【ドッグトレーナー監修】室内犬はお散歩不要?運動不足を解消する正しいお散歩頻度

「室内犬はお散歩しなくていいから飼うのが楽」などと聞いたことがある方もいるかもしれませんが、それは間違いです!外の刺激を得て社会性を身につけるため、そしてストレスを溜めないためにもお散歩は欠かせないものであり、犬たちの権利でもあります。この記事では、室内犬にとってのお散歩の必要性と、適度なお散歩量についてご紹介します。

【ドッグトレーナー監修】室内犬はお散歩不要?運動不足を解消する正しいお散歩頻度
出典 : pixta_49799535

室内飼いの愛犬にもお散歩は必要!「動物福祉」を知る

室内飼いの愛犬にもお散歩は必要!「動物福祉」を知る

pixta_15313221

結論からいえば、室内犬であってもお散歩は必要であり、動物の福祉基準「5つの自由(5 Freedom)」にも定められています。

1960年代のイギリスで家畜飼育状況の無残さを記した「Animal Machine」という本が出版されたことがきっかけとなり、動物の福祉基準である「5つの自由(5 Freedom)」が定められました。

これは国際的に認められている動物の福祉基準であり、現在では家畜だけではなく、愛玩動物、動物園などの展示動物、実験動物など、人間の飼育下におかれた全ての動物に対する福祉の基本となっています。

この「5つの自由」には、「正常な行動を表現する自由」という項目が含まれます。
お散歩をせずに限られた環境の中だけで生活をしてしまうと、この「正常な行動を表現する自由」が奪われることになります。

つまり、お散歩に出かけ刺激を得ることは、犬の権利といえるのです。

お散歩は、運動だけが目的ではありません。
普段とは違った刺激を受けることが、精神衛生上大切なことでもあるのです。

お散歩しないとどうなる?4つのデメリット

お散歩しないとどうなる?4つのデメリット

pixta_47671772

お散歩をせずに過ごしていると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
愛犬の健康を守るためにも、確認しておきましょう。

デメリット①【肥満の原因】

お散歩をしないと、運動不足になってしまいます。
室内で遊ばせるだけでは、犬種によっては運動が不十分かもしれません。

運動不足は肥満の原因にもなります。
肥満になると、心臓に負担がかかる、糖尿病になるリスクが高まるなど、愛犬の体調不良にもつながってしまいます。

さらに、運動不足になると筋力が落ちてきます。
食べて寝るだけの生活になってしまえば、さらなる肥満を引き起こす悪循環に陥るおそれがあります。

デメリット②【ストレスによる問題行動】

お散歩にでかけないことで、ストレスが溜まることが考えられます。
ストレスが溜まると欲求不満の状態から、落ち着きがなくなったり過敏になることで、「家具などを噛んで破壊する」「様々な刺激に吠えやすくなる」などの問題行動につながるおそれがあります。

また、過剰なストレスによって自分の尻尾を噛んだり、舐めすぎてしまったりと異常な行動を起こすことも。
皮膚炎や脱毛症、嘔吐や下痢などの症状が出るケースもあるため、愛犬のストレスには十分注意しなければなりません。

デメリット③【トイレを我慢してしまう】

室内でトイレをする訓練がしっかりと完了していない場合、お散歩のときにトイレを済ませる子もいるでしょう。

定期的なお散歩がないとおしっこを我慢してしまい、膀胱炎など身体に不調が出るおそれがあるため注意が必要です。

デメリット④【社会性を身につけられない】

お散歩は、外でたくさんの刺激を得られる機会でもあります。
お散歩中に出会うほかの犬や人との関わり、家の中にいるだけでは聞こえない音、外だからこそ感じられる匂いや風など、外で得られる刺激はたくさんあります。

お散歩に出かけずに室内だけで過ごしてしまうと、こうした有益な刺激を受けられず、社会性を身につける機会を逃がしてしまうことになります。

警戒心が強い犬でも外に出ることで社会性が身につき、危険なものとそうでないものとの区別がつきやすくなるため、自信につながります。
外での経験が「知らない人や犬に吠える」「飛びついてしまう」など、飼い主さんが困ってしまうような行動を抑えることにもなるでしょう。

毎日お散歩するべき?室内犬にとって適切なお散歩頻度・回数

毎日お散歩するべき?室内犬にとって適切なお散歩頻度・回数

pixta_66376132

室内犬であっても、できれば毎日お散歩に出かけるのがおすすめです。
お散歩の量は犬種により異なりますので、確認しましょう。

小型犬のお散歩量

小型犬であれば1日2回、1回につき15分程度のお散歩をし、飼い主さんと一緒に遊ぶ機会も設けてあげるのが好ましいでしょう。
1日1回しかお散歩にいけないときは、少し長めの20分~30分程度お散歩してあげるなどその日によって対応してください。

