【おうちでできるセルフグルーミング】Vol.3 歯槽膿漏の防止にも!愛犬のデンタルケア

愛犬の健康管理の一環として習慣にしたい「グルーミング」の基本を、グルーマーの竹島将之さんに教えていただくシリーズ。第3回は愛犬の歯と口周りのケアがテーマです。歯磨きが苦手な愛犬にも無理なく続けられるケアのコツを教えていただきました。

【おうちでできるセルフグルーミング】Vol.3 歯槽膿漏の防止にも!愛犬のデンタルケア

デンタルケアの基本は予防。「歯石を取ること」ではなく「歯石がつかないようにすること」が目的

歯石のついた歯(左)と除去後の歯

歯石のついた歯(左)と除去後の歯

まずは、飼い主さんの中にも苦手意識を持っている方が多い、愛犬の歯磨きについて、その目的を再確認しておきましょう。

私たち人間と同じく、愛犬も食事をすると食べ物のカスが歯に付着します。
付着した食べカスを放置しておくと、数時間で細菌の塊となる歯垢(別名プラーク)となってしまいます。

そして歯垢を放置しておくと、数日後には石灰化して固くなり、歯石へと変化します。
歯の表面に歯石がつくと、ますます歯石がつきやすくなり、放置していると歯石がどんどん厚くなってしまいます。

この悪循環が繰り返されると、愛犬の口の中で細菌が繁殖しやすくなり、歯周病や歯槽膿漏を発症、ひどい場合は歯が抜けたり鼻炎や下顎が骨折してしまうなど、重篤な症状に至ることも珍しくありません。

普段、歯のケアをしていない飼い主さんは、こういった愛犬の歯の状態の悪化に気づきにくく、歯周病による悪臭がひどくなってはじめて異変に気づき、「歯をきれいにしてくれませんか?」と相談にいらっしゃることが多いですね。

しかし、歯垢が歯石になってしまうと、普通に歯磨き等をしても除去はできません。
歯石を除去するには、原則として獣医師の診断を受けた上で、全身麻酔をして歯石を削ってもらうしかないのです。

つまり、愛犬の歯のケアの目的は「歯石を取ること」ではなく、「歯石がつかないようにすること」だということ。
まずは、これをしっかり理解した上で、日々のケアに取り組みましょう。

歯ブラシは上級者向け。苦手な愛犬には「指サック」で

歯のケアに使う指サック(左上)、脱脂綿(右上)

歯のケアに使う指サック(左上)、脱脂綿(右上)。歯ブラシは必ずしも使わなくてOK

とはいえ、「歯のケアをしようとすると逃げてしまって…」と悩む飼い主さんも多いものです。
中には、飼い主さんが歯ブラシを持っただけで逃げ出してしまう愛犬もいることでしょう。

ブラッシング中に愛犬が歯ブラシを噛んでしまい、うまくブラッシングができないケースも珍しくありません。

でも、無理する必要はありません。
というのも、愛犬の歯のケアに歯ブラシが必須というわけではないからです。

日常のケアは指サックで

日常のケアは指サックで

そもそも、歯ブラシで愛犬の歯をきれいに磨くのは至難の業。
特に歯の裏側まできれいに磨こうとすると、かなり時間がかかってしまいます。

したがって、歯ブラシによる歯磨きはプロのグルーマーに任せ、自宅での日々のケアには、指サックを使うのがおすすめです。
歯ブラシという「異物」を口に入れられるのを嫌がる愛犬も、飼い主さんの指なら抵抗しないことが多いもの。
サックをした指で愛犬の歯の表面や裏側をなでるように磨いてあげましょう。
歯垢になる前の状態の食べかすなら、これで十分に取り除くことができます。

指サックがない場合は、脱脂綿でも代用できます。

必ず愛犬と向かい合ってブラッシングを

必ず愛犬と向かい合ってブラッシングを

ただし、前歯の隙間など指サックで磨ききれない狭い場所には、歯ブラシが便利です。
もし、愛犬が嫌がらないようなら、指サックに歯ブラシでの歯磨きをプラスしてもよいでしょう。

