【獣医師監修】犬がいびきをかく理由は? 治療が必要な病気の場合もあり要注意

愛犬が寝言を発したり、いびきをかいたりしながら寝ている様子は愛らしいものです。けれども、呼吸器の病気が原因でいびきをかいているケースもあるので、注意しなければなりません。今回は、犬のいびきの原因や、獣医師に相談が必要ないびきについてなどを詳しく解説します。

【獣医師監修】犬がいびきをかく理由は? 治療が必要な病気の場合もあり要注意
出典 : pixta_30457445

犬のいびきの原因は? 呼吸器疾患のいびきの症状

犬のいびきの原因は? 呼吸器疾患のいびきの症状

pixta_67572186

犬も人間のように、夢を見て寝言を言ったり、夢の影響で体を動かしたりします。
アフッアフッと吠えているような寝言や、寝ながら四肢や耳をピクピクさせたり口をモグモグさせたりするのは体の異常ではないので心配いりません。

けれども、犬は人間ほどは加齢に伴っていびきをかきやすくなる動物ではないため、愛犬がいびきをかく場合は注意して観察をしておいてください。

犬は睡眠時に口を開くことはあまりないことから、犬のいびきは喉ではなく鼻が鳴るような印象を抱くでしょう。
犬が「グーグー」、「ガーガー」といびきをかく原因となる病気には、軟口蓋過長症、外鼻孔狭窄、咽頭閉塞、鼻咽頭狭窄、睡眠時無呼吸症、短頭種気道症候群があります。

同じように「ガーガー」と呼吸音が鳴る病気に気管虚脱がありますが、これは睡眠時のいびきではなく、起きていて興奮した時などに急に口を大きく開けて苦しそうにするのが特徴です。

いずれにしても、もし愛犬がいびきをかいているのを発見したり異常のある呼吸音を発したら、獣医師に相談する際に役立つので、可能な限り動画に撮っておきましょう。

いびきをかきやすい犬種(注意が必要)

いびきをかきやすい犬種(注意が必要)

pixta_43550704

フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ、パグ、ボストン・テリア、ペキニーズ、シー・ズーなど、マズルと頭部が短く詰まっている短頭種は、鼻から咽頭にかけての上気道が狭くなっています。
そのため、複数の呼吸器疾患を同時に抱える、短頭種気道症候群と呼ばれる呼吸器トラブルを生じやすい宿命にあります。
短頭種気道症候群のひとつの症状として挙げられるのが、いびきです。

犬のいびきの対処法は? 応急処置は必要?

犬のいびきの対処法は? 応急処置は必要?

pixta_15853790

犬のいびきで要注意なのは、短頭種気道症候群が引き金となる睡眠時無呼吸症です。
人間と犬では体の構造が違うことから、犬の睡眠時無呼吸症では、眠っている間に呼吸困難に陥り突然死をする危険性もあります。
まずはいびきの音量を、飼い主さんはチェックしてみてください。
そばで聞いていて気にならない程度のいびきならば、危険度は低め。
危険度が高いのは、飼い主さんがうるさいと感じるレベルです。
テレビの音が聞こえづらかったり、別の部屋やフロアでもいびきがわかるようであれば、早期に動物病院を受診してください。

なお、睡眠時無呼吸症の症状には、睡眠時に2呼吸分あるいは10秒以上呼吸が止まる(胸は動いているのに寝息がなくなる)、寝るときに何度も場所を変えて寝苦しそうにする、入眠までに時間がかかる、無呼吸発作関連症状である全身性直性けいれんなども見られます。

睡眠時無呼吸症のせいでよく眠れない日々が続くと犬にとってはストレスとなり、生活の質が低下します。
呼吸器疾患の治療をして、愛犬が安眠できるようにしてあげたいものです。

犬のいびきの治療方法や改善策

犬のいびきの治療方法や改善策

pixta_64363433

いびきも症状のひとつとなる短頭種気道症候群は、内科や外科手術などでの治療が必要となります。
鼻呼吸時の「ゴーゴー」音や鼻水などの症状もある外鼻孔狭窄や、軟口蓋過長症などの外科治療を、避妊・去勢手術の際に行うケースも少なくありません。
呼吸器疾患は、加齢に伴って呼吸器周辺の筋肉の張りが低下してくると悪化しやすいため、手術による治療は老犬になる前に、可能な限り若齢のうちに行いたいものです。
早期の治療が愛犬の健康寿命を延ばすことにつながるので、愛犬が短頭種である場合は、1歳になる前にかかりつけの獣医師に呼吸器の状態をチェックしてもらいましょう。

短頭種に限らず、呼吸器疾患を抱える愛犬には暑さは大敵です。
犬は主にパンティングと呼ばれる、口を開けてハァハァと呼吸をすることによってしか放熱を行えません。
パンティングを長く行うと呼吸器に負荷がかかるので、呼吸器疾患が悪化していびきの症状が出やすくなる可能性も高まります
夏季はエアコンを活用するなどして、なるべくハァハァと口呼吸をしないですむ環境を整備してあげましょう。

愛犬のいびきの予防方法

いびきは、呼吸器トラブルが原因で生じるケースがほとんどです。
いびきを予防するには、まずは呼吸器トラブルを予防するのが根本的な解決策と言えるでしょう。
呼吸器疾患は、肥満によって喉の周囲に脂肪がつくのが悪化要因のひとつとなります。
適切な食事管理と運動管理によって、愛犬を肥満にさせないことが、いびきを予防するのにとても重要です。

まとめ

まとめ

pixta_59497480

犬のいびきは、短頭種に特に多く見られる呼吸器疾患が原因となるケースが多いため、注意が必要です。
動物病院を受診する際に役立てるために、できるだけ愛犬のいびきに関しては記録をつけて動画を撮っておくのをおすすめします。
愛犬の日頃の様子をよく観察して、愛犬の健康を守ってあげてくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

今週の「ライフスタイル」記事ランキング