しかし、小型犬のなかでも愛玩犬グループに属する犬種は、骨格構成上や筋肉の性質上、ハードな運動をするようには作られていません。

運動欲求も中型犬や大型犬と比べて高くないため、ストレス発散の意味を込めてお散歩する程度でよいでしょう。
無理をするのはNGです。

中型犬のお散歩量

中型犬の場合は、1日2回、1回につき30分程度お散歩し、飼い主さんと一緒に遊ぶ機会も設けてあげるのが好ましいでしょう。
ただ歩くだけでは満足してくれないこともあるため、並走したり、お休みの日はドッグランに行ったりと、メリハリあるお散歩がおすすめです。

大型犬のお散歩量

大型犬の場合は身体が大きい分、小型犬や中型犬以上のお散歩量が必要です。
1日2回、1回につき30分~60分程度のお散歩をし飼い主さんと一緒に遊ぶ機会も設けてあげるのが好ましいでしょう。

適切な散歩の量は犬種により異なるため、愛犬が満足しているかもチェックしてみてください。

ときには走ることも必要ですが、長い距離を歩くことや一緒に遊ぶことを意識するとよいでしょう。
しかし、大型犬は成犬になる前に過度な運動をしてしまうと、股関節形成不全になる危険があります。
1歳より前の運動のしすぎには、十分注意してください。

雨の日などお散歩に行けない場合は?

雨の日や飼い主さんの都合でどうしてもお散歩に行けない日もあるでしょう。
その場合は、室内でおもちゃなどを活用して遊ばせるなど、室内でできる運動に切り替えてみてください。

屋根のあるベランダやテラスで、外気に当ててあげるだけでもストレス発散になります。

大型犬など運動量を必要とする犬種の場合、小雨などで愛犬と飼い主さんの安全が確保できるようであれば、雨具を着用してお散歩するのもアリです。

室内犬とお散歩に出るときの注意点

室内犬とお散歩に出るときの注意点

pixta_62996234

室内犬とお散歩に出かけるときは、出かける時間に注意しなければいけません。

夏の暑い時間帯にお散歩に出かけてしまうと、熱中症や火傷のおそれが高まります。
また、涼しい室内と暑い外では大きな温度差があります。
7度前後の温度変化は、犬の血管の収縮や血圧に異常をもたらすおそれがあるため注意する必要があるでしょう。

室内犬の場合、管理された室温のなかで生活しているので、夏や冬の温度差が激しい季節にはとくに注意してあげてください。

お散歩のあとはしっかりケアを!

お散歩のあとはしっかりケアを!

pixta_64229118

お散歩から帰宅したら、家に入る前に足を拭いてあげましょう。
基本的には、乾いた布で拭く、汚れが気になる所を濡れた布やウェットティッシュで拭くだけでOKです。

汚れが気になる場所は、ぬるま湯で絞ったタオルでふき取る、またはその部分だけ洗ってあげましょう。
濡れたまま放置してしまうと皮膚の質を低下させてしまうおそれがあるため、洗った後はドライヤーを使用し、しっかりと乾かすことも重要です。

また、外からノミやマダニを室内へと持ち帰ってしまうおそれがあるため、定期的なノミ・ダニの駆除薬の投薬に加え、お散歩から帰ったらブラッシングしてあげるのがおすすめです。
それでも心配な方は、ノミ取り機能がついた首輪などを活用してください。

室内犬にとって、お散歩はストレスなの!?「お散歩不要」はまちがい!

室内犬にとって、お散歩はストレスなの!?「お散歩不要」はまちがい!

pixta_7460958

「室内犬にはお散歩が必要ない」と言う意見をもつ方もいますが、それは間違いです。

散歩がストレスになっている様子がみられる場合、そうなってしまうような育て方やしつけ方をしてしまっていることが原因でしょう。
または、ストレスに感じる場所を散歩させてしまっていることも考えられます。

冒頭でご紹介したように、限られた場所以外での環境刺激を与えることは、犬の心身の健康にとって必要なことであり、適切にお散歩をすることは愛犬の権利です。

愛犬の権利を守ることは飼い主さんの義務であるため、気持ちの良いお散歩を一緒に楽しみましょう。

まとめ

室内犬であっても、外でしか得られない刺激を受けるため、そして社会性を身につけるために、毎日のお散歩は欠かせません。

お散歩は愛犬の体調管理にも関わってきます。
飼い主さんと愛犬が共に気持ちよく運動できるお散歩を楽しみましょう。

監修者情報

鹿野 正顕(学術博士)

鹿野 正顕(学術博士)