その際は、愛犬が急に動いて歯ブラシが目に入るなどしてケガをしてしまわないように、歯ブラシを持っていない方の手で愛犬の顔をしっかり支え、固定するように心がけてください。

なお、食べカスが歯垢になってしまうと除去しづらくなるので、指サック・歯ブラシいずれのケアも、食後できるだけ早い時間にしてあげるようにしましょう。

口周りの汚れや色素沈着を防ごう

よだれで被毛が茶色く変色してしまった例

よだれで被毛が茶色く変色してしまった例

歯のケアとあわせて毎日行いたいのが、口の周りのケアです。

ケアと言っても、食後に食べカスやよだれがついていないかどうかを確認し、軽く濡らした布巾やウェットティッシュで拭き取ってあげるだけでOK。

食べカスやよだれが付着したままにしておくと、口の周りの毛が固まってしまったり、色素が沈着してしまったりして見栄えが悪くなるだけでなく、悪臭の原因にもなってしまいます。
食べカスは毎食後、よだれは気がついたらすぐに拭き取ってあげるとよいでしょう。

なお、よだれの量には個体差があるので一概には言えませんが、急によだれの量が増えた場合や色素沈着がひどい場合は、もしかすると何らかの食物アレルギーを起こしているおそれもあります。
気になる場合は獣医師に相談してみると良いでしょう。

おわりに

歯のケアも口周りのケアも、理想は毎食後に行うこと

runa / PIXTA(ピクスタ)

歯のケアも口周りのケアも、理想は毎食後に行うこと。

歯や被毛に汚れがつくことは仕方のないことですが、それを放置しておくと、汚れや臭いがとれなくなり、特に歯のケアが不十分で口臭がひどくなった場合などは、愛犬と触れ合うことが苦痛になってしまうケースも。

愛犬の健康のためだけでなく、愛犬が臭いのために周囲の人に敬遠されてしまうようなことがないように、毎日のケアを大切にしてください。

特に歯に関しては、自宅での毎日のケア+グルーマーや獣医師などプロによる定期的なケアを組み合わせてあげると、より効果的です。

次回は、愛犬の爪と足の衛生ケアについて解説します。

ライタープロフィール

竹島 将之 Masayuki Takeshima

竹島 将之 Masayuki Takeshima

プロトリマー・グルーマー 【経歴】 幼少期より、生き物全般に大変興味があったため、動物に関わる仕事を目指しトリミングスクールに入学。 その後ペットショップ勤務を経て、スクール講師となる。 トリミングスクールでは、実技技術指導や講義を担当。 その後、幅広い現場経験を得るため、再び一からショップ店員に。 生体販売サービスのあるショップの店長として、仔犬の管理(食事のあげ方や技術を必要とする仔犬のシャンプーなど)、パピートレーニング(トイレトレーニングの1stステップ、お留守番練習や夜鳴き防止など)に深く関わり知識と経験を得る。 トリミング・仔犬の管理・しつけなど幅広い知識と経験を生かした『犬のトータルケアを目指す癒しのサロン』を立ち上げるため、2005年渋谷に「ドッグサロン グルーム」をオープン。 2007年に株式会社 グルームを設立、現在に至る。 店名のグルームはグルーミング(Grooming)に由来する。 トリミング犬種は、オールマイティに対応可能。 特殊技術であるナイフトリミングにも精通。 トリミングのみならず、しつけの相談やフードのアドバイスや健康面のアドバイスなど幅広いサポートを目指す。 【資格】 愛玩動物飼養管理士 1級(公益社団法人 日本愛玩動物協会) 【今まで飼っていたペット】 ・鶏(チャボ)、鳥類やその他いろいろ ・アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリア(アイルランド原産) ・アメリカン・ショートヘヤ(シルバー・クラシック・タビー)

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