【獣医師監修】老犬とのドライブ(車移動)、旅行やお出かけの際の注意点やポイントは?

老犬を車に乗せてドライブに。愛犬のいつもとは違う表情も見られて、飼い主さんはもちろん、犬にとっても気分転換になることでしょう。ただし、老犬ならではの気をつけたいこともあります。季節や気温、車の揺れ、体の安定度、休憩のタイミングなどには配慮してあげたいものです。この記事では、老犬を車に乗せる際の注意点をまとめました。

【獣医師監修】老犬とのドライブ(車移動)、旅行やお出かけの際の注意点やポイントは?
出典 : pixta_43760325

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント①【持病(病気)】

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント①【持病(病気)】

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低血圧であると車に酔いやすいと言われます。
心臓病では血圧に変化が出ることがありますし、気温差やストレスなども症状に影響を与えることがあるので、心臓病がある場合は愛犬の状態をよく確認してください。

また、老犬に多く見られる突発性前庭疾患は、平衡感覚を司る三半規管や、その信号を受け取る脳幹に支障が出て、斜頸(しゃけい)、眼振、同方向にくるくる回るなどの症状が出ます。
自分でうまくバランスがとれず、目が回っているような状態なので、犬の状況にもよりますが、外の景色は見せないようにする、体を安定させるなどしたほうが犬にとっては楽でしょう。

その他、何らかの病気がある場合には、車に乗せること(特に長距離)が負担にならないか、熟考することをお勧めします。

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント②【車酔い】

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント②【車酔い】

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車酔いの要因として、以下のようなものが挙げられます。

✔体の不安定さ
✔車窓に流れる景色
✔不快な臭い
✔不快と感じる温度や湿度、車内のよどんだ空気
✔急ブレーキや急発進など粗い運転
✔不安、ストレス
✔疲れ、寝不足
✔空腹・満腹
✔体調不良
✔(人の場合)起立性低血圧や起立性調節障害のような病気によるもの   など

犬を車に乗せる時は、2時間前までには食事を与えておきましょう。

体は犬用のシートベルトやクレートなどを使用してなるべく安定させることをお勧めします。

また、車内のよどんだ空気は苦手な臭いをより強く感じさせます。
ガソリンやタバコの臭いはもとより、飼い主さんがつけている香水が犬にとっては刺激になることもあるので、窓を少し開ける、時々換気するなどの配慮を。

何より、事故防止のためにも犬に優しい安全運転を心がけることが大事です。

犬に吐き気がある時には、生あくび、よだれ、粗い呼吸、震え、落ち着かないなどの様子が見られます。
そのような時は車を停めて少し外を歩かせ、休憩するといいでしょう。

車酔いに効果があるとされるペパーミントやラベンダー、ジンジャーなどのアロマもありますが、老犬ではアロマの使用そのものに注意が必要とされるので、使用を考える場合は念のために動物病院でご相談ください。
または、酔い止め薬を処方してもらうのもいいと思います。

参考:車酔い・吐き気に効果のあるツボ【内関(ないかん)】
人で言うと、腕の内側で、手首から肘に向かって4分の1くらいの位置、親指にある。

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント②【車酔い】

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント③【ストレス・負担軽減】

ドライブでは2時間に1回程度の休憩をと言われますが、老犬は疲れやすくもあり、またトイレも我慢しづらいので、様子を見ながら、もう少しこまめに休憩を。

休日・連休で人が多い観光地・場所は、犬にもよりますが、老犬にはストレスになるかもしれません。

また、長距離のドライブは老犬に負担になることがあるので、行先も含め、愛犬の状況に合った場所や距離を考えてあげましょう。

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント④【乗せ方・シートベルト】

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント④【乗せ方・シートベルト】

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老犬は足腰が弱り、立ち上がりや方向転換に支障がある、ふらつきがあるということは珍しくありません。
ただ乗せているだけでは事故やケガのリスクが高くなるので、犬用のシートベルトを付ける、動かないように固定したドライブボックスやクレートに入れるなどしたいものです。

アメリカ自動車協会(AAA)によれば、時速約48キロで走行中の車がクラッシュした時、体重4.5kgの犬では136kg、体重36kgの犬では1,089kgの圧がかかるとか。
かなりな衝撃ですよね。

また、同協会とペット用旅行用品メーカーとが行った調査結果を見ると、犬を乗せる時の運転の仕方を改めて考えたくなる内容となっています。
以下、その調査結果の抜粋です。(*1)