・学歴(大学・院、学部、専門分野) 麻布大学大学院 獣医学研究科 博士後期課程修了  専攻:人と動物の関係学、犬の行動学 麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。 ・資格 CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed) (世界最大家庭犬トレーナー資格) ・youtubeチャンネル 「スタディ・ドッグ・スクール 」 動物行動学博士&国際ライセンスドッグトレーナーが犬の習性や能力から飼い方やしつけまで目からウロコの情報を幅広く発信。 チャンネル登録はこちらから↓ https://www.youtube.com/channel/UCqSmNCaYUEUFObbBW4Xn9nw ・職業 スタディ・ドッグ・スクール® 代表 株式会社 Animal Life Solutions(ALS) 代表取締役社長 ・所属団体、学会 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事長 動物介在教育療法学会(ASAET) 理事 ・受賞歴 平成16年度さがみはら青年アントレプレナービジネスコンテスト 優秀賞 ・著書 ◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基    ◆ 「アニマルセラピー入門」   編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明 ◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」   ◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」 販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕 ◆ 建築知識 創刊60周年記念出版「犬のための家づくり」 発行:エクスナレッジ ◆Oral tyrosine changed the responses to commands in German shepherds and Labrador retrievers but not in toy poodles   Masaaki Kano,Hidehiko Uchiyama,Mitsuaki Ohta,Nobuyo Ohtani (2015) ◆ 応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 浅見 樹里, 田村 雅紀, 金巻 とも子, 鹿野 正顕, 長谷川 成志 ジャーナル:工学院大学総合研究所・都市減災研究センター (Research Center for Urban Disaster Mitigation: UDM) 研究報告書 (平成25年度) ・職業上でのペットとの関わり ドッグトレーナーとして飼い主指導 獣医師、ドッグトレーナーなどの専門家に対する犬の行動・しつけ・トレーニング等の教育 学校機関での専門家の育成 メディアを通した情報発信 企業に対するペット関連コンサルタント ・飼っている動物 スタンダード・プードル(♀:柔、11歳) ・ペット歴 犬:Mix(4匹)、ミニチュアシュナウザー(1匹)、ジャーマンシェパード(1匹) スタンダード・プードル(1匹) ネコ:2匹 シマリス:2匹 ウサギ:1羽 セキセイインコ:5羽 ・ポリシー(ペットに関する) 動物の習性を客観的に理解し、人と動物互いのバランスを保った共生を追求する ・エピソード(ペットに関する) 畜産を兼業していた農家出身の両親は、ともに動物が好きだったことから、よく捨てられた犬を拾ってきて家で飼っていました。そのため、私は幼少のころから常に犬と一緒の生活を送り、鍵っ子だった私の寂しい気持ちを犬はいつも癒してくれ支えとなってくれました。  当時の犬の飼い方は今とは全く異なり、犬は外で飼うのは当たり前で予防接種をしたり動物病院に連れていくこともあまり一般的ではありませんでした。特に私の父親は、戦後間もない、物のない時代で生まれ育ったため、動物にお金をかける意識が低く、予防接種や病気の治療なども満足には行わなかったため、我が家の犬たちも非常に短命で、大学に進学するまでの12年間で4頭もの犬を飼育してきました。  そんな犬の飼い方に、幼いころから何となく疑問を感じていた私にとって、小学生の頃、今の仕事を志すようになった衝撃的な事件が起きました。避妊もしていなかった我が家の犬は、ある日、家に迷い込んできた野犬と交配してしまい、自宅で1匹の子犬を産みました。私は父に、産まれた子犬を飼うことをお願いしましたが、2頭も同時に飼うことができないという理由で拒まれてしまいました。そこで、子犬の里親を見つけることを懇願すると、父は承諾をしてくれたと思ったのですが、次の日の朝、子犬はいませんでした。  気が動転した私は、すぐに父のもとへ行き子犬の行方を尋ねると、父は夜中に山に捨ててきたと答えました。ショックでした。言葉が出ないくらい、頭の中が真っ白になるぐらいショックでした。私は、泣きじゃくりながら父親に怒りをぶつけましたが、もうその子犬が家に帰ってくることはありませんでした。  このことがきっかけで、私は、「犬をもっともっと大切にする社会に変えたい」、「家族の一員としてもっともっと犬との絆を深められる社会にしたい」、そう決意し犬の専門家になることを強く志し、「犬とのより良い共生社会の確立」という夢をかなえるべく、麻布獣医大学の獣医学部動物応用科学科に進学をしました。  大学院の博士課程が修了後、同じ志をもち、共に学生時代に犬の研究チームをまとめ、同期共に、さらなる夢をかなえるべく、大学のベンチャー企業として株式会社アニマルライフ・ソリューションズを立ち上げ、現在でも「犬とのより良い共生社会の確立」を目指した事業活動を行っています。

続きを読む

ライタープロフィール

PECO

PECO

PECO[ペコ]は、月間 1000万人が利用するペット情報サイトです。 「ペットとの毎日がもっと楽しくなる」をテーマに、 おもしろ&かわいいペット動画や、飼い方・病気に関するお役立ち情報、 最新のペットイベント情報など、毎日配信しています。 ペットを心から愛する人たちのために、PECOはこれからもより良い情報を提供しつづけていきます。 コーポレートサイト https://corp.peco-japan.com/ Facebook https://www.facebook.com/PECO.japan/

続きを読む

編集部のおすすめ記事

今週の「ライフスタイル」記事ランキング