DOG@nature Vol.5【山梨/青木ヶ原樹海】小雨の青木ヶ原樹海を歩く!

「愛犬と自然の中へ」をテーマとして、ドッグトレッキングの先駆者でありドッグトレーナーの峯岸徹さんが、自然の中での遊び方やお出かけ先情報を発信する「DOG@nature」。第5回のテーマは「雨の日のドッグトレッキング」。水たまりに飛び込んでいた子どもの頃を愛犬と一緒に思い出せるような自然の中へ、出発しましょう。

DOG@nature Vol.5【山梨/青木ヶ原樹海】小雨の青木ヶ原樹海を歩く!

雨の日はさらに深く感じる、緑の香り

雨の日は深く感じる、緑の香り

小雨の中、朝早くから歩く森の中は緑と雨の香りが合わさり、幾度となく深呼吸がしたくなります。
新鮮な空気をたっぷりと体内に取り込み、リラックスできたら出発です!

日常では鬱陶しいと感じる雨も、ここでは緑を生き生きと輝かせる重要な存在。

また、緑の香りには、最近耳にすることが多くなった「フィトンチッド」と呼ばれる、樹木が発散する香りの成分が含まれています。
晴れの日のほうが木々の葉から多くの量を放出していますが、雨の日は湿度によって香りが空気中に滞留しやすくなるため、香りをより強く感じることができるのかもしれません。

犬へのフィトンチッド効果の研究はまだされていないようですが、森林の中を一緒に歩いている愛犬の様子は、緊張しているときとは明らかに異なり、とてもリラックスしているよう。
その表情から見ても、犬にもきっと癒しや安らぎの効果があるものと感じています。

森から聞こえる「音」を楽しむ!

雨の日はトレッキングしている人も少なく、静寂に包まれた森の中では、鳥の声や葉っぱに当たる雨の音が耳に心地よく響きます。
一緒に歩いている愛犬も耳をゆっくりと動かし、好奇心をもちながらもリラックスしているのが分かります。

時々、葉の上に溜まった雨粒が、その重さに耐えられず「ザバッ!」っと滝のように落ちてくることがあります。
そんな時には、背筋がゾワゾワ、心臓がドキッとすることもありますが、不思議なことに愛犬は驚いたりせず、立ち止まることなく歩き続けます。

もしかすると、人間には聞こえない雨粒が落ちる前のささやかな音が、犬には聞こえているのかも。
彼らにとっては当たり前すぎて、そんなことで驚いている飼い主さんを不思議に思っているかもしれませんね。

水たまりも犬にとっては楽しい遊び場

水たまりも犬にとっては楽しい遊び場

雨が降っている時や雨上がりには、コースのあちらこちらに水たまりができています。

子供の頃、道端に水たまりができていると、決まって勢いをつけて飛び込んでみたり、ジャブジャブと水たまりを渡り歩いてみたり。
洋服も靴もビショビショにして家に帰って親に叱られる、そんな体験を誰もが一度はしているのではないでしょうか。

今となっては何が楽しくてそんなことをしていたのか思い出せませんが、大人になってしまった自分の代わりに、愛犬が汚れることを全く厭わずズンズンと水たまりに突き進んでくれます。

そして、時には水たまりの中で立ち止まり、水面を舐めてみたり、じっとのぞき込んで何かを考えているような表情をしたりします。
思わず「何か凄いものを見つけたの?」と聞きたくなるくらいです。

ただ単に、足が冷たくて気持ちが良いだけかもしれませんが、愛犬にとっても水たまりは、きっと好奇心を満たしてくれる大好きなもののひとつなのでしょう。

雨宿りの穴に興味津々

雨宿りの穴に興味津々

樹海を歩いていると、至る所に樹海特有の穴がぽっかりと口を開けています。
名前が付いている有名なものから、名もなき小さなものまで大小様々、形も様々な穴がたくさんあります。

穴を見つけると、興味半分、怖さ半分で思わずのぞき込んでしまうのですが、愛犬は怖さを感じている様子はなく、好奇心から前のめりになってのぞき込んでいます。
リードを離したらきっと飛び込んでしまうことでしょう。

このような行動を見る度に、普段の生活では抑え込んでいるであろう「犬の野生」を感じるとともに、自然の中でそれを開放し、動物としての本能をきちんと機能させられていることに安堵します。

