【獣医師監修】アレルギーの犬はいる?主な原因、症状、治療法とは?

アレルギーに苦しむ犬も、いるのでしょうか? 犬がアレルギー反応を示す物質にはどのようなものがあるのでしょうか? 犬のアレルギーについて、発症年齢や症状や治療法について、詳しく解説します。知識を深めて、日常生活やお出かけの際に役立ててください。

【獣医師監修】アレルギーの犬はいる?主な原因、症状、治療法とは?
出典 : pixta_16502564

犬も人と同様にアレルギーになる!

犬も人と同様にアレルギーになる!

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人間と同じように、アレルギー体質の犬もいます。
アレルギーとは、あるものに対して免疫システムが過剰に反応する状態。
そのなかでも短時間で全身に激しく現れるアレルギーはアナフィラキシーと呼ばれ、命に関わる危険な状態です。
アナフィラキシーに陥ると、みるみるうちに顔や目が腫れる、呼吸が困難になるといった症状が出現します。

アレルギーになりやすい犬種はある?

アレルギーは、遺伝的な素因も関係すると考えられています。
そのため、アレルギー体質の血統であれば、犬種を問わず、どの犬でもアレルギーになりやすいでしょう。
日本では、アレルギーを持ち合わせていると発症しやすいアトピー性皮膚炎に、柴犬、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、パグ、ジャック・ラッセル・テリア、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ワイアー・ヘアード・フォックス・テリアが比較的かかりやすいことが知られています。

アレルギーにはどのような種類がある?

アレルギー反応を引き起こす物質をアレルゲンと呼びます。
犬にとってアレルゲンとなるのは、食物、ハウスダスト、ダニ、ノミ、カビ、花粉などです。

犬のアレルギー①【食物アレルギー】

犬のアレルギー①【食物アレルギー】

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犬が示すアレルゲンで多数を占めるのが、食物です。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーがある犬の多くは、皮膚に痒みを伴う炎症が現れます。
もちろん、軟便や下痢などの消化器症状が出るケースや、皮膚と消化器の両方に症状が現れるケースも少なくありません。
食物アレルギーによる皮膚炎では、顔、背中、肛門周囲に皮膚炎が生じやすいと言われています。
また食物アレルギーの場合、1歳未満からの発症が多く、症状は季節を問わず1年中現れます。

食物アレルギーの原因と対策

食物アレルギーの原因になる食べ物は、鶏、牛、豚、羊、大豆、小麦、大麦、白米など多くあります。
食物アレルギーが疑われる場合、血液検査を補助的なツールとして用い、低アレルギー食を一定期間試しながら確定診断を行うことになるでしょう。

食物アレルギーの治療法

食物アレルギーの治療は、検査も兼ねて、まずは低アレルギー食を用いて行うのが一般的です。
ダック&ポテト、サーモン&ポテトなどのフードを一定期間与えて経過を観察します。
低アレルギー食でも症状が改善しない場合、鹿肉、馬肉、カンガルー肉など単一のタンパク質しか含まれていない除去食に切り替えます。
低アレルギー食や除去食は、必ず獣医師に指示された期間は与え続けなければ意味がありません。
根気よく治療に取り組むのが重要です。
食事療法とあわせて、シャンプー療法やサプリメントの服用などが行われることも多いでしょう。

犬のアレルギー②【アトピー性皮膚炎】

犬のアレルギー②【アトピー性皮膚炎】

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アトピー性皮膚炎の症状

犬のアトピー性皮膚炎は、3歳未満で発症するケースが多くなっています。
発症すると、足先、顔面、耳、脇の下、内股などに痒みを伴う皮膚の炎症が起きます。
皮膚炎が生じた部分が赤みがかったピンク色になったり、悪化すると黒ずむこともあります。

アトピー性皮膚炎の原因と対策

アトピーとは、IgE(免疫グロブリンE)ができやすい体質という意味。
アトピー性皮膚炎は、ダニ、ハウスダスト、花粉などの生活環境アレルゲンと接触することで、体を守る抗体のひとつであるIgEが反応して発症します。

アトピー性皮膚炎の対策で、こまめな掃除でハウスダストやダニを生活環境から排除するのは鉄則。
市販されているダニ捕りシートを、愛犬の過ごすドッグベッドやカーペットに設置しておくのもおすすめです。
花粉がアレルゲンとなっている場合は、掃除に加えて、散歩中に洋服を着せるなどして愛犬に付着する花粉の量を減らすように心がけましょう。

アトピー性皮膚炎の治療法

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を併発している犬も少なくありません。
その場合は、食物アレルギーの治療も実施しつつ、アトピー性皮膚炎の治療を行うことになるでしょう。
アトピー性皮膚炎で痒みが強い場合は、ステロイド薬を使用するケースもあります。
また、アトピー性皮膚炎の管理にはスキンケアが重要です。
シャンプー療法と保湿剤を用いたスキンケアをしっかりと行います。

犬のアレルギー治療の注意点!

犬のアレルギー治療の注意点!

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食物アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎は、痒みを伴います。
そのため、愛犬が掻き壊すと皮膚のバリア機能が損なわれ、ブドウ球菌などに感染しやすくなるので要注意。
ブドウ球菌が皮膚で増殖すると、膿皮症を発症します。
膿皮症は赤いポツポツとした湿疹ができるのが特徴的な症状で、抗菌作用のあるシャンプーや抗生物質などで治療を行います。

愛犬の皮膚炎を見つけると、飼い主さんは痒みや炎症を抑えてあげようと、オロナイン軟膏などを使用したくなるかもしれません。
けれども、愛犬が軟膏を舐めてしまう恐れもあり、独自の判断による応急処置はおすすめできません。
アレルギーによる病気治療は、アレルゲンを特定することが肝心です。
前述のとおり、食物アレルギーかアトピー性皮膚炎かによって治し方も異なります。
愛犬にアレルギーが疑われたり、愛犬の皮膚トラブルを発見したら、早めに獣医師に相談してください。

まとめ

まとめ

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犬も人間と同様にアレルギーによる皮膚炎などを発症します。
犬では、食物アレルギーによる皮膚炎とアトピー性皮膚炎が多く見られ、それらを同時に発症したり、掻き壊しが原因で二次感染をして膿皮症などを発症するケースもあります。

アレルギーが原因となる皮膚炎は痒みを伴うので、ストレスも愛犬を苦しめるもの。
早期発見と早期治療に取り組み、健やかな日々を過ごせるように管理してあげましょう。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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