【獣医師監修】犬が異物を飲んでしまった時の対処法や症状を解説

犬は食べ物以外の異物でも飲み込んでしまうことがあるので、注意が必要です。異物誤飲をしたら、どのような症状が現れるか、動物病院に早急にかかるべきかなどを詳しく解説します。異物誤飲は腸閉塞に進展すると命に関わるので、早めの対処が重要だと覚えておきましょう。

【獣医師監修】犬が異物を飲んでしまった時の対処法や症状を解説
出典 : pixta_69419031

犬が誤飲をしたらまず病院に相談を!

犬が誤飲をしたらまず病院に相談を!

pixta_28843845

好奇心が旺盛な子犬期だけでなく、成犬や老犬でも食べ物以外の異物を飲み込む恐れがあります。
犬用のプラスチック製のおもちゃやぬいぐるみの目として使用されているボタンから、焼き鳥の竹串、飼い主さんの靴下、充電コード、文房具類など。
ありとあらゆる、飼い主さんの想像を絶するものを犬たちは口にしてしまう可能性があります。

保冷剤を多量に摂取して低カルシウム血症や腎障害が起こったことが原因による死亡例もあります。

食べ物以外は生涯で一度も飲み込まない犬もいれば、誤飲を何度も繰り返す犬もいます。
いずれにしても、愛犬が異物誤飲をしたことが明らかであれば、すぐに動物病院に電話などで相談をしましょう。
早めの対処で、異物をすぐに吐かせたり取り出せたりできます。
異物が腸へと流れてしまうと、開腹手術などが必要になり、愛犬の体に負担がかかるのはもちろん、腸閉塞を起こすと命に危険が及ぶので早期の対処が重要です。

犬が誤飲をした時の対処法

犬が誤飲をした時の対処法

pixta_66761396

愛犬が誤飲をしてしまった! そんな時は、あわてず冷静になりましょう。
まずは発見した時間をメモし、異物を回収したり写真に撮ったりして獣医師に的確に伝えられるように準備をしてください。

異物誤飲の対処法①【うんちで出るか見守る】

たとえば、ぬいぐるみの目として使用されているボタンやごく少量の中綿など、愛犬の体に対してごく小さなサイズで、食道や胃壁に突き刺さらない形状の異物であれば、うんちで出る可能性が高いでしょう。
その場合は、かかりつけの獣医師と相談の上、しばらく様子を見るのがひとつの対処法です。

異物誤飲の対処法②【吐かせる】

早期の対処であれば、内視鏡手術や開腹手術をせずに異物を取り出せる可能性が高まります。
動物病院には、吐き気を催して吐かせる薬(催吐剤)が常備されています。
それを注射して異物を吐かせるのですが、胃の異物が腸に流れる前の60~90分以内に処置を行わなければなりません。
また、吐く際に食道を傷つけたり詰まらせたりする危険性のある異物にはこの処置はできません。
そのため、必ず獣医師に相談をしてください。
催吐剤を使用しても誤飲した異物が出てこない場合は、全身麻酔をかけて内視鏡により口から取り出すか、開腹手術を行うことになるでしょう。

インターネットでは、犬を吐かせる方法として、オキシドールや食塩水を飲ませる方法などが紹介されていますが、それらを飼い主さんが行うことはむずかしく、吐く際の事故、さらには愛犬がオキシドールや塩による健康被害を受ける恐れもあるのでやめておきましょう。

犬の誤飲の症状は?腸閉塞に注意!

犬の誤飲の症状は?腸閉塞に注意!

pixta_54929137

犬が誤飲をしても飼い主さんが気付かないこともあるでしょう。
また、飲み込んだ小さなプラスチック片などが胃内に残り、そこに飼い主さんの毛髪や愛犬自身の被毛などが絡まって“毛玉ボール”のようなものを形成し、それが誤飲から数ヵ月や1年以上経ったある日突然、胃の出口の幽門をフタのように塞いでしまったり、腸に詰まったりする例もあります。
異物が幽門や腸に詰まることを腸閉塞(イレウス)と呼び、早期に治療をしなければ命に危険が及ぶので軽視できません。

異物誤飲や腸閉塞の症状は、元気の消失、食欲低下、嘔吐、下痢、便秘など。
愛犬が急にごはんを食べなくなり、腹痛などが原因でブルブルと震えていたり、胃液を吐いたり、何度も下痢をするようになったら、異物誤飲による腸閉塞を疑って早急に動物病院へ。
レントゲン検査や超音波検査などで腸閉塞が判明したら、緊急の外科手術が行われるのが一般的です。

まれに、元気に過ごしている愛犬の肛門から誤飲したヒモ状のものが出ていることがありますが、それを引っ張ってしまうと腸が結ばれて閉塞する危険性があるので、引っ張ってはいけません。

犬の誤飲を予防するために

犬の誤飲を予防するために

pixta_70603407

異物誤飲は、飼い主さんが環境を整えれば予防することができます。

誤飲の予防方法①【フタ付きゴミ箱】

ゴミ漁りをして異物を誤飲する犬は少なくありません。
もし愛犬にゴミ漁りをする可能性があれば、愛犬が過ごすスペースに設置するゴミ箱はフタ付きのものにしましょう。

誤飲の予防方法②【サークルに入れる】

飼い主さんの姿が見えなくなると、イタズラや誤飲をする犬が多いものです。
特に、留守番をさせている時や、飼い主さんの入浴時などは異物誤飲の発生率が高くなります。
飼い主さんの目が届かなくなる間は、愛犬をサークルやクレートに入れておくのも予防法のひとつになります。

誤飲の予防方法③【ひとり遊びさせない】

犬用のおもちゃであっても、誤飲をしてしまう恐れはあります。
飲み込めるサイズのボール、中綿が入っていたり目や鼻がボタンでできているぬいぐるみ類、噛み続けると割れてしまう知育玩具などは、飼い主さんの目の届くところで遊ばせるようにしましょう。

誤飲の予防方法④【危険物は高所や箱に】

飼い主さんや来客のバッグ、携帯電話などの充電器、観葉植物など、愛犬が漁ったり噛んで飲み込むと危険なものは、そもそも愛犬の手や口が届かない高所に置くようにしたいものです。
大型犬で、それらにアプローチできてしまうケースなどは、頑丈な箱や戸棚にしまっておくのも良いでしょう。

まとめ

まとめ

pixta_72458254

異物誤飲は、愛犬の命を奪う可能性もある危険なハプニングです。
愛犬が誤飲したかもしれないと思ったら、一刻も早く獣医師に相談を。
異物を吐かせて取り出せる時間は限られているので、場合によっては救急病院を利用するようにしてください。
誤飲をしてから症状が出るまでの時間は数時間や数日以内とは限らず、数ヵ月間や数年間かかるケースもめずらしくありません。
異物誤飲で愛犬が苦しまずに済むよう、生活環境の整備と予防をしっかりと行いたいものです。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

続きを読む

ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

続きを読む

編集部のおすすめ記事

今週の「ライフスタイル」記事ランキング