【おうちでできるセルフグルーミング】Vol.2 顔周り・耳周りのケア

愛犬の健康管理の一環として毎日の習慣にしたい「グルーミング」の基本、グルーマーの竹島将之さんに教えていただくシリーズ・第2回目は顔と耳のお手入れがテーマ。「目を傷つけてしまいそうで怖い!」「耳を触ると愛犬が嫌がってしまって…」など、苦手意識を感じている飼い主さんにも役立つヒントが満載です。

【おうちでできるセルフグルーミング】Vol.2 顔周り・耳周りのケア

意外と大切な「顔・耳」のケア

顔や耳のケアも毎日行うようにしましょう

ブラッシングと言うと胴体や首の毛並みを整えることだと思われがちですが、実は「顔と耳」についても被毛のケアが非常に大切です。

というのも、顔や耳のケアを怠ると見た目が悪くなるだけでなく、悪臭の原因となって愛犬とのコミュニケーションの障害になり、最悪の場合は目や耳の病気を引き起こしてしまうこともあるからです。

以下の3点を念頭において、顔や耳のケアも毎日行うようにしましょう。

<顔・耳のケアの目標>

・目やにを取り除いて目の周りを清潔に保つ
・口の周りの被毛に付着した食べかすやヨダレなどを取り除き、悪臭を防ぐ
・耳の汚れを取り除き、通気性を良くして悪臭を防ぐ

背後からはNG!顔・耳のケアは、必ず愛犬と向かい合って行う

顔や耳、口のケア用の基本アイテム

顔や耳、口のケア用の基本アイテム(※口のケアはVol.3で解説予定)
(左から:コーム、長い耳を結ぶシュシュ、イヤーローション、歯ブラシ、指サックとコットン)

まずは、基本の道具を揃えましょう。

前回お伝えしたとおり、体の被毛のブラッシングにはブラシとコームを使い分ける必要がありますが、顔や耳のブラッシングには原則としてコームを使います。

プロのグルーマーは柄のついているコームを使うこともありますが、柄が目に刺さるリスクを避けるために、家庭では上の写真のような柄のないコーム(写真)を使うと安心です。

顎の毛を指でつまみ、顎を固定すると安定する

顎の毛を指でつまみ、顎を固定すると安定する

ブラッシングのみならず、愛犬の顔や耳のケアを行うときの基本は必ず愛犬と向き合って行うこと。
背後から行うと、愛犬が思わぬ動きをしたときなどに、コームなどが愛犬の目などを傷つけてしまうおそれがあり、危険です。必ず上の写真のように愛犬と向かい合って、左手の指で軽く愛犬の毛をつかんで顎を支えながら行うようにしてください。

顔のコーミングは目から外側に向かって

目から外に向かってコーミング。コームが目に触れないよう十分に注意を

目から外に向かってコーミング。コームが目に触れないよう十分に注意を

顔の被毛をコームで梳かす際は、目から外側に向かって行います。
回数は1か所につき原則2~3回、サッと梳かす程度で十分。
ゴミや食べかすがついていないか、毛玉ができていないかを確認しましょう。

耳の皮膚は傷つきやすいので、力を入れすぎないこと

耳の皮膚は傷つきやすいので、力を入れすぎないこと

なお、耳の毛のコーミングも、毛の流れに沿って2~3回梳かす程度でOK。
耳の皮膚は柔らかくて薄く、傷つきやすいので、力を入れすぎないように注意してください。

毎日のケアで「涙やけ」を防ぐ

濡れたティッシュなどでこまめに拭き取りを

濡れたティッシュなどでこまめに拭き取りを

涙や目やにに気づいたら、濡らしたティッシュなどでこまめに拭き取って、目の周囲を清潔に保ちましょう。
涙や目やにが出る原因には個体差があるので一概には言えませんが、何らかの食物アレルギー症状やウイルス性の結膜炎などを起こしているおそれもあります。
急に涙や目やにの量が増えた場合は、まず獣医さんに相談してください。

涙やけが解消したケース。フード変更前(左)と変更後(右)

涙やけが解消したケース。フード変更前(左)と変更後(右)

涙や目やにをそのままにしてしまうと、悪臭の原因になってしまうばかりか、目の周りの被毛に色素が沈着して、いわゆる「涙やけ」を起こしてしまうおそれもあります。

なお、いったん涙やけになってしまった被毛を元に戻すことはできません。
治療や食生活改善を続けて涙や目やにの分泌を抑えつつ毛が伸びるのを待ち、色がついてしまった部分を切って取り除いていくことになります。

私がグルーミングを担当している愛犬の中には、与えているフードを変更したところ、涙などの分泌が減り、涙やけが解消したケースもありました。
フード選びに迷いや不安がある人は、かかりつけの獣医師やグルーマーに相談してみることをおすすめします。

