【獣医師監修】犬も風邪をひく?病院に行くべき症状や、注意すべきことを知っておこう

犬も、猫や人間のように風邪をひくのでしょうか?犬の風邪はどのような症状が現れるか、病院に行くべきか、治療法や予防法はあるかなど、詳しく知っておきましょう。愛犬の健康を守るために、日ごろから備えておくことが大切です。

【獣医師監修】犬も風邪をひく?病院に行くべき症状や、注意すべきことを知っておこう
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犬も風邪をひく?その症状とは?

犬も風邪をひく?その症状とは?

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犬も風邪をひくという獣医師もいれば、犬は風邪をひかないという獣医師もいます。
その理由は、実際には風邪という病名が存在しないからです。
そのため、カルテに“風邪”と記載されることもありません。
たとえば愛犬に鼻水とくしゃみの症状だけが見られる場合、カルテには“鼻炎”と書かれるはずです。

人間でも、咳とくしゃみと鼻水と38度以下の発熱であれば、わざわざ病院でウイルス検査などを受けることはないでしょう。
(※2020年10月末現在、新型コロナウイルス感染症の検査を除く)。
医師の判断で症状を抑える薬が処方され、それを患者が飲んで改善が見られれば、「風邪だったのだろう」ということになるかと思います。
犬も同様で、重篤化せず対症療法で改善が見られるような、くしゃみ、鼻水、咳などが生じた場合は獣医師によっては「風邪ですね」と飼い主さんに伝えるでしょう。

対症療法で短期間で収まった下痢や嘔吐や微熱などが現れた場合も、獣医師によっては「胃腸風邪」と飼い主さんに告げるかもしれません。

犬が風邪をひく原因とは?

犬が風邪をひく原因とは?

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人間と同様に、犬の風邪もウイルスや細菌といった病原体への感染が原因になります。
子犬や老犬、基礎疾患のある犬では、免疫力が弱く、症状が強く出る傾向にあります。

ガチョウの鳴くような高音の咳が長引く病気に、ケンネルコフがあります。
正式には、犬伝染性気管気管支炎という病気で、犬アデノウイルスⅡ型、犬パラインフルエンザウイルス、犬呼吸器コロナウイルス、ボルデテラ菌などが主な病原体。
単独感染では軽症で済むケースもありますが、同時感染では重症化する危険性があります。
重症化すると、膿の混じった鼻汁を出したり、くしゃみをしたり、発熱したり、元気や食欲がなくなったりします。
このケンネルコフが軽症の場合、獣医師によっては「風邪」と表現する場合もあるでしょう。

犬の風邪は人や犬同士でうつる?

犬の風邪は、原則的には人間にはうつりません。
人間の風邪が犬にうつることも、まずありません。
けれども、犬同士では、風邪はうつります。
特に、ペットショップやブリーダーの犬舎で感染が広がることも少なくありません。
また、多頭飼育をしている場合、同居犬の鼻水やくしゃみによる飛沫をはじめ、排泄物に接触したりすると病原体に感染する危険性が高まるでしょう。
パピーを迎えたばかりでワクチンプログラムが終了していない場合、軽い咳だけという症状があるような同居犬とは、同室で過ごさせないことが重要です。

ケンネルコフの原因となる病原体は、感染力が強いので注意が必要です。
もし愛犬にケンネルコフが疑われる場合、散歩でのあいさつ時やドッグランなどで感染を広げないように、他犬との触れ合いは避けるようにしてください。

犬の風邪で危険な症状とは? 見極め方と、病院へ行くべき症状

犬の風邪で危険な症状とは? 見極め方と、病院へ行くべき症状

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最初に述べたとおり、風邪という病名は存在しません。
なんらかの病原体に感染して、重篤ではない咳、くしゃみ、鼻水などが生じている状態を風邪と表現するのが一般的です。

愛犬が元気で、数日様子を見ていて症状が軽くなっていくようであれば、動物病院に行かなくて良い可能性もあるでしょう。
けれども、愛犬に元気や食欲がないならば、早期に病院へ。
鼻汁に膿が混じっている、咳が長引く、目ヤニや発熱がある、嘔吐や下痢などの消化器症状が見られるといった場合も、迷わず獣医師に相談を。
愛犬がさらに重症化して、命に関わるような感染症にかかっている可能性もあるからです。
早期の治療開始が、愛犬の命を救うことにつながると覚えておいてください。

犬の風邪は予防できる?早期発見のコツとは

人間のように手洗いやうがい、マスクという方法では、犬は風邪の予防はできません。
けれども、愛犬がいつも心身ともに健康でいられるように飼い主さんが気遣ってあげることは、風邪を予防するために大きく役立つでしょう。
病原体への抵抗力を常に高い状態に保ってあげられるように、適切な食事や運動などによる健康管理をしてあげたいものです。

なお、ケンネルコフの原因のひとつである犬パラインフルエンザと犬アデノウイルスⅡ型に関しては、5~9種混合ワクチン(※製薬会社により異なる)による予防が可能です。

愛犬の風邪を早期発見するために、日ごろから愛犬の食欲や活動量などをよく把握しておくことが大切です。
愛犬の異変に気付き、さらに愛犬の元気や食欲がなくなっているようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。

犬の風邪の対処法、治療法

犬の風邪の対処法、治療法

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一般的に風邪とは、症状が重篤にならず、対症療法で快方に向かうものを指します。
風邪の症状が徐々に重くなっていったり長引いたりするケースでは、獣医師が病気の原因となるウイルスや細菌を特定する検査を実施することもあります。
病原体が明らかになったら、それらにあう抗生物質や抗菌剤を使って治療を行うことになるでしょう。

家庭では、愛犬が寒さで震えているような場合は部屋をあたたかくしてあげたり、発熱して暑そうであれば涼しくしてあげたりと、愛犬が心地よく療養できる環境を整えてあげてください。
鼻水などがついてもすぐに衛生的なものに取り換えてあげられるよう、ドッグベッドにはタオルやブランケットなどを敷くのもおすすめです。

なお、シャンプーやお風呂は体力を消耗するので、風邪をひいている犬には控えるようにしましょう。

まとめ

まとめ

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風邪は正式な病名ではありませんが、犬も咳やくしゃみや鼻水や発熱など、風邪と呼ばれる感染性の病気による症状を見せることがあります。
もし風邪の初期症状のような、鼻水やくしゃみや咳といったサインが現れたら、見逃さずに経過を観察しましょう。
重症化してきているようであれば、動物病院を受診してください。
風邪だと安心していて、実際は危険度の高い感染症にかかっている可能性もあります。
犬連れ旅行の間際に愛犬に風邪のような症状が見られたら、念のため旅行はキャンセルして自宅で様子を見つつ、すぐに動物病院を受診できるように準備をするか、旅先ですぐに動物病院にかかれる体勢を整えておきましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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