【獣医師監修】犬が便秘をする理由は? 便秘の予防法や解消方法

犬も便秘になります。その理由は、精神的なものから病気まで様々。複数の要因が重なって便秘を起こしていることもあります。便秘の状態は、犬も心地よいものではありません。飼い主さんは犬の便秘の予防法や解消法、さらには便秘が症状に含まれる病気などを知り、愛犬の健康な生活を支えてあげましょう。

【獣医師監修】犬が便秘をする理由は? 便秘の予防法や解消方法
出典 : pixta_67366469

犬の便秘の定義【何日間の便秘なら大丈夫?】

犬の便秘の定義【何日間の便秘なら大丈夫?】

pixta_66805619

犬が何日間うんちをしなかったら「便秘」かという厳密な定義はありません。
愛犬が便秘かどうかは、愛犬の日頃の排泄リズムを知ることが重要です。
おおよその目安は1日1~3回ですが、もともと1日2~3回排便をする犬もいれば、2日に1回しか排便をしない犬もいます。
散歩に行った時にしか排便をしない愛犬が、悪天候で散歩に行けない2日間うんちをしなくても、それは便秘とは言いにくいものです。
いずれにしても、3日以上排便がない場合は、どの犬でも便秘と言ってもよいでしょう。

ただ、飼い主さんの気づかないうちに食糞をしていて、便秘だと勘違いしているケースもめずらしくありません。
便秘かどうか気になる場合は、獣医師に相談をしてください。

犬の便秘の原因・症状

犬の便秘の原因・症状

pixta_43100521

犬の便秘の原因は多岐にわたり、複数の要因が重なって便秘を起こしているケースもあります。

・精神的な要因
引っ越しや家族のメンバーの変化(新しい子犬が来たり、飼い主さんに赤ちゃんが生まれるなど)で、愛犬の精神的な緊張が高まると便秘をすることがあります。
また、トイレが汚れていたり落ち着かない場所にあったりすると、うんちをガマンしてしまうケースも少なくありません。

・肥満や加齢
肥満の犬は腹部周辺に脂肪がたまり、また老犬はお腹周りの筋肉が衰えてしまうため、いきんでもスムーズに便が出ないことがあります。
そのまま脳からの排便を促す信号が一定時間を過ぎて消えてしまうと、便秘という状態に陥るのです。

・食べ物
カルシウムを摂りすぎると、便秘の原因になります。
骨をかじらせてばかりの犬は、便秘になりやすい傾向にあると言えるでしょう。
また、食物繊維の過剰摂取で便のかさが増えると、便秘になることもあります。

・病気による症状
病気の症状のひとつとして、便秘が出現することもあります。
具体的には、甲状腺機能低下症、会陰ヘルニア、肛門周辺や腸を圧迫する腫瘍、肛門嚢炎、腸の炎症、前立腺肥大(未去勢オスのみ)、馬尾症候群や椎間板ヘルニアなど神経疾患、高カルシウム血症、骨盤の骨折や下半身のケガなどです。
このうち、悪性の腫瘍が進行すると死ぬ危険性も高い消化管腫瘍は、便秘から発見されるケースも少なくありません。

犬の便秘の応急処置や対処法

愛犬が便秘をしていて、お腹がパンパンで動きたがらない、苦しそうに鳴く、嘔吐や震えや痙攣を起こす、食欲不振でぐったりしているといった別の緊急性の高い症状も見られる場合は、すぐに動物病院に向かってください。

便秘があると同時に、明らかに愛犬の調子が悪そうな時は、飼い主さん自身で浣腸などの処置や下剤や整腸剤などの薬を与えるといった対処をせず、獣医師に判断を仰ぎましょう。

犬の便秘の治療方法と解消法

犬の便秘の治療方法と解消法

pixta_67018513

愛犬に便秘を生じる病気が見つかった場合、その病気の治療を行わなければなりません。

主に老犬で繰り返し便秘をする場合、水分が足りていない可能性があります。
老犬になると喉の渇きを感じにくくなり水分不足に陥りやすいものです。
質がよく排出しやすいうんちを作るために、水分は欠かせません。
老犬の便秘の場合、ドッグフードに水をかけたり、水分量の多い茹で野菜をトッピングしたり、水分の含有量が多いウェットフードを与えるなど工夫してみてください。

老犬にかかわらず、すべてのライフステージの愛犬に、排便を促すマッサージを行うのも良いでしょう。
お腹まわりをやさしく撫でるようにして刺激をしてあげてください。

なお、人間の赤ちゃんの便秘には綿棒などで浣腸をすることがありますが、犬にはこの解消法はおすすめしません。
しっかり保定をしないと愛犬の腸を傷つけてしまう危険性があるのと、浣腸による刺激がないと排便をしなくなる恐れがあるからです。
便秘になってから対処するのではなく、なるべく便秘にさせないように日常生活で予防をするようにしたいものです。

犬の便秘の予防法

犬の便秘の予防法

pixta_59534238

日常生活で便秘を予防するには、運動、水分摂取、食事管理がカギになります。

排便は、腸の蠕動(ぜんどう)運動によって生じます。
犬が運動をすると、蠕動運動が起こるので便意をもよおすというわけです。
散歩中にうんちをする犬が多いのは、この蠕動運動が関係しています。
便秘がちな愛犬には、まずは毎日の散歩を日課にして便秘の予防に努めましょう。

粗悪ではない一定品質以上のドッグフードを食べていれば、それほど便秘は起こりません。
けれども、運動もしているのに便秘をしやすい場合は、愛犬の体に相性の良いドッグフードを探して変更するのもひとつの解決策です。

また、便秘や下痢を繰り返す犬は、腸内環境が整っていない可能性もあります。
整腸をサポートするサプリメントを与えたり、ドッグフードにオリゴ糖やビフィズス菌入りヨーグルトを少量トッピングして整腸を目指すのも便秘予防の一助となるでしょう。

愛犬があまり水分を摂っていないようであれば、ドッグフードに水分を足したり、飲み水にヨーグルトの上澄み液や肉のゆで汁などを足したりして、水分をしっかり補給できるように工夫をしてみてください。

まとめ

まとめ

pixta_20515713

犬も人間同様、便秘を起こします。便秘と一口に言っても、ただ単に水分不足や運動不足を解消すれば解決するものから、腸閉塞など命に関わる重大な病気が隠れているものまで原因は多数。
愛犬の普段の様子をいつも把握しつつ、異常があれば獣医師に相談をして、愛犬の健康を守ってあげましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

今週の「ライフスタイル」記事ランキング