【獣医師監修】犬が自分の体をなめる原因は? やめさせる工夫点と対処法

愛犬が自分の体を、傷がないのになめることはありませんか? あるいは、怪我をしたところをなめることはありませんか? 犬が体をなめる理由を知り、なめることで健康に悪影響を及ぼさないよう、飼い主さんは日常生活の工夫や対処法を知っておきましょう。

【獣医師監修】犬が自分の体をなめる原因は? やめさせる工夫点と対処法
出典 : pixta_68051058

犬がなめる原因と症状は?(病気、ストレスなど)

犬がなめる原因と症状は?(病気、ストレスなど)

pixta_58597873

犬が体をなめるのには、もちろん理由があります。

ひとつは、なめているところに違和感を覚えているから。
例えば、以下のような場合には、違和感を取り除こうとしてなめる可能性があります。
・皮膚に痒みがある・傷があって出血している
・腫瘍などがあり気になる
・肉球に怪我ややけどを負っている。
またはトゲが刺さっている
・被毛に植物の種やにおいの強い液体などの付着物がある
もうひとつは、精神的な理由です。
犬が感じたストレスを紛らわそうとして、自分の体などをなめ続けることがあります。
退屈さをしのごうと、体をなめるだけでなく、かじったりすることもあります。

いずれにしても、一部分をなめ続けると皮膚にトラブルを生じかねません。
なめたことが原因で皮膚に異常が現れ、その痒みでさらになめて皮膚炎の治療が進まないといった悪循環に陥る恐れもあります。
愛犬がなめている理由を探り、なめないですむようにしてあげてください。

犬がなめる場所で多いのはどこ?

犬がなめる場所で多いのはどこ?

pixta_54483349

愛犬の舌が届けば、どこでもなめる可能性があります。
傷口や皮膚トラブル以外ではなく、ストレスに起因する行動のひとつとして犬がなめることが多いのは、手足や尻尾の先などでしょう。
刺激不足、緊張、恐怖、孤独といったストレスを紛らわすために、足先や肉球、指の間などをなめ続ける犬が多いことが知られています。
尻尾の長い犬種では、尾先をなめたりかじったりする行動も見られます。

怪我をして、なめ続ける場合はどうする? 病院に行くべき?

犬をはじめとする哺乳類の多くは、傷を負うと傷口をなめる習性を持っています。
唾液には、リゾチームなどの殺菌効果のある物質が含まれているからです。
もし愛犬が怪我をしたら、きっとそこをなめようとするでしょう。
出血もあまり見られず、獣医師に手当をしてもらうほどでもない擦り傷などの場合は、少しくらいはなめさせても問題はありません。

数日様子を見ても傷が良くならなかったり、傷が化膿しているといった場合は、動物病院へ。
傷の消毒や、化膿止めなどの薬を処方してもらう必要があります。
もちろん、怪我をして出血が多いようであれば、すぐに獣医師に処置と治療をしてもらってください。

体をなめる愛犬の予防対策・注意点

体をなめる愛犬の予防対策・注意点

pixta_55537657

手足や肉球などを何時間も何日もなめ続けると、皮膚の炎症に発展しかねません。
愛犬がなめ続けてしまう場合、エリザベスカラーと呼ばれる、物理的に自分の体をなめられなくする首輪をつけてあげましょう。
「エリザベスカラー」や「エリカラ」で検索すると、市販されている製品がいくつか見つかるはずです。
最近では、愛犬が歩いたり横になったりしても動きに支障が出づらい、コンパクトな浮き輪のような形状のものもあります。
愛犬の性格や生活スタイルにマッチするタイプを選んでみてください。

犬が手術後に傷口をなめるのを防止するために、傷口を保護するテープを貼る獣医師もいます。
テープを貼らない場合は、動物病院でエリザベスカラーをするように指示されるでしょう。
同様に、内服薬ではなく塗り薬を処方された場合、薬をなめなくするためにもエリザベスカラーは役立ちます。

愛犬がストレスでなめていると思われる場合は、根本的な解決策に取り組んでみましょう。
まずは、飼い主さんとの楽しく刺激的なコミュニケーションを増やしてください。
1日合計1時間ほど散歩するのであれば、それを1日2~3回に分けて1回20~40分ずつ行くのが、解決法のひとつ。
刺激不足を解消するために、室内ではトレーニングをとおして脳トレをしたり、知育トイに毎食のフードやおやつを詰めて与えるのも良いでしょう。
ノーズワークと呼ばれるような、愛犬が嗅覚を使うゲームを行うのもおすすめです。
部屋の家具の脇やクッションの裏などにおやつを隠して探させれば、きっと愛犬は生まれながらに備わった能力を活かせて充足感を得てくれるに違いありません。

まとめ

まとめ

pixta_67991250

愛犬が自分の体をペロペロなめ続ける様子を見ていると、飼い主さんは心配になるかもしれません。
犬が傷口をなめて治そうとするのは本能ですが、なめ続けると皮膚が炎症を起こす可能性もあるので、早めにやめさせたいものです。
また、手術後の傷をなめるのも、傷口になかなかかさぶたができず治癒が遅れてしまうので良くありません。
獣医師と相談しながら、エリザベスカラーなどを活用して愛犬がなめないようにしましょう。
精神的な理由で愛犬が体をなめているケースでは、刺激を与えたり、心身に充足感を与えるなどの根本的な解決法に取り組んでみてくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

今週の「ライフスタイル」記事ランキング