【獣医師監修】愛犬との引っ越し。愛犬のストレスを軽減する方法とは

引っ越しによって、ペットにストレスを生じさせる恐れがあります。引っ越しで、どのようなことが犬のストレスになりやすいのでしょうか。原因やストレスのサイン、ストレスの解消方法について知っておきましょう。愛犬がそもそもストレスを感じにくくする手立ても講じたいものです。

【獣医師監修】愛犬との引っ越し。愛犬のストレスを軽減する方法とは
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引っ越しでストレスが生じる原因

引っ越しでストレスが生じる原因

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引っ越し先の新しい環境での新生活が始まると、慣れるまでは人間でも緊張しがちです。
犬も同様で、新居での暮らしに落ち着かない気持ちや戸惑いを感じ、それがストレスになる可能性は高いと言えます。

引っ越しによるストレス①【散歩】
慣れ親しんだ散歩コースではなく、見知らぬ土地での散歩で緊張することもあるでしょう。
散歩中に仲の良い犬に会えないさびしさも、ストレスの原因になります。

引っ越しによるストレス②【気候】
温暖な地域から寒冷地域へ、またその逆のように、気候が異なる土地での新しい生活では、体が環境に適応するまでに時間がかかります。
それで、体調が不良になる犬も少なくありません。
体調がすぐれないと、当然のことながら犬は不安になりストレスを感じます。

引っ越しによるストレス③【音】
静かな場所から、一日中バイクや自動車のエンジン音やクラクション、工事の音などが響く都会への引っ越しも、愛犬にとって聞きなれない音を浴び続けることになりストレスになりやすいでしょう。

引っ越しによるストレス④【移動】
引っ越し先までの移動時間が長かったり、飛行機など初めての移動手段で緊張が強かったりすると、心身ともに疲弊してしまい、一時的にストレスによる体調不良などが生じることもあります。

引っ越しによるストレス⑤【導線の変化】
白内障などで視覚を失った老犬が、引っ越しによりストレスを抱えるケースも少なくありません。
環境の変化で、トイレの位置をはじめ導線がわからなくなるといったことがその原因と言えるでしょう。

犬には言葉で説明をして安心してもらうことができません。
そのため、人間よりも犬が引っ越しで感じるストレスは大きいと考えられます。

愛犬がストレスを感じているサインは?

愛犬がストレスを感じているサインは?

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愛犬がストレスを感じているサインを知っておけば、少しでも不安や緊張をやわらげてあげるのに役立ちます。

ストレスサイン①【吠える】

犬はなんの刺激も感じずにゆったりした気分でいる時は、吠えません。
引っ越し先で警戒吠えなどが増えていると感じたら、それは愛犬がストレスを感じているひとつのサインです。
慣れない環境での留守番も、不安感を募らせます。
引っ越し先に愛犬が慣れるまでは、留守番中に飼い主さんを呼び戻そうとして吠えやすくなるかもしれません。

ストレスサイン②【夜鳴き(夜泣き)】

愛犬が引っ越し先で急に夜鳴きを始めた場合も、ストレスを感じている証拠です。
多くは慣れない環境で不安を感じていて、そばで寄り添ってほしい飼い主さんを呼ぶ行為として夜鳴きが現れます。

ストレスサイン③【下痢】

新しい土地や新居に慣れないで緊張状態が続くと、犬は神経性の下痢を起こすことがめずらしくありません。
下痢にまではならなくても、軟便になることもあります。
軟便や下痢の状態が数日間続くようであれば、獣医師に相談しましょう。

ストレスサイン④【食欲不振】

緊張感や不安感でいっぱいになると、食欲がなくなる犬もいます。
数日間であれば問題ありませんが、1週間以上食欲がない場合は獣医師と相談しながら食べさせる工夫をしてあげてください。

愛犬のストレス解消方法

愛犬のストレス解消方法

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引っ越しで愛犬が感じているストレスを、可能な限り軽減させてあげたいものです。
ストレス解消方法には、以下のものがあります。

ストレス解消法①【酔い止め】

引っ越し先への移動距離が長い、移動時間が長い、飛行機や船など愛犬が乗り慣れないものに乗るといった場合、事前に愛犬に酔い止めを飲ませておくのがひとつの解決法です。
酔い止めには、眠くなりやすいものや抗不安作用を備えるものもあるので移動中のストレスを感じにくくなります。
必要に応じて、動物病院で引っ越し前に愛犬に合うタイプの酔い止めを処方してもらってください。

ストレス解消法②【飼い主と同室で就寝】

引っ越すまで飼い主さんとは別室で、サークルなどに入れて寝かせていた愛犬が、引っ越し先で急に夜鳴きを始めることもあるでしょう。
その場合、愛犬が新しい環境に慣れるまでの間は、飼い主さんと同室で寝かせることをおすすめします。
本来、犬は群れで寝食をともにする動物。
飼い主さんがゆったり眠る姿を見れば、安心してストレスも軽減するはずです。

ストレス解消法③【留守番はケージで】

慣れない環境でひとりになること自体、犬にはストレスになるもの。
そのうえ、室内で完全フリーの状態でひとり留守番をさせられると、室内や窓の外で物音などがするたびに、犬によっては飼い主さんの代わりに異常がないか確認をしなければならないと感じて気が休まりません。
その緊張状態を軽減させるのに、愛犬をケージ(クレート、サークル)で留守番させる方法が役立ちます。
犬はもともと側面と頭上がすっぽり覆われた洞穴を寝床にしていました。
そのため、狭くて暗い場所では“お休みモード”になりやすいのです。
さらに、物理的になわばりをパトロールする必要もなくなるため、警戒心も軽減させてあげられます。
音に敏感な愛犬には、留守番時は窓を閉めてエアコンを活用し、ラジオなどをつけっぱなしにしておくと良いでしょう。

ストレス解消法④【飼い主がリラックスする】

犬は飼い主さんの気持ちを敏感に感じ取ります。
飼い主さんがうれしそうにしていれば、愛犬もきっとうれしい気持ちになり、飼い主さんがイライラしていたら、愛犬は不安な気持ちになるでしょう。
引っ越し先では、まずは飼い主さんがリラックスした態度を示すことが、愛犬のストレスを軽減させるために重要です。
愛犬と室内で一緒に遊んだり、撫でてあげるなどのスキンシップをたくさん取るように努めて、新居での生活が楽しく穏やかなものだと愛犬に伝えてあげてください。

ストレスを感じにくい愛犬の育て方

ストレスを感じにくい愛犬の育て方

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環境への適応能力が高い愛犬に育ててあげれば、引っ越しや旅行などで環境が変わっても、ストレスを溜めにくくなります。
そのためには、子犬の社会化が重要です。
生後2~5ヵ月頃の、警戒心よりも好奇心のほうが高い時期に、あらゆるものに触れて慣れさせてあげましょう。
怖がりそうなものには、おやつを与えながら慣れさせます。
生後1歳になるまでは新しいことにも慣れやすいので、たくさんの人やほかの犬に触れ合わせたり、様々な体験をさせてあげたいものです。
そうすれば、少しの刺激や環境の変化には心が動じず、そもそもストレスを感じにくい愛犬になってくれるでしょう。

まとめ

まとめ

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犬は人間以上に、引っ越しによるストレスを感じやすいと言えます。
引っ越しでは、移動中の愛犬のストレスを軽減するために事前に準備が必要な場合もあります。
引っ越し先では、愛犬のストレスサインを見逃さず、できる限りの対処法をすぐに行ってあげましょう。
そもそもストレスを感じにくい愛犬になってもらうためには、子犬期を中心に若齢期の社会化も大切です。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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