間」

老犬はストレス耐性が低下しがちであり、認知症においても不安が強まる、怖がる、落ち着かない、興奮しやすいなどの症状が見られることがあります。(*1, 2)

預けることによって環境が変わり、家族がそばにいないことは老犬にとって少なからずストレスとなり、体調を崩す、または行動が変化するきっかけにもなりうるので、一時的に老犬を預けるならば、基本的に預ける時間・期間は短くしたほうがいいでしょう。

ただ、その一方では、特に老犬ホームの場合、他の犬がいることで心身によい影響を受ける犬や、老犬ゆえに周囲のことをあまり気にせず、預け先でそれなりに過ごせる犬もおり、預けることがその犬にとってよいかどうかは個体によりけりです。

参考資料:
(*1)Gary M. Landsberg et al.「Cognitive Dysfunction Syndrome A Disease of Canine and Feline Brain Aging」[Vet Clin Small Anim 42,2012 749–768) doi:http://dx.doi.org/10.1016/j.cvsm.2012.04.003 ]
(*2)Gary M. Landsburg et al.「Cognitive Dysfunction Syndrome A Disease of Canine and Feline Brain Aging」[Vet Clin Small Anim 42 (2012) 749–768 Doi:

老犬のペットホテル選びのポイント・注意点は?②「施設・サービス内容」

老犬ホームの場合、一口に老犬ホームと言っても、1頭ずつ個室型や、他の犬と雑居型、両者を併用型、外飼いの犬用の場所も設置しているなどホームそれぞれのスタイルがあるので、愛犬の状況や性格を考慮して選択するといいでしょう。

受け入れ可能な犬についても超大型犬まで可能なところもあれば、小型犬のみで中・大型犬は不可、大型犬は要相談というところもありますし、病気や障がいのある犬は要相談になる老犬ホームもあります。

また、24時間スタッフが常駐しているのか、夜間は監視カメラでの管理になるのか、無人になるのか、夜間における管理体制もチェックポイントの一つです。

老犬のペットホテル選びのポイント・注意点は?③「専門スタッフの有無」

老犬では介助・介護ケアが必要な場合もあり、成犬とは違った気配りが求められるため、預け先の施設に犬の扱いに慣れていることはもちろん、自身に老犬介護の経験がある、老犬の扱いに慣れている、獣医師や動物看護師など獣医療関係者・経験者であるといったスタッフがいることは、老犬を預ける際、条件の一つになります。

老犬ホームの場合は老犬介護士(他に類似の名称がいくつかある)、ペットシッター、トリマー、ドッグトレーナー、愛玩動物飼養管理士など動物関連の資格を有する人が多くおり、中にはドッグマッサージや整体などリハビリと直結する資格を有する人もいます。

老犬のペットホテル選びのポイント・注意点は?④「ワクチン接種」

老犬のペットホテル選びのポイント・注意点は?④「ワクチン接種」

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老犬ホームやペットホテルなど、犬を預ける時には、基本的に狂犬病や各種感染症の予防接種・混合ワクチン接種が済んでいることが条件となります。

中にはワクチン接種が済んでいない・できない犬でも受け入れている施設もありますが、その場合には、前もって健康診断が必要とされることがあります。

そもそも老犬のワクチンはどうしたらいいのか?

世界小動物獣医師会(WSAVA / World Small Animal Veterinary Association)の『犬と猫のワクチネーションガイドライン』では、ワクチンを3つのカテゴリーに分けていますが(*3)、私がこれまで取材してきた中では、「老犬は抵抗力も低下しているからこそ、病気など特段の理由がない限り、ワクチン接種を勧める。
ただし、重要かつ状況によって必要なワクチンのみに留め、その犬に合ったワクチン接種をすることが望ましい」という考えをもつ獣医師が多くいました。


老犬のワクチンが気になる場合には、かかりつけの動物病院でご相談ください。

なお、ワクチン未接種以外にも、伝染性の病気や噛み癖などがある犬は断られる場合があります。

参考資料:
(*3)World Small Animal Veterinary Association, Vaccination Guidelines Group「犬と猫のワクチネーションガイドライン」(日本語版)


老犬のペットホテル選び、代替手段は?「ペットシッター」

老犬のペットホテル選び、代替手段は?「ペットシッター」

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犬を預けたくない場合には、老犬訪問介護サービスや老犬ケア・老犬介護に対応できるペットシッターに依頼する選択肢もあります。
ただ、一般的に長時間や夜間、泊まり込みの対応は難しいので、留守にする時間が短い場合や、老犬でも元気な犬、ある程度健康状態が落ち着いている犬に向いているでしょう。

なお、冒頭で述べたように一般的なペットホテルは老犬の預かりが難しい中、老犬ケアサービスの需要が高まっていることから、一部にはサービスとして老犬を受け入れているケースもあるので、探してみるのもいいかもしれません。
その際、老犬に特化したケアサービスがあり、専門スタッフがいるか確認することはお忘れなく。

老犬のペットホテル選びポイント・注意点「まとめ」

老犬のペットホテル選びポイント・注意点「まとめ」

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愛犬を預ける時には、事前のカウンセリングなどで愛犬の健康状態や性格、食欲、癖、心配なこと、して欲しいこと、注意点などこと細かく伝えるようにしましょう。

大切な愛犬を託すのですから、スタッフの人柄もチェックポイントです。

さらには、預ける時間が長くなるほど、留守時の愛犬の様子をメールや電話、SNS、報告書などでこまめに報告してくれるかもペットホテル選びのポイントになります。

しかしホテルに預けるのも、慣れとトレーニングが必要です。
できるかぎり若くて、健康なうちから、たまにはペットホテルを利用して、家族と離れ、家以外の環境で寝泊まりすることに慣らしてあげることも大切です。