・運転中に犬を撫でるなどして道路から目が離れることがある   52%
・車のブレーキをかける時に手や腕で犬を抑える   23%
・フロントシートに来ようとする犬を手や腕で抑える   19%
・膝の上に犬を乗せるか、抱っこしている   17%
・リアシートにいる犬に手を伸ばしてふれあう   18%
・食べ物やおやつを与える   13%
・犬の写真を撮る   3%
・何らかの形で犬を固定している   16%
・固定していないのはなぜ?
  自分の犬は落ち着いているので固定する必要がない   42%
  考えたこともない   39%
  短い距離だから   29%
  犬が窓から顔を出せるようにしてあげたいから   12%

ちなみに、海外では、「ドライバーの膝の上やすぐ近くに人や動物、物を乗せてはならない(ハワイ州)」などペットの乗せ方に言及した法令を設けているところもあります。

車ではどの座席が一番安全なのか気になるところですが、それよりもシートベルトをしているかどうかで大きく差が生じ、していない場合の致死率は14.7倍になるそうです。

参考資料:
(*1)AAA (Newsroom)「Nearly One in Five Responders to AAA/Kurgo Survey Admit to Taking Hands Off the Wheel to Keep Dogs from Climbing in Front Seat (2011)」

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント⑤【季節・天気】

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント⑤【季節・天気】

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老犬に限らず、犬を車に乗せて出かける際には、季節や気温、車内温度には注意が必要です。
老犬は体温調節がしづらく、熱中症になるリスクも高いので、暑い時期には短時間であっても犬だけを残して車から離れることはやめましょう。

暑い時期とは、なにも夏とは限りません。
JAFが行った実験(下表)によると、春や秋であっても車内はかなり高温になることがわかります。
過ごしやすい日だからと油断しないように気を付けましょう。

【季節ごとの車内温度】

季節気温車内温度
23℃48.7℃
ダッシュボード 70.8℃
真夏35℃57℃(黒色の車)
ダッシュボード 79℃
27℃(エアコン作動)
ダッシュボード 61℃
22.7℃37.5℃
ダッシュボード 52.3℃
26.8℃47.9℃
ダッシュボード 65.1℃

一般社団法人日本自動車連盟(JAF)「車内の環境(車内温度/紫外線/空調)(JAFユーザーテスト)」(*2)より作成

なお、同じくJAFの実験によると、暑くなった車内の温度を早く下げるには、「窓を全開にしてから、エアコンを外気導入にして走り出し、車内の熱気が出たところで窓を閉め、エアコンを内気循環にして車内を冷やす」(*2)のがもっとも効率的だそうです。

また、冬はエアコンを切った後、急激に車内が冷えるので、同様にご注意ください。

参考資料:
(*2)一般社団法人日本自動車連盟(JAF)「車内の環境(車内温度/紫外線/空調)(JAFユーザーテスト)」-春の車内温度-真夏の車内温度-秋の車内温度-冬の車内温度-夏の駐車場、車内温度をもっとも早く下げる方法は?

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント⑥【おすすめグッズ】

老犬とのドライブには、あると便利なグッズもあります。

スロープ
足腰の弱った大型犬では車の乗り降りが少し楽になる。

フロントシートとリアシートとの間を埋めるボード
犬をリアシートに乗せている場合、足元に空きがあるとシートから落ちることもある。
隙間をクッションで埋めるのもいいが、かえって不安定になるので、ある程度の安定性があるボード状の物で埋めることができると理想的。

シートの上に敷くフラットなボードやクッション
フラットでないシートでは足腰の弱った老犬では足が引っ掛かりやすい。
シートの上にフラットなボードやクッションを敷くと安定性が増す。

整腸剤(例:ビオフェルミン)
老犬はストレス耐性も低下しがち。
ちょっとしたことでお腹が緩くなることもあるので、常備薬として持参すると安心。

水を入れて凍らせたペットボトル(夏場)
老犬は熱中症にもなりやすい。
万一の時、体を冷やすのにも使える。

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント【まとめ】

老犬とのドライブ(車移動)注意点・ポイント【まとめ】

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犬がドライブ好きであるなら、たとえ歩けなくなった老犬でも車に乗せて近場に出かけることは日常に刺激を与え、また想い出づくりにもなることでしょう。

しかし、無理をさせるのは禁物。
愛犬の状況によっては旅行やドライブを諦める、それも愛情の一つです。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

