【獣医師監修】犬の抜け毛の多い時期はいつ?犬の換毛期対策や掃除のポイントについて解説

たくさんの毛が抜ける時期が、上毛と下毛の二重構造を持つ犬種には年に2回ほど訪れます。その時期に気をつけたいポイントや、抜け毛掃除のコツなどについて知っておきましょう。愛犬の抜け毛対策に関する知識も得ておけば、お出かけや旅行をする際も役立ちます。

【獣医師監修】犬の抜け毛の多い時期はいつ?犬の換毛期対策や掃除のポイントについて解説
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犬の抜け毛の原因は?

犬の抜け毛の原因は?

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犬の抜け毛の主な原因は、換毛期と呼ばれる時期の被毛の生え変わりによるものです。
その他、内分泌疾患や皮膚疾患などの病気による抜け毛もあります。

犬の換毛期はなぜ起こるの?時期は?

パピーコートと呼ばれる被