何より、日頃から愛犬の性格や健康状態、老犬ゆえの体・行動の変化などを把握しておくと、預けるときの大事な情報となるでしょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

大塚 良重 Yoshie Ootsuka

大塚 良重 Yoshie Ootsuka

犬もの文筆家&ドッグジャーナリスト 【経歴】 先代の愛犬(秋田犬のハーフ)が成犬になれぬうちに逝ったことがきっかけに、その後に迎えた愛犬(シェットランド・シープドッグ)との出会いが決定打となって、犬の魅力にどっぷりはまり、「犬に関わる仕事がしたい!」と思うようになったのは1980年代終わり頃。念願叶って、1990年代半ば、犬の世界へ飛び込み、フリーランスの犬専門ライターに転身。 当初は、写真撮影メインの仕事であったが、徐々にライティングに焦点をシフト。取材記事を中心に、犬専門雑誌や一般誌、書籍、新聞、Webなどで、犬に関する様々なテーマの記事を執筆。中でも、自身の愛犬の経験から、犬版の「介護・看護」をテーマに企画した4~5年にわたる連載記事は、後に、自著【りーたんといつも一緒に】に繋がる。 特に興味があるのは、老犬介護やペットロスをはじめとした「人と犬(動物)との関係性」。 自分がこの世に生まれてきたのは、愛犬と出会うためだったんだ…。そう思うほどに、私の魂をぎゅっと握って離さない愛犬という星のなんと大きなことか。人と犬とは、どうしてこんなにも深く、強く、繋がり合えるのだろう。そんな答えのない答えを、追い求め続けている。 そんな私の信条は、「犬こそソウルメイト」。 なぜこの仕事をしているのか?と聞かれたならば、「愛犬へ“ありがとう”と言いたいから」と答える。 今の自分を生かしてくれているのは、愛犬がいてくれたからこそだから。 一度想うとどこまでも、愛犬一筋派でもある。 【執筆歴】 月間「Wan」 月間「DOG FAN」 柴犬ファン、チワワファン、シュナウザーファンなどMOOK本シリーズ DOG Days 愛犬の友愛犬チャンプ高齢犬ケアハンドブック 訓練&アジリティー競技会に出場したい人のための ドッグ・トレーニングBOOKわが家の犬さがし 愛犬のカタログ ワンちゃんと泊まれる全国ホテル・旅館・ペンションガイド お犬のお宿 犬とのおでかけBOOK ノジュール「解体旬書 ペットとの旅を愉しむコツ」 暮しの手帖「ペットの健康相談」 週刊アスキー「いま飼いたいオススメの犬BEST5」 犬だいすき老犬介護のイロハ(連載)        など Web All About犬サイト(犬ガイド) All Aboutちびたす Yahooきっずペット docomo iコンシェル ヒーリング iタウン My レシピ.com ライオンスポンサードサイト「犬のオーラルケア」 PETomorrow PetLIVES Hotto マナトピ「信頼される飼い主でいたい! 愛犬の幸せ度チェック!」 その他、ドッグフードメーカー、車メーカータイアップ記事、ホームページコンテンツ制作     など 取材をお受けしての掲載記事、書籍/監修 ペット(夕刊) OZ magazine「natural tomorrow vol.16 ~ペット~」 GOO「愛犬と楽しむカーライフ」 fp「TREND “愛犬家”が考えるクルマ選びのポイントとは?」 これでイヌともっと話ができる R25「慌てる前に覚えておきたい、ペットが死んだ時の対処法」 クロワッサン特別編集「 防災BOOK」(2015~2019年版) どうぶつと生きる「シニア犬介護」 リクルートナビ「忙しい1人暮らで犬が飼えるか?」 マイレピ「飼い主も愛犬も満たされる 秋の”ペット旅”の楽しみ方」 サンデー毎日「大事な家族 ペットの熱中症防衛術」 サンデー毎日「気をつけろ! ペットの猛暑リスク」 ライフスタイル 「犬派と猫派どちらが多い?ペット共生を考える」 対談「シニア犬との生活」 Citrus「高齢者のペット飼育」他 smiles「犬とのハッピーな付き合い方」 CHANTO「犬を飼うときQ&A」 mom「ワンニャンといっしょ」     など 出演 Blue Ocean「ペットの防災」 Power Bay Morning「シニアペット事情」 グッドモーニング(インタビューコメントのみ) 取材協力・情報提供 Monocle(UK) 櫻井・有吉THE夜会 グッドモーニング その他、イギリスの出版社からの依頼による日本の犬事情リサーチにおけるコーディネート、ドッグフードメーカー、カメラメーカー、車メーカーのタイアップ   など 【著書】 『りーたんといつも一緒に』難病をもつ少女と愛犬たちの物語。 脊髄小脳変性症/アプラタキシン欠損症。当時、国内でこの難病指定を受けた子供は3人。“りーたん”はその一人だった。言葉はうまく喋れず、介助か車椅子がないと移動は困難なりーたんだが、毎朝起きるとキラキラした瞳で、「今日できること」を考える。 愛犬たちのほとんどは、元保護犬で、中には背骨を折られて道端に放棄されていた犬もいる。その犬の名は、モナミ。 車椅子のりーたんが、車椅子のモナミのリードを握って散歩に出かける姿は、まるで同士のようだ。 「いらない命はない」という、りーたんのママさんの言葉に包まれて、家族はただひたすら一瞬一瞬を大切に、明日という日を見つめて生きている。 【資格】愛玩動物飼養管理士1級 ホリスティックケア・カウンセラー

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