大塚 良重 Yoshie Ootsuka

大塚 良重 Yoshie Ootsuka

犬もの文筆家&ドッグジャーナリスト 【経歴】 先代の愛犬(秋田犬のハーフ)が成犬になれぬうちに逝ったことがきっかけに、その後に迎えた愛犬(シェットランド・シープドッグ)との出会いが決定打となって、犬の魅力にどっぷりはまり、「犬に関わる仕事がしたい!」と思うようになったのは1980年代終わり頃。念願叶って、1990年代半ば、犬の世界へ飛び込み、フリーランスの犬専門ライターに転身。 当初は、写真撮影メインの仕事であったが、徐々にライティングに焦点をシフト。取材記事を中心に、犬専門雑誌や一般誌、書籍、新聞、Webなどで、犬に関する様々なテーマの記事を執筆。中でも、自身の愛犬の経験から、犬版の「介護・看護」をテーマに企画した4~5年にわたる連載記事は、後に、自著【りーたんといつも一緒に】に繋がる。 特に興味があるのは、老犬介護やペットロスをはじめとした「人と犬(動物)との関係性」。 自分がこの世に生まれてきたのは、愛犬と出会うためだったんだ…。そう思うほどに、私の魂をぎゅっと握って離さない愛犬という星のなんと大きなことか。人と犬とは、どうしてこんなにも深く、強く、繋がり合えるのだろう。そんな答えのない答えを、追い求め続けている。 そんな私の信条は、「犬こそソウルメイト」。 なぜこの仕事をしているのか?と聞かれたならば、「愛犬へ“ありがとう”と言いたいから」と答える。 今の自分を生かしてくれているのは、愛犬がいてくれたからこそだから。 一度想うとどこまでも、愛犬一筋派でもある。 【執筆歴】 月間「Wan」 月間「DOG FAN」 柴犬ファン、チワワファン、シュナウザーファンなどMOOK本シリーズ DOG Days 愛犬の友愛犬チャンプ高齢犬ケアハンドブック 訓練&アジリティー競技会に出場したい人のための ドッグ・トレーニングBOOKわが家の犬さがし 愛犬のカタログ ワンちゃんと泊まれる全国ホテル・旅館・ペンションガイド お犬のお宿 犬とのおでかけBOOK ノジュール「解体旬書 ペットとの旅を愉しむコツ」 暮しの手帖「ペットの健康相談」 週刊アスキー「いま飼いたいオススメの犬BEST5」 犬だいすき老犬介護のイロハ(連載)        など Web All About犬サイト(犬ガイド) All Aboutちびたす Yahooきっずペット docomo iコンシェル ヒーリング iタウン My レシピ.com ライオンスポンサードサイト「犬のオーラルケア」 PETomorrow PetLIVES Hotto マナトピ「信頼される飼い主でいたい! 愛犬の幸せ度チェック!」 その他、ドッグフードメーカー、車メーカータイアップ記事、ホームページコンテンツ制作     など 取材をお受けしての掲載記事、書籍/監修 ペット(夕刊) OZ magazine「natural tomorrow vol.16 ~ペット~」 GOO「愛犬と楽しむカーライフ」 fp「TREND “愛犬家”が考えるクルマ選びのポイントとは?」 これでイヌともっと話ができる R25「慌てる前に覚えておきたい、ペットが死んだ時の対処法」 クロワッサン特別編集「 防災BOOK」(2015~2019年版) どうぶつと生きる「シニア犬介護」 リクルートナビ「忙しい1人暮らで犬が飼えるか?」 マイレピ「飼い主も愛犬も満たされる 秋の”ペット旅”の楽しみ方」 サンデー毎日「大事な家族 ペットの熱中症防衛術」 サンデー毎日「気をつけろ! ペットの猛暑リスク」 ライフスタイル 「犬派と猫派どちらが多い?ペット共生を考える」 対談「シニア犬との生活」 Citrus「高齢者のペット飼育」他 smiles「犬とのハッピーな付き合い方」 CHANTO「犬を飼うときQ&A」 mom「ワンニャンといっしょ」     など 出演 Blue Ocean「ペットの防災」 Power Bay Morning「シニアペット事情」 グッドモーニング(インタビューコメントのみ) 取材協力・情報提供 Monocle(UK) 櫻井・有吉THE夜会 グッドモーニング その他、イギリスの出版社からの依頼による日本の犬事情リサーチにおけるコーディネート、ドッグフードメーカー、カメラメーカー、車メーカーのタイアップ   など 【著書】 『りーたんといつも一緒に』難病をもつ少女と愛犬たちの物語。 脊髄小脳変性症/アプラタキシン欠損症。当時、国内でこの難病指定を受けた子供は3人。“りーたん”はその一人だった。言葉はうまく喋れず、介助か車椅子がないと移動は困難なりーたんだが、毎朝起きるとキラキラした瞳で、「今日できること」を考える。 愛犬たちのほとんどは、元保護犬で、中には背骨を折られて道端に放棄されていた犬もいる。その犬の名は、モナミ。 車椅子のりーたんが、車椅子のモナミのリードを握って散歩に出かける姿は、まるで同士のようだ。 「いらない命はない」という、りーたんのママさんの言葉に包まれて、家族はただひたすら一瞬一瞬を大切に、明日という日を見つめて生きている。 【資格】愛玩動物飼養管理士1級 ホリスティックケア・カウンセラー

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