【鹿野先生のおでかけレッスン ワン・2・3!】Vol.6 愛犬の「分離不安」を解消するトレーニング

愛犬とのおでかけを安心して楽しむためのトレーニングを学ぶシリーズ6回目のテーマは、「分離不安」の解消。飼い主さんと離れている時間も、愛犬が落ち着いて過ごせるようになる方法をドッグトレーナーの鹿野正顕先生に教えていただきます。

【鹿野先生のおでかけレッスン ワン・2・3!】Vol.6 愛犬の「分離不安」を解消するトレーニング

そもそも分離不安って?

そもそも分離不安って?

―愛犬が留守番中に吠え続けてしまったり、家の中のものを壊したりしてしまいます。何か問題があるのでしょうか?

鹿野正顕(かのまさあき)先生(以下、鹿野):
そもそも、愛犬は飼い主さんのことが大好きで、いつも一緒にいたい、かまってほしいという気持ちを持っています。
家の中でも飼い主さんの後追いをしたり、姿が見えなくなると吠えてしまったりするのは、そのためです。

特に子犬のころは飼い主さんと一緒に遊びたい、飼い主さんに甘えたいという気持ちが強く、後追いがひどくなる時期がありますが、一般的には成長するにしたがって、少しずつ飼い主さんと離れて過ごせるようになるものです。

しかし、中には成犬になっても飼い主さんと離れて過ごすのに慣れることができず、留守番中に吠え続けたり、家の中のものを壊してしまったりする犬もいて、中には「分離不安症」として獣医師の治療が必要になるケースもあります。

分離不安の傾向を取り除いておくことが大切

分離不安の傾向をそのままにしておくと、たとえば旅行先のホテルで飼い主さんが食事や入浴のために愛犬を部屋に残すと、その間ずっと吠え続けてしまったり、災害発生時に避難先で飼い主さんと別々に過ごさねばならなくなったときなどにも、不安のために吠え続けてしまうおそれがあります。

より安心して快適に暮らすためにも、飼い主さんと離れているときも落ち着いて過ごせるように愛犬をトレーニングし、分離不安の傾向を取り除いておくことが大切です。

トレーニングの基本はクレートで過ごせるようにすること

トレーニングの基本はクレートで過ごせるようにすること

―具体的に、どんなトレーニングをすればよいのでしょうか?

鹿野:
分離不安の解消には「クレート」の活用がおすすすめです。
以下の手順にしたがって、トレーニングをすすめてみましょう。

<STEP1> クレートに慣れさせる

クレートに慣れさせる

まずはVol.1で紹介したクレートトレーニングを行い、愛犬にクレート=居心地がよい場所だということを覚えさせましょう。

クレートに入りたがらない場合や入っても吠え続けてしまうような場合は、フードやおやつを詰めたコングを与えると効果的です。

<STEP2> 飼い主さんの姿が見えない場所にクレートを置く

クレートに慣れてきたら、飼い主さんの見えない場所にクレートを置く

クレートに慣れてきたら、飼い主さんの見えない場所にクレートを置く

クレートで過ごすことに慣れてきたら、愛犬から飼い主さんが見えない場所にクレートを置いてみましょう。

最初は飼い主さんの姿が見えなくて吠えてしまうかもしれませんが、先程と同じく、コングを与えるなどして、少しずつ「クレートの中は居心地が良い、クレートに入ると良いことがある」ことを覚えさせ、自分だけで過ごしていても安心であることを経験させましょう。

<STEP3> 同じ室内にいない時間を少しずつ増やす

飼い主さんが別の部屋に行っても落ち着いて過ごせるようにトレーニングを

飼い主さんが別の部屋に行っても落ち着いて過ごせるようにトレーニングを

飼い主さんの姿が見えない場所で過ごすことに慣れてきたら、今度は飼い主さんが同じ室内にいない間もクレートの中で過ごせるようにしていきます。

数分間から始めて、少しずつ別の部屋にいる時間を延ばしていき、最終的には飼い主さんが外出している間も落ち着いてクレートの中や室内で過ごせるように、トレーニングを続けましょう。

一人で悩まず、ドッグトレーナーや専門施設に相談を

留守番が難しい場合は、犬の幼稚園などの活用も

留守番が難しい場合は、犬の幼稚園などの活用も

トレーニングを繰り返しても、留守番中に吠えてしまうなど分離不安の傾向が解消しない場合は、犬向けの幼稚園(他の犬とともに過ごせる施設)のような施設に愛犬を預けてみるのも一案です。

ドッグトレーナーや他の犬と触れ合う時間を持つことで、社会性を育み、飼い主さんと離れている不安を和らげることができるかもしれません。

飼い主さん一人で問題を抱え込まず、まずは、ドッグトレーナーなど専門家に相談してみてください。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・youtubeチャンネル 「スタディ・ドッグ・スクール 」 動物行動学博士&国際ライセンスドッグトレーナーが犬の習性や能力から飼い方やしつけまで目からウロコの情報を幅広く発信。 チャンネル登録はこちらから↓ https://www.youtube.com/channel/UCqSmNCaYUEUFObbBW4Xn9nw ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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ライタープロフィール

相山 華子 Hanako Aiyama

相山 華子 Hanako Aiyama

【経歴】 1997 年慶應義塾大学卒業。同年、株式会社山口放送(日本テレビ系列)に入社、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修、翻訳(英語→日本語)も手掛ける。 【受賞歴】 サントリー「横浜開港150周年記念エッセイコンテスト」最優秀賞受賞、 JR東日本「列車の旅エッセイコンテスト」最優秀賞受賞 など 【資格】 英検1級、ファイナンシャル・プランナー(AFP) 【暮らし】 仕事でもプライベートでも「いろんなところに行って、いろんな人に会う」のが信条。好きな旅のスタイルは鉄道旅。最近は家族で秘境駅巡りを楽しんでいる。大型犬好きで、これまでに飼った犬種はドーベルマンとラブラドール・レトリバー。

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