犬と自然の中で共に過ごすことは、飼い主さんにとっては普段の愛犬が見せない行動に驚いたり感動したり、犬の持つ素晴らしい能力を知ることができる場でもあります。

犬もまた本来のあるべき姿に戻り、犬としての経験値を積み上げられる貴重なシチュエーションであると言えるでしょう。

赤松の絨毯を歩く

赤松の絨毯を歩く

赤松は常緑針葉樹なので一斉に葉を落とすことはありませんが、地面にはうっすらとその葉が積もっています。

クヌギやコナラの落葉広葉樹の葉が落ちた金色の地面とは異なり、赤味がかった綺麗な色は歩く人の気持ちを駆り立ててくれます。

落ち葉といっても深く積もったフカフカな状態ではないため、愛犬も足を滑らせることなくとても歩きやすそうです。

雨の日は特に足元の状態が悪くなりがちですが、樹海のこのコースに限っては水はけも良く、飼い主さんも愛犬も安心して歩けるうえ、汚れも少なくて済む有難い場所なのです。

自然の生命力が凄まじい神秘の森

自然の生命力が凄まじい神秘の森

樹海は、富士山の噴火で流れ出た溶岩が冷えて固まり、ゴツゴツした岩の上に苔が生え、木々が芽吹き、落ち葉が土壌を作り、今の状態になっているのです。

うっすらと生えた苔は森に優しく彩を添えているかのようです。

光の当たる角度によって苔の色にグラデーションができ、かなり神秘的でもあります。

この森は1200年の時を経て現在の姿に至っているのだと思うと、感慨もひとしおです。

森としてはまだまだ若い部類に入るのですが、それでも1200年前の噴火から始まったこの森の生命の営みに想いを馳せ、樹海を全身に感じながら歩ける楽しさは愛犬にも当然伝わりますから、飼い主さんと共に心地よい気持ちで歩いてくれることでしょう。

おわりに

雨の日のトレッキングも楽しいもの

雨の日は、外出せずに愛犬と家でまったり過ごすのが楽しみな飼い主さんも多いと思いますが、雨の日だからこそ、愛犬を連れて自然の中へ行くことをおすすめします。

雨は森をはじめ生き物の全てを豊かにしてくれるものです。
梅雨の時期は特に、木々は新しい芽をどんどん芽吹かせ、動物たちも本格的に活動を始めます。
雨の日にしか出会えないものを見つけられると思うと、いつもとは違ったトレッキングになりそうでドキドキ、ワクワクします。

さらに、傘を差さずにレインコートで歩いていると、直接肌に当たる雨粒の感触や、視線が若干遮られることで、日常と非日常の境界線があいまいになり、自然と自分の内から冒険心が生まれ出てくるのです。

そして、愛犬もまた雨で濡れることなど気にするそぶりも見せず、自然の中を前へ前へと楽しんで歩いている姿を目の当たりにすると、飼い主として、とてもうれしく誇らしい気持ちになります。

「雨が嫌いだから歩くはずがない!」と思う飼い主さんもいることでしょう。
でも、もしかすると犬は雨が嫌いなのではなく、雨の日の楽しみ方を知らなかっただけなのかもしれません。

【今回歩いたコース】

愛犬と一緒に好きなコースを見つけるのも楽しい

西湖コウモリ穴駐車場からコースに入り、途中「雨やどりの穴」を通り、野鳥の森方面、富岳風穴方面、竜宮洞穴方面、西湖畔方面の分岐点にぶつかります。

今回は野鳥の森方面に向かい、帰りも同じコースをそのまま戻ることにしました。
のんびり歩いて往復で2時間程度のトレッキングになります。

分岐があることでお分かりいただけると思いますが、コースが複数あります。
どのコースも整備されていて森林浴を楽しみながら歩けますので、何度も通い、愛犬と一緒に好きなコースを見つけるのも楽しいと思います。

(参考)青木ヶ原樹海散策コース

ライタープロフィール

峯岸 徹 Akira Minegishi

峯岸 徹 Akira Minegishi

株式会社ワンフラップ代表取締役 ドッグトレーナー 【経歴】 2013年に外資系IT企業を退職し、横浜市六角橋に株式会社ワンフラップを起業。ドッグトレーナーとして子犬のしつけから噛み犬、吠え犬の問題行動の改善に取り組む。起業当時から犬と一緒にトレッキングをする「ワントレ」を立ち上げ、賛同してくれるドッグトレーナーと問題行動を抱えている犬を連れ自然の中でドッグトレッキングを行う。その時に経験した犬達の表情や行動の改善を目の当たりにして、現在では飼い主さんと愛犬が一緒に参加するプログラム「みんなでワントレ」を展開している。 【愛犬との暮らし】 愛犬はフレンチブルドッグ(10歳)。3歳の時に頚椎ヘルニアで手術、5歳で左後ろ足の十字靭帯断裂の手術をする。手術の度にハードなリハビリを乗り越えて、今でもドッグトレッキング、キャンプなどのアウトドアを一緒に楽しむ。 【趣味】 愛犬と一緒にドッグトレッキングやキャンプをすること。少しの時間を見つけては愛犬とザックを車に積み山へ向かいます。暗闇を歩くナイトトレッキングも楽みの1つ。 【しつけへの想い】 犬の肉体的な健康、精神的な健康を飼い主さんが提供することが犬のしつけで大切なことだと考えています。日々の忙しい生活の中で散歩が疎かになるだけでもこのバランスが崩れてしまいます。バランスを崩す原因の多くは飼い主さん側にあります。飼い主さんが犬のしつけについての意識を変え知識を身につけることで犬と深い絆が生まれてくると考えています。

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