【獣医師監修】愛犬と飛行機で国内旅行するには? 安全な空の旅のヒント

愛犬を飛行機に乗せられれば、旅行の可能性はさらに広がります。とはいえ、飛行機に愛犬を乗せるまでには、様々な準備が必要です。まずは愛犬との国内線の飛行機旅行で注意するポイント、搭乗の流れ、機内の愛犬の過ごし方を見てみましょう。 ※本記事は【国内線】の搭乗に関する内容です。

【獣医師監修】愛犬と飛行機で国内旅行するには? 安全な空の旅のヒント

愛犬と一緒に飛行機の旅行はできる?

愛犬と一緒に飛行機の旅行はできる?

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愛犬を、飛行機に乗せることは可能です。
筆者もかつて、2頭のノーリッチ・テリアと、ゴールデンウィークには沖縄、夏休みには北海道を飛行機とレンタカーを利用して旅行しました。
事前にANAウェブサイトで予約をして、飛行機に預けることが可能な、IATA(国際航空運送協会)の規格に適合した十分な強度と頑丈な屋根のあるケージ(クレート)を用意。
ケージの屋根の部分には、念のため養生テープで愛犬の名前と所有者の電話番号を書き、写真を貼っておきました。
愛犬にとって、飛行機に乗ることは気圧の変化や大きな音にさらされるので、心地よいものとは言えないでしょう。
そのため、ケージを自宅リビングに出しておいて、その中でご飯をあげたり知育玩具で遊ばせたり、中に入れた毛布に愛犬自身のにおいをつけてあげたりして、あらかじめケージ内で安心感を得られるように準備をしました。
なお、ANAでは、数に限りがありますが貸し出し用ペットケージも利用できます。
空港まで布製の軽量キャリーバッグで出向き、愛犬を預け入れる際にレンタルケージに移すという方法もあります。
しかし、ゲージは普段から使っている慣れたものが愛犬にとっても安心できる場所となりますので持参することがおすすめです。
ノズル式の給水ボトルは、飼い主さんが事前に用意してケージに取り付けてください。
普段はフードボウルで水を飲んでいる犬は、舐めると水が出てくるタイプのノズル式給水器にも搭乗前に慣らしておきたいものです。
特にレンタルケージには愛犬自身や飼い主さんのにおいが付いておらず、中に入ると愛犬が緊張する可能性があります。
安心感を得られるにおいが付いた毛布やタオルなどは、預け入れの際に必ず入れてあげるようにしましょう。
出発前には、愛犬の健康状態を確認するのが重要です。
健康上の不安がある場合や、シニア以降になったら無理して飛行機に乗せず、愛犬の心身の負担軽減のためにも、ペットホテルに預けるといった柔軟な対応をとることも大切です。
普段の生活で問題なくとも分離不安でパニックになる等の心配もありますので、かかりつけの獣医師にも相談しておくことが安心でしょう。

愛犬は飛行機のどこに乗るの?

愛犬は飛行機のどこに乗るの?

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愛犬は、飼い主さんと一緒に航空機内の客室で過ごすことはできません。
ペットが乗るのは、空調機で温度や湿度を管理している貨物室です。
また、フライト中は貨物室の照明が消されます。

愛犬を飛行機に乗せるまでの流れと注意点

愛犬を飛行機に乗せるまでの流れと注意点

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狂犬病と混合ワクチンを接種済みの犬でなければ、飛行機に乗ることはできません。
そのため、搭乗日の2週間前までにはワクチン接種を動物病院で済ませておきましょう。
愛犬が音に敏感で怖がりな性格であったり、車酔いをしやすいタイプであれば、酔い止め薬や抗不安薬を獣医師に処方してもらい、愛犬を空港のカウンターで預け入れるまでに飲ませておけば安心です。
満腹や空腹の状態だと飛行機酔いをしやすくなったり、体調を崩す原因になります。
フライト前の食事は、排便のタイミングも考慮のうえ適量を心がけましょう。
搭乗前には、散歩と排泄を済ませておくのも愛犬のストレス軽減のために重要です。
愛犬を預ける場合は通常の搭乗手続きよりも時間を要するため、時間にゆとりを持って空港に到着するようにしましょう。
空港に着いたら、手荷物受託カウンター(ペットお預かりカウンター)に向かってください。
カウンターでは、署名のうえ同意書を提出(ペットお預け事前予約サービスを利用の場合は不要)。
続いて、1区間あたり1ケージ6,000円(ANAの場合。2020年4月現在)のペット料金を支払います。
ケージの底面にはトイレシーツを敷いておくほか、夏場はクールマットや冷感ケットといった冷却グッズ、冬場は毛布などの保温が可能なものを入れておくことをおすすめします。
チェックイン後の愛犬は、空調の効いた保管スペースで出発の20~30分前までの時間を過ごします。
その後、車両などに乗り、係員の手によって航空機まで大切に運ばれます。
航空機への移動や乗り降りの際に、ケージに入った愛犬が屋外にいる時間が生じます。
夏場は暑さによる熱中症などが心配なため、可能な限り早朝や日没後のフライトを利用するようにも心がけましょう。

飛行機に乗せられない犬種

飛行機に乗せられない犬種

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屋外が暑くなる時期は、熱中症になるリスクが高い短頭種を飛行機に乗せることは健康上の危険が伴います。
航空会社により条件は多少異なりますが、ANAの場合は、5月1日から10月31日まで、ブルドッグフレンチ・ブルドッグ、ボクサー、シー・ズーボストン・テリア、ブル・テリア、キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、チベタン・スパニエル、ブリュッセル・グリフォン、チャウチャウパグペキニーズを預けることはできません。
ANAでは5~10月に搭乗可能な犬種について、希望により、ペットケージに保冷剤や給水器を取り付けるサービスを行っています。

まとめ

<まとめ>

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愛犬を連れて飛行機で旅行をすることは可能です。
ペットケージを機内持ち込みすることはできず、屋外で過ごす時間もあるため、気温の変化に弱い子犬やシニア犬は、冬場や夏場はなるべく飛行機の利用は控えたほうが良いでしょう。
心身ともに丈夫で健康な愛犬でも、ケージ(クレート)に慣らす、酔い止めを動物病院で処方してもらう、搭乗日の食事や排泄の時間に気遣う、ケージ内の環境を整えるなど、安全な空の旅ができるように事前の準備を万全に行ってくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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