実は簡単!耳のケアには「イヤーローション」の活用を

直接耳の穴にイヤーローションを入れて(左)、その後、耳元をマッサージする(右)

直接耳の穴にイヤーローションを入れて(左)、その後、耳元をマッサージする(右)

耳の掃除に苦手意識のある飼い主さんが多いですが、実はそんなに難易度は高くないので、ぜひ家庭でも日常的に行うようにしてください。

特に耳が垂れている犬種の場合はケアを怠ると悪臭や病気の原因になりやすいので、ケアせずに放置するのはNG。

グルーマーに定期的にケアしてもらうほか、自宅でもよごれや臭いの有無をこまめにチェックし、イヤーローションを使って汚れを取り除いてあげましょう。

イヤーローションを入れる際も顎をしっかり支えておく

イヤーローションを入れる際も顎をしっかり支えておく

イヤーローションは、犬の耳専用の洗浄液です。
愛犬の耳の中に所定の量のローションを入れた後、耳の根本をマッサージすることによって、こすらずに耳垢を落としてくれます。

「耳の穴に液体を入れて大丈夫?」と心配する飼い主さんもいらっしゃいますが、問題ありません。
マッサージの後、固定していた手を離すと、愛犬は首を左右に振って耳の中のローションを排出してしまうので、飼い主さんはティッシュやコットンで耳に残っているローションを拭き取ってあげれば、大丈夫です。

綿棒などで汚れをかき出す方法は、耳の粘膜を傷つけてしまうおそれがあるので、おすすめできません。
イヤーローションを活用して安全に耳掃除をしてあげてください。

密集して生えている耳の毛(左)を抜いてスッキリ(右)!

密集して生えている耳の毛(左)を抜いてスッキリ(右)!

なお、耳の中に毛が生えている場合は汚れが付着しやすい上に、通気性が悪くなって蒸れてしまい、臭くなってしまいます。
耳の中の毛はできるだけ抜いて、通気性をよくしてあげましょう。

輪ゴムなどは避け、ゆるく結べるシュシュを使用すること

輪ゴムなどは避け、ゆるく結べるシュシュを使用すること

また、耳が長い犬種の場合は上の写真のように人間用のシュシュで軽く結んでやると、通気性がよくなり、蒸れを防ぐことができます。
ただし、強く結びすぎると、耳の皮膚や毛に負担を与えてしまうので、必ず軽く結ぶようにしてください。

おわりに

グルーミングの基本は、あくまでも汚れやトラブルに対する「予防」

グルーミングの基本は、あくまでも汚れやトラブルに対する「予防」です。

状態がひどくなってからケアや治療をするより、汚れやトラブルが起きないように予防的な意味でのケアを行うほうが、愛犬の心身への負担もずっと少なくて済みます。
毎日、ほんの数分間でもいいので、愛犬と向き合って異常がないか、チェックしてあげる習慣を身につけましょう。

またサロンに行けない時は、手軽で簡単なおうちトリミングもおすすめです。
おうちでできるといつも清潔にできそうですね。

下記、UP LIFEの記事でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

次回は「歯と口周りのケア」の基本について、解説します。

ライタープロフィール

竹島 将之 Masayuki Takeshima

竹島 将之 Masayuki Takeshima

プロトリマー・グルーマー 【経歴】 幼少期より、生き物全般に大変興味があったため、動物に関わる仕事を目指しトリミングスクールに入学。 その後ペットショップ勤務を経て、スクール講師となる。 トリミングスクールでは、実技技術指導や講義を担当。 その後、幅広い現場経験を得るため、再び一からショップ店員に。 生体販売サービスのあるショップの店長として、仔犬の管理(食事のあげ方や技術を必要とする仔犬のシャンプーなど)、パピートレーニング(トイレトレーニングの1stステップ、お留守番練習や夜鳴き防止など)に深く関わり知識と経験を得る。 トリミング・仔犬の管理・しつけなど幅広い知識と経験を生かした『犬のトータルケアを目指す癒しのサロン』を立ち上げるため、2005年渋谷に「ドッグサロン グルーム」をオープン。 2007年に株式会社 グルームを設立、現在に至る。 店名のグルームはグルーミング(Grooming)に由来する。 トリミング犬種は、オールマイティに対応可能。 特殊技術であるナイフトリミングにも精通。 トリミングのみならず、しつけの相談やフードのアドバイスや健康面のアドバイスなど幅広いサポートを目指す。 【資格】 愛玩動物飼養管理士 1級(公益社団法人 日本愛玩動物協会) 【今まで飼っていたペット】 ・鶏(チャボ)、鳥類やその他いろいろ ・アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリア(アイルランド原産) ・アメリカン・ショートヘヤ(シルバー・クラシック・タビー)

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