【獣医師監修】犬の鼻水の原因は?鼻水が症状で病院に行くべき病気や、同居犬に感染するかなど

愛犬が鼻水を出しているのを見ると、何かの病気かと心配になることでしょう。犬の鼻水の原因は多岐にわたります。鼻水が症状のひとつとなる病気や感染症をはじめ、鼻水が出ている場合に飼い主さんができることなどを頭に入れて、愛犬の健康を守ってあげましょう。

【獣医師監修】犬の鼻水の原因は?鼻水が症状で病院に行くべき病気や、同居犬に感染するかなど
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犬が鼻水を垂らす原因とは?

犬が鼻水を垂らす原因とは?

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犬は人間ほどよく風邪をひく動物ではないので、人間のような頻度で鼻水を出すことはありません。
愛犬の鼻水のほとんどは、病気によるものです。

病気とまで言えないものは、たとえば、散歩中や室内で植物の種や異物を鼻から吸い込んでしまい、それが鼻腔内を刺激してくしゃみや鼻水が出るケースなどです。
異物を排出しようとして鼻汁の分泌がなされ、透明の鼻水が出るかと思います。

ただ、飼い主さんには愛犬がなぜ鼻水を出しているのかわかりにくいでしょう。
もし散歩で鼻に植物の種が入ったとしても、種の取り方を間違えると鼻腔内を傷つける可能性もあり危険です。
もし愛犬に鼻水の症状が見られたら、原因を探るためにも、早めに動物病院を受診するようにしたいものです。

犬の鼻水に感染性はある?

犬の鼻水に感染性はある?

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犬に鼻水の症状が見られたら、獣医師が真っ先に疑うのは感染症です。
症例数が多いのは、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎、犬風邪)です。
ワクチンで予防ができるのでそれほど多くは診られませんが、子犬や老犬が重症化しやすい感染症には、犬ジステンパーと犬伝染性肝炎があります。

・ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)

数種類の細菌やウイルスなどが原因となり、単独感染や複数感染で起こる呼吸器疾患です。
長引く咳とくしゃみと咳が主な症状ですが、鼻水などの症状が出る犬も少なくありません。

・真菌性鼻炎

クリプトコッカスやアスペルギルスといった真菌に感染すると、鼻炎が生じます。
どの犬でも感染の可能性はありますが、マズル(口吻)が長い犬種で比較的多く感染が見られます。

・犬ジステンパー

免疫力の弱い子犬や老犬では、死亡することもある感染症。
鼻や口から犬の体内に入ったジステンパーウイルスは、最終的には脳にまで及びます。
感染すると鼻水のほか、目ヤニ、食欲不振、嘔吐、下痢、高熱などの症状が現れます。
ジステンパーウイルスに対する薬は存在しないため、対症療法を行います。
ワクチンによる予防が重要です。

・犬伝染性肝炎

子犬が感染するケースの多い感染症。
犬アデノウイルスⅠ型に感染して2~8日の潜伏期間を経た後、肝炎へと進行します。
症状は鼻水、食欲不振、高熱など。
感染した場合、肝臓の機能を回復させる治療と、二次感染を予防するための抗菌薬の投与、対症療法などを行います。
ワクチンによる予防と、飼育環境を衛生的に保つことが大切です。

犬の鼻水を引き起こす病気とは? 症状の見極め方

犬の鼻水を引き起こす病気とは? 症状の見極め方

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前述のウイルスや細菌や真菌への感染症のほか、歯周病で鼻水が出るケースもめずらしくありません。
犬は鼻の穴の横に歯が並んでいて、歯と歯根の影響が鼻腔に及びやすい構造をしています。
子犬ではなく、シニア期以降の愛犬が、膿を含む黄緑色の臭い鼻水を出している場合、歯周病菌が鼻腔に悪影響を与えている可能性があります。
鼻水や鼻血や鼻づまりが見られるようであれば、獣医師に相談をしましょう。

シニア期以降の犬で、鼻腔内腫瘍がある場合でも、鼻水や鼻血が見られます。

脳腫瘍やてんかんを患っている場合、けいれん発作の際に口から泡を吹くことがあります。
これを鼻水と勘違いする飼い主さんもいるようですが、発作の際に出すものは鼻水ではありません。
いずれにしても、愛犬の様子を日頃からよく観察して、可能であればスマートフォンで自宅でのくしゃみや鼻水を垂らす様子の動画などを撮影して持参し、獣医師に相談するのをおすすめします。

犬の危険な症状とは?病院へ行くべき鼻水とは

犬の鼻水で病院へ行かず様子を見るにとどめて良いのは、明らかに愛犬の鼻に刺激があり、くしゃみとともに飛沫や鼻水を飛ばすような状態であった時だけです。
しばらくして、くしゃみも鼻水も収まり、そのまま平常に戻れば問題ありません。

それ以外で、鼻水が出なくても鼻が詰まる状態が続いたり、色のついた鼻水を出すようなケースや、鼻水のほかに症状があるならば、早めに獣医師に相談をしましょう。
特に、愛犬がぐったりした様子である場合、命に関わる感染症にかかっていることもあるので早急に動物病院を受診してください。

犬の鼻水の対処法

犬の鼻水の対処法

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犬は人間のように鼻をかむことができません。
鼻水を垂らす愛犬に、ティッシュを詰めてあげたりしたくなるかもしれませんが、犬の鼻を塞ぐと呼吸ができなくなってしまいます。
可能な限り、なるべく飼い主さんが手助けをせず、獣医師に対処法を聞きましょう。
もちろん、垂れてくる鼻水を、呼吸を邪魔しないようにティッシュやハンカチでぬぐってあげるのは問題ありません。
また、鼻の入口付近に固まった鼻水がある場合は、それを濡れタオルでそっと取り除いてあげても良いでしょう。

もし、芳香剤や除菌消臭スプレーなどの鼻に刺激のある化学物質などが原因でくしゃみや鼻水の症状がある場合は、その原因物質を環境から排除するのが最良の対処法です。

まとめ

まとめ

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犬の鼻水の原因は、重大な感染症から鼻腔腫瘍、歯周病まで様々。
単に異物や違和感を解消しようとして、鼻水が分泌されることもあります。
もし愛犬の鼻水がすぐに収まらないようであれば、なるべく早く動物病院へ。
原因を突き止めて、それに合う治療や対処を獣医師にしてもらってくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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