【ドッグトレーナー監修】愛犬が威嚇して唸るときの対処法は?うなり声を出す理由も解説

愛犬が威嚇をしたり、唸り声をあげたりするのには、必ず理由があります。その理由を知っておくことで正しく対処でき、効率よくしつけを進めていくことができます。ほかの犬や飼い主さん以外の家族に威嚇を続けてしまうと、愛犬と快適に暮らしていくのが難しくなるため、犬が威嚇する理由や対処法をしっかりと確認しておきましょう。

【ドッグトレーナー監修】愛犬が威嚇して唸るときの対処法は?うなり声を出す理由も解説
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家族に唸る!犬同士で唸る!威嚇しているときの特徴を知る

家族に唸る!犬同士で唸る!威嚇しているときの特徴を知る

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犬が威嚇をするときは、どんな様子をみせるのでしょうか。

飼い主さんは、犬が尻尾を振る仕草をみせたときには「喜んでいるのかな」と思うかもしれません。
しかし、実は威嚇しているケースもあります。
嬉しいときは、お尻も動かしながら尻尾をクルクル回転させるように大きく振りますが、威嚇しているときは尻尾の動きが固く、尻尾だけゆっくり動かすのが特徴です。

とくに、尻尾を振りながら後ろへ下がる・耳が立っているなどといった様子が見られたときは、嬉しいのではなく、恐怖から自分の身を守ろうとして相手を威嚇するために尻尾を振っている場合があります。

また、犬は緊張や興奮しているとき、身体に力が入ります。
身体をこわばらせながら見つめるときは、威嚇していると考えられます。

さらには、吠える、「ウーッ」や「グゥーッ」といった声で唸るなど、声を発する仕草も威嚇行動に含まれます。
犬歯をむき出しにしたり、咬んだりすることもあるため、手を出すのは危険です。

遊び最中に犬同士で「ウーッ」や「グゥーッ」といった声で唸ることもありますが、喧嘩ではなくじゃれ合っているだけの場合もあります。
犬歯をむき出しにしながら鼻の上にしわを寄せている、低い声で唸りあっている、唸りあう際にお互い動きを止めて硬直している、などのサインが見られた際は、遊びではなく喧嘩に発展することがあるので注意しましょう。

犬はどんなときに威嚇する?唸る理由とは

犬はどんなときに威嚇する?唸る理由とは

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犬が威嚇をしたり唸ったりする理由にはどんなものがあるでしょうか。
以下のような場合が挙げられます。

威嚇・唸りの理由①【場所やモノの取り合い】

犬同士で唸りあっている際、前述のようなしぐさが見られた場合は相手への威嚇の可能性が高いでしょう。

犬は、自分の寝床や自分専用の場所(縄張り)、おもちゃや食べ物などの取り合いが生じると、それらを守ろうとして相手の犬へ犬歯を見せて唸ったり、時には咬みついたりすることで威嚇をします。

寝床や自分専用の場所(縄張り)、おもちゃや食べ物といったものは、生きていくためには必要なものであるため、それらを安心して得ることができない状況や、奪われてしまうような状況になってしまうと、犬は自分の生存を維持するためにもそれらを守ろうとして威嚇・攻撃をします。

このような状況で犬が威嚇しあってしまう場合、犬同士で折り合いをつけて解決をすることは非常に難しいため、そのような状況が生まれないような環境設定や飼い主さんの対応が必要となります。
また、社会化不足や過去に他の犬に対して恐怖心を抱くように学習した犬は、相手の犬が何もしていなくても、相手に対する恐怖心からその姿を見るだけで自分の身を守ろうとして威嚇することがあります。

威嚇・唸りの理由②【思春期】

以前から専門家の間では、犬にも思春期があるのではないかと考えられてきましたが、2020年5月に発表された研究結果で、生後6ヶ月齢頃から9ヶ月齢ごろに犬も思春期を迎えることが明らかになりました。

この研究結果によると、思春期を迎えた子犬は飼い主さん以外の人には従順な仕草を見せたものの、飼い主さんに対して言うことをきかず、紛争的行動を示すといった、いわゆる人と同じような反抗期があることがわかりました。

また、一般的に、思春期を迎えた子犬は何かに対するこだわりや、警戒心や恐怖心が強まるため、飼い主さん以外の刺激に意識が向きやすくなるため、この時期の子犬に強引に言うことをきかせようとしたり、叱りつけてしまうと、反抗して威嚇をするようになります。

この研究結果では、思春期の行動の変化は「あくまでも思春期特有のものである」であり、生後12ヶ月ごろには従順な状態に戻る犬がほとんどだったため、愛情をもって見守ってあげながら、叱ったり無理強いをせず根気よくしつけを継続する必要があります。

威嚇・唸りの理由③【恐怖心】

宅配便のチャイムの音や、知らない人が目の前に現れたときに威嚇して唸ることもあります。
犬は縄張り意識が強いため、知らない人が自分のテリトリーに入ることを嫌います。

また、雷の音や大きな車のエンジン音など、聞き慣れない「音」に対する恐怖心・警戒心から威嚇して唸ることもあります。

このほか、家族を守るために威嚇していることも考えられます。
犬は仲間意識が強い動物であるため、飼い主さんを守ろうと、聞きなれない音や知らない人に威嚇しているのかもしれません。

威嚇・唸りの理由④【身体の不調や痛み】

愛犬の身体を触ったときに嫌がったり、攻撃的に吠える・唸るといった場合には、身体に痛みがある可能性があります。

明らかに触れるのを嫌がる、いつもとは違ううなり声をあげる場合は、かかりつけの動物病院に、その状況を相談してください。

やってはいけない!犬が威嚇しているときのNG対応3つ

やってはいけない!犬が威嚇しているときのNG対応3つ

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愛犬が威嚇したときに、ついやってしまいがちな飼い主さんの対応が、実は犬にとってよくない場合があります。
ここでは、よくみられるNG対応を3つご紹介します。

NG対応①【厳しく叱る】

犬が威嚇したら、飼い主さんは咄嗟に怒ってしまうかもしれません。
しかし、前述したように犬が威嚇をする原因の多くは不安や恐怖を感じているためなので、厳しく叱るという行為は、さらに犬の不安や恐怖の気持ちを強め、飼い主さんとの信頼関係が崩れてしまうので、絶対にやめましょう。
犬は理由もなく威嚇することはありません。
まずは威嚇している理由を見つけ出す方が先です。

NG対応②【触る】

飼い主さんのなかには、愛犬が威嚇している様子をみたとき「どうしたの?」と愛犬の身体に触って落ち着かせようとする方がいます。
また、威嚇をやめさせようと、鼻先をおさえる場合もあるかもしれません。

しかし、普段は良好な関係を築けている飼い主さんであっても、愛犬が威嚇している状態であればとっさに噛みついてくるおそれがあります。
緊張状態である犬の視界に人の手が入ってしまうと反射的に噛んでしまう危険性があるため、すぐに触るのはやめましょう。

NG対応③【要求に応えすぎる】

愛犬が何かを要求するために、威嚇しているような唸り声をあげることがあります。
飼い主さんは、威嚇を止めようとして愛犬が望むことをしてあげたくなりますが、この要求に応えすぎていると愛犬がわがままになってしまうかもしれません。

「唸ればなんでもいうことを聞いてもらえる」と学習させないために、要求したことをやめさせることばかり考えるのではなく、飼い主さんにとって望ましい行動を褒めて教えることで、威嚇する機会を減らし飼い主さんと犬にとって望ましい行動がとれるように対応しましょう。

犬の威嚇をやめさせる正しい対処法

犬の威嚇をやめさせる正しい対処法

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愛犬がむやみに威嚇しないようにするためには、まず、子犬の頃にあたる「社会化期のしつけ」が重要です。

社会化期といわれる生後8週齢~12週齢は、外的な刺激に対し嫌悪感を持たずに受け入れられる時期です。
この頃は、社会的に適切な行動を覚える大切な時期でもあります。

犬が嫌がることが多い、車の音、チャイムの音など、生活していくうえで避けられない音に慣らしておくことは大切です。

成犬で家族に迎え入れたことで社会化期のしつけができなかった場合は、愛犬が威嚇したときの状況によって対処する必要があります。

まずは、愛犬が威嚇した原因を発見し、取り除くことがポイントです。
例えばチャイムの音に威嚇する子なら、玄関から遠い場所に愛犬が安心できるスペースを作る、チャイムが鳴ったら大好きなご褒美を与えてチャイムに対する警戒心を和らげるなどといった対策を取るとよいでしょう。

また、飼い主さんに対し威嚇して吠える場合は、吠えることで自分の思い通りになると覚えてしまっている場合があります。
そのときは、まずは威嚇されるようなことをなるべくしないようにしましょう。

威嚇されて飼い主がやろうとしていることをやめてしまえば、愛犬は自分の威嚇によって飼い主がその行動をやめたと学習し、さらに威嚇する頻度が増えてしまいます。
また威嚇するということは、その状況に対して不安や警戒心を持っているため、必要のないことなら無理にしない、必要なことであれば徐々に慣らしていく練習が必要となります。
犬に対して「自分の意思を伝えたい場合には、吠えたり唸ったりするのでなく、ほかのアプローチをすると良い」と学習させるのがポイントです。

どうしても威嚇をやめられないときは……プロに相談!

どうしても威嚇をやめられないときは……プロに相談!

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飼い主さんが真摯に対応しているのにも関わらず、愛犬の威嚇がどうしても改善しない……という場合は、プロに相談することをお勧めします。
威嚇の行動は、誤った対応をすればさらに悪化し、場合によっては咬みつくなどの攻撃を伴うようになるため、飼い主さんにとっても非常に危険です。
専門家に相談し、問題行動を改善する方法について相談しましょう。

また、ほかの犬に対して威嚇して吠えてしまう場合は、「犬の幼稚園」に通うのもおすすめです。
さまざまな犬と一緒に過ごす経験ができるので、ほかの犬に無理なく慣らすことが期待できます。

預かりやお泊まりトレーニングを実施している施設もありますので、愛犬に合ったトレーニングを検討しましょう。

まとめ

愛犬が頻繁に威嚇する場合、飼い主さん自身やほかの人が怪我をしてしまう危険もあります。
威嚇をする理由を突き詰めて、威嚇をしなくてもいい状態になるように対応していくことが大切です。

飼い主さん一人で抱え込み、無理に対応してしまうと問題がさらに悪化してしまうこともあるので、専門家に相談し、それぞれの愛犬に合った方法を実践することをおすすめします。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・youtubeチャンネル 「スタディ・ドッグ・スクール 」 動物行動学博士&国際ライセンスドッグトレーナーが犬の習性や能力から飼い方やしつけまで目からウロコの情報を幅広く発信。 チャンネル登録はこちらから↓ https://www.youtube.com/channel/UCqSmNCaYUEUFObbBW4Xn9nw ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

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