【鹿野先生のおでかけレッスン ワン・2・3!】Vol.4 呼び戻しトレーニング

愛犬とのおでかけを安心して楽しむためのトレーニングを学ぶシリーズ4回目は、「呼び戻しトレーニング」です。いつでもどこでも、名前を呼ばれたら愛犬が飼い主さんのもとに戻ってくるようにする方法を、ドッグトレーナーの鹿野正顕先生に教えていただきます。

【鹿野先生のおでかけレッスン ワン・2・3!】Vol.4 呼び戻しトレーニング

愛犬を呼んでも戻ってこないのは、なぜ?

愛犬を呼んでも戻ってこないのは、なぜ?

―ドッグランなどで愛犬が名前を呼んでも戻ってこないことがあります。呼んでいる声は聞こえているはずなのに、なぜ戻ってこないのでしょうか?

鹿野正顕(かのまさあき)先生(以下、鹿野):一言でいうと、飼い主さんのそばにいることよりも、楽しいこと・興味のあることを見つけてしまったからです。

決して飼い主さんのことを嫌っているわけではなく、呼ばれていることも理解しているのですが、「飼い主さんのところに戻らなくては」という気持ちよりも、「もっと楽しいところに行きたい」という気持ちが勝ってしまっているので戻ってこないのです。

特におでかけ先では、初めて見るものや人、他の犬など愛犬にとって気になるものがたくさんあるので、誘惑に勝てず、飼い主さんのもとを離れてしまい、戻って来ないという事態が起こりがちになります。

これが原因で愛犬が思わぬ事故に遭ってしまったり、迷子になってしまうことも珍しくありません。

愛犬の安全を守り、安心して外出や散歩を楽しむために、名前を呼ばれたら飼い主さんのもとに必ず戻れるように、子犬のころから「呼び戻し」のトレーニングをしておく必要があります。

「飼い主さんのそばが一番楽しい、嬉しい!」と覚えさせればOK!

「飼い主さんのそばが一番楽しい、嬉しい!」と覚えさせればOK!

―具体的にはどんな方法で呼び戻しのトレーニングをすれば良いのでしょうか?

鹿野:
呼び戻しトレーニングの目的は、「他のどんなことよりも、飼い主さんのそばにいることが一番楽しい、嬉しい!」と愛犬に思わせることです。

そうすれば、他に気になることがあっても、名前を呼べば必ず飼い主さんのもとに戻ってくるようになります。

今回はトリーツ(ご褒美のおやつ)を使ったトレーニング方法を紹介しましょう。

<STEP1> ロングリードをつけて、離れたところから名前を呼ぶ

ロングリードをつけて、離れたところから名前を呼ぶ

愛犬が飼い主さんのもとから脱走して戻ってこなくなるのは、概ね屋外(外出先)でのことですが、いきなり外でトレーニングをするのは危険ですし、愛犬の集中力も散漫になってしまうので、最初は愛犬が落ち着いて過ごすことができる自宅の室内、もしくは庭などでロングリードをつけて行います。

ロングリードを使用してのレッスン

ロングリードをつけたら、飼い主さんは愛犬から少し離れた場所に立って愛犬の名前を呼んでください。

名前を呼んでも愛犬が反応しない場合は、ご褒美を見せながらリードを軽く引いて合図を送り、もう一度声がけして、こちらに来るように促します。

なお、ご褒美は初めから見せるのではなく、反応しないときだけ見せるようにしましょう。

戻ってきたら首輪をつかんで体を引き寄せ、褒めてあげよう

戻ってきたら首輪をつかんで体を引き寄せ、褒めてあげよう

呼びかけに応じて愛犬がこちらにやってきたら、首輪をつかんでから体を近くに引き寄せ、心を込めて褒めてやりながら、愛犬が大好きなトリーツを与えましょう。

ここで心がけておきたいのは、せっかく飼い主さんのところまで呼び寄せても、すぐに離れてしまっては愛犬の安全を確保できなくなってしいます。

したがって、首輪もつかむところまで練習しておいた方が、より安全性を高めることができるでしょう。

トリーツは愛犬の大好物を少量ずつ与えると効果的

トリーツは愛犬の大好物を少量ずつ与えると効果的

これを何度も繰り返し、「名前を呼ばれて飼い主さんのそばに行ったら、良いことがある」ことを覚えさせるのです。

自宅でできるようになったら、今度は行き慣れた公園などでロングリードをつけて同様のトレーニングをし、万が一、愛犬が外出先で飼い主さんから離れてしまっても、飼い主さんに名前を呼ばれたら戻ってこられるようにしておきましょう。

ここで注意すべきは、上手くできなくても叱ったり怒ったりしないこと。
愛犬が「飼い主さんのところに戻ると叱られてしまう」と誤解してしまいます。

トレーニングを繰り返してもできない場合や、自宅ではできるのに外出先ではできない場合は、トレーニングの方法や飼い主さんとの関係性に何か問題があるのかもしれません。
ドッグトレーナーに相談してみてください。

日頃からの対策がとても重要

日頃からの対策がとても重要

見知らぬ場所や人、他の犬に驚き、恐怖から脱走してしまう犬もいますが、この場合は、遠くに逃げてしまったり隠れてしまったりして、呼び戻しが難しくなってしまいます。

外出先ではリードをしっかり持つ、移動中や滞在先のホテルではクレートに入れるなどして、そもそも愛犬が飼い主さんのもとを勝手に離れてしまわないように、しっかり対策しておくようにしましょう。

次回は、愛犬がカフェやレストランでも落ち着いて過ごせるようにするためのコマンド「GO IN」のトレーニング方法をご紹介します。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・youtubeチャンネル 「スタディ・ドッグ・スクール 」 動物行動学博士&国際ライセンスドッグトレーナーが犬の習性や能力から飼い方やしつけまで目からウロコの情報を幅広く発信。 チャンネル登録はこちらから↓ https://www.youtube.com/channel/UCqSmNCaYUEUFObbBW4Xn9nw ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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ライタープロフィール

相山 華子 Hanako Aiyama

相山 華子 Hanako Aiyama

【経歴】 1997 年慶應義塾大学卒業。同年、株式会社山口放送(日本テレビ系列)に入社、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修、翻訳(英語→日本語)も手掛ける。 【受賞歴】 サントリー「横浜開港150周年記念エッセイコンテスト」最優秀賞受賞、 JR東日本「列車の旅エッセイコンテスト」最優秀賞受賞 など 【資格】 英検1級、ファイナンシャル・プランナー(AFP) 【暮らし】 仕事でもプライベートでも「いろんなところに行って、いろんな人に会う」のが信条。好きな旅のスタイルは鉄道旅。最近は家族で秘境駅巡りを楽しんでいる。大型犬好きで、これまでに飼った犬種はドーベルマンとラブラドール・レトリバー。

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