【獣医師監修】犬の虫歯の原因や治療法は? 予防のために大切なことも知っておこう

犬は虫歯にならないと言われてきましたが、最近は犬の虫歯も発見されるようになりました。犬は虫歯になると痛がるのでしょうか? 犬の虫歯について、その原因や治療法、飼い主さんができる予防法などについて知っておきましょう。

【獣医師監修】犬の虫歯の原因や治療法は? 予防のために大切なことも知っておこう
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犬の虫歯の原因

犬の虫歯の原因

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犬は歯周病にはなりやすいですが、虫歯にはそれほどなりません。
その理由は、犬の唾液のph値が関係しています。
唾液のph値は、人間では6.5~7.0の弱酸性なのに対して、犬は約8.0の弱アルカリ性。
虫歯は虫歯菌が原因で発生し、弱酸性の環境で活性化することがわかっています。
つまり、犬の口腔内は弱アルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくく、その結果、犬は虫歯になりにくいのです。
ただ、老犬になり唾液の分泌量が減ると、虫歯を発生しやすくなるとは考えられています。

飼い主さんの口の中にいる虫歯菌が、口移しで食べ物を与えるなどして愛犬にうつる可能性がないとも言えません。

犬の虫歯の症状(初期症状)

犬の虫歯の症状(初期症状)

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犬が虫歯になっても、飼い主さんは気づきにくいかもしれません。
まず、人間のように「歯が痛い」と愛犬が訴えてくれないからです。
犬の虫歯はめずらしいという点を踏まえた上で、歯石と虫歯の見分け方を心得ておくとすると、歯に見られるシミや汚れに見える部分の色だと言えるでしょう。
歯周病による歯石は初期は茶色いのが特徴的で、白い歯の部分に黒い点のような汚れができることはありません。
また、歯周病では多くのケースで歯茎の腫れも見られます。
もし歯茎も腫れておらず歯石があまりない状態の白い歯に、歯ブラシや飼い主さんの爪で引っ掻いても取れないような黒い点があるようであれば、虫歯の可能性はあります。
また、歯に穴があいている場合は、虫歯である可能性が高いと言えます。
食べ物のカスが溜まりやすい部位が、虫歯になりやすい部位です。

虫歯の診断法は?

虫歯かどうかを調べるには、レントゲン(X線)検査などによって、歯の内部の状態をチェックします。
ただ、人間でも歯だけを専門とする歯医者が独立して存在するように、虫歯の検診や治療には特別な医療機器や技術が必要になります。
近年は、犬の歯科を海外等で学んで専門にしている獣医師も日本に増えてきているので、虫歯が疑われる場合は歯を専門に扱う動物病院に相談するのをおすすめします。

虫歯の治療法・費用は?

虫歯の治療法・費用は?

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虫歯の治療は、一般的な動物病院ではほとんど行っていません。
もし愛犬が虫歯だと診断された場合、歯科を専門に扱う動物病院で、犬の虫歯を治療することができる獣医師に依頼することになるでしょう。

犬の虫歯を治療するには、まず、虫歯になっている部分のエナメル質と象牙質を削ります。
次に、削った部分に詰め物を入れて歯の修復を行います。
虫歯のまま放置していると、歯髄まで病巣が進行してしまい、さらなる処置が必要になります。
犬の虫歯は飼い主さんが見つけにくいので、虫歯が重度まで進行している場合は、抜歯をするケースもめずらしくありません。

虫歯の治療は、犬に全身麻酔をかけて行います。
また、虫歯だけではなく、多くの場合は犬がかかりやすい歯周病の治療のために歯石除去等も行うでしょう。
そのため、費用は歯科全般の治療のための手術費(入院代は含めない)として4万~15万円ほどになるのが一般的です。

ペット保険で歯科治療の費用が補償されるかどうかは、保険会社やプランにより異なるので事前に確認をしてください。

犬の虫歯の予防対策・注意点!

犬の虫歯の予防対策・注意点!

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歯周病も虫歯も、口腔内の環境を衛生的に保つことが最良の予防法です。
虫歯や歯周病が原因で歯がほとんど抜けた老犬では、咀嚼力が落ちてご飯をしっかり食べないようになり衰弱が早まる恐れがあるので注意が必要です。
また、噛むという行為自体が脳への刺激になり愛犬の健康寿命を延ばすことにもつながります。
飼い主さんは、愛犬の歯の健康維持を心がけてあげましょう。

虫歯と歯周病を予防するため、毎日の歯磨きを日課にしてください。
歯磨きは、犬用の歯ブラシに殺菌効果のあるペーストをつけて行うのがベスト。
もし歯ブラシを愛犬が嫌がるようであれば、マウススプレーや歯磨きジェルなどを活用して口腔内を衛生的に保つと良いでしょう。

また、歯周病の進行度も含めて定期的に歯科検診を受けるのも、虫歯や口腔内のトラブルの早期発見と早期治療のために重要です。

まとめ

まとめ

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犬の虫歯は人間と比べるとずっと発生頻度は少ないものの、虫歯になることはあります。
虫歯は痛みを伴うことや、悪化させると治療が大変になるので、早めに発見してあげたいものです。
愛犬の口が臭いと感じたら、口腔内の環境が悪く歯周病や虫歯になりやすい状態。
獣医師に相談するとともに、歯磨きや定期的な歯科検診で愛犬の歯の健康を守ってあげましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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