【獣医師監修】犬の耳掃除の頻度は月1~2回!愛犬が嫌がらないケアの方法とは?

犬の耳掃除は行ったほうがよいのでしょうか? 犬の耳掃除の適切な頻度や、犬が嫌がらない理想的なケア方法について解説します。正しい知識を頭に入れながら愛犬の耳を衛生的に保ち、日本の多湿な環境で暮らす愛犬が耳のトラブルで苦しまないように管理しましょう。

【獣医師監修】犬の耳掃除の頻度は月1~2回!愛犬が嫌がらないケアの方法とは?
出典 : pixta_10005653

犬の耳掃除はなぜ必要? 頻度は月1回が適切!

犬の耳掃除はなぜ必要? 頻度は月1回が適切!

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野生動物が耳掃除やシャンプーをしないように、耳にトラブルを抱えていない犬は、耳掃除はほとんど必要ありません。
けれども、日本のように多湿な気候の環境で暮らす犬の耳は、湿度などで蒸れて雑菌が繁殖しやすいため、汚れていれば月に1~2回程度は耳掃除をしておくほうがよいでしょう。

犬の耳掃除が必要な理由は、雑菌の繁殖を防ぐため

犬に耳掃除を行う主な理由は、犬の常在菌であるマラセチア(真菌の一種)や黄色ブドウ球菌など雑菌の増殖を防ぎ、犬の外耳道の衛生を保つためです。
特に梅雨から夏にかけての多湿な環境下や、シャンプー後などは、外耳道が蒸れてマラセチアの栄養源となる耳垢腺からの油分が増えがちです。
マラセチアの増殖によって、外耳道が炎症を起こして外耳炎になります。
外耳炎は悪化すると、最悪の場合は手術が必要になることもあります。
外耳炎を予防するために、外耳道を清潔に保てる耳掃除が有効だと言えるでしょう。

耳掃除が必要な犬種は?

チワワなど立ち耳の犬種は、外耳道の通気性がよいため蒸れにくく、それほど外耳炎の心配はありません。
けれども、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、シー・ズー、ゴールデン・レトリーバーなどの垂れ耳の犬種は、外耳道に空気が通りません。
そのため、茶色い耳垢が増えていないか、耳が臭くないか、耳の皮膚が赤味を帯びていないかなどをこまめにチェックするとともに、耳が汚れていたら月1~2回ほど耳掃除をしてあげましょう。
立ち耳でも、フレンチ・ブルドッグは脂漏体質のため、外耳炎になりやすい犬種。
このように外耳炎の好発犬種もこまめに観察し、耳がベトついていたり耳垢が溜まっていたら耳掃除をしてあげてください。

耳掃除のやり方

耳掃除のやり方

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犬の耳の形状や構造は人間とは違うため、愛犬に適した耳掃除の方法を実践しましょう。

犬の耳掃除①【イヤーローションを注入】

犬の耳は内部がL字型になっています。
そのため、耳の奥の汚れを、綿棒などで除去することはできません。
犬の耳掃除を行うのに最良のケア用品は、イヤークリーナーやイヤーローションと呼ばれる洗浄液です。
ケア方法は、イヤークリーナーを数滴ほど愛犬の耳に入れ、耳の根元を飼い主さんの指でつまんで何度か揉むだけ。
飼い主さんが手を放すと、愛犬がブルブルと顔を振った際に余分な液体が排出されるので心配いりません。
イヤークリーナーの使用は、耳にトラブルがない立ち耳の犬であれば不要です。
垂れ耳の犬種や外耳炎の好発犬種は、多湿の時期に月に1回程度行うとよいでしょう。

犬の耳掃除②【耳掃除用シートで拭く】

愛犬の耳をチェックした際に、耳垢などの汚れが気になる場合は、耳の皮膚と外耳道の入り口を、市販されている耳掃除用のシートを使って拭き取ってあげましょう。
イヤーローションや水をコットンに染み込ませて使用してもかまいません。
この時、力を入れてゴシゴシしないように。
耳の皮膚はデリケートで傷つきやすいので、やさしくそっと拭くようにしましょう。

なお、耳の洗浄液の代用に消毒用アルコールを使いたくなるかもしれませんが、アルコールは作用が強すぎて皮膚のバリア機能を損ねたり、皮膚を守っている常在菌まで死滅させてしまう恐れがあるので、必ず犬用の耳洗浄液を使用してください。
耳掃除用シートがない場合、人間用の赤ちゃんのお尻拭きやお手拭きといったウェットティッシュを代用したくなるかもしれませんが、こちらも成分上の問題から、犬の耳への使用は推奨できません。

愛犬が耳掃除を嫌がる時の対処の仕方

愛犬が耳掃除を嫌がる時の対処の仕方

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耳掃除をしようとすると飼い主さんの手にかみつくなど、愛犬が耳掃除を嫌がる場合は、まずは耳を触られるのに慣らすことから始めましょう。
すぐに食べきれない硬めのジャーキーなどを愛犬にかじらせながら、耳を触られることに対するネガティブなイメージを消すようにします。
そのレッスンを続けるうちに、耳掃除ができるようになる犬も少なくありません。
もしイヤークリーナーや耳掃除シートに対する苦手意識が完全にぬぐえない場合は、おやつをかじらせながら耳に意識がいかないようにしてケアをするとよいでしょう。

飼い主さんが緊張していると、そのテンションを感じ取って愛犬も緊張したり警戒したりしがち。
飼い主さんがまずは落ち着いて、笑顔で愛犬に接しながら耳掃除をするのも重要なポイントです。

おやつを使用しての耳掃除も困難な場合は、トリミングサロンや動物病院に耳掃除を依頼するのが最良の対処法と言えます。

なお、そもそも愛犬が外耳炎にかかっていて痛みがあると、飼い主さんに耳を触られるのを嫌がるはずです。
その疑いがあるようなら、早めに獣医師に診てもらってください。

犬の耳掃除の注意点!

犬の耳掃除の注意点!

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犬の耳には自浄作用があり、耳の皮膚にはバリア機能が備わっています。
耳掃除をしすぎると、皮膚のバリア機能が損なわれる危険性があるので要注意。
特に、綿棒を使用しての耳掃除は、デリケートな外耳道の皮膚を傷つけたり、せっかくの自浄作用で外に出てきた汚れを耳の奥に押し戻してしまう恐れがあるので、禁物です。
耳かきも、耳を傷つけるので絶対に使用してはいけません。

人間と違って顔をブルブルと高速で振ることができる犬たちは、耳の内部の液体を外に排出できますが、老犬や幼齢の子犬や病中病後などで顔を振ることができない場合は、イヤークリーナーを注入しての耳掃除はやめておきましょう。

まとめ

まとめ

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愛犬の耳をチェックして、耳に汚れや赤み、悪臭がなければ、特に耳掃除をする必要はありません。
外耳炎になりやすい犬や垂れ耳の犬種は、耳の状態をこまめにチェックしましょう。
外耳道のベタつきや汚れなどがあれば耳掃除をする必要がありますが、耳掃除のしすぎは皮膚のバリア機能や自浄作用に悪影響を及ぼすため要注意。
汚れがある場合のみ、月に1~2回程度が最適です。

耳掃除を嫌がる犬には、おやつの使用や、トリミングサロンや動物病院に依頼をするのがよいでしょう。

正しいケア方法を知り、愛犬がいつでも健康でいられるようにしてあげてください。
そうすれば、愛犬とのお出かけや旅行などの際にも安心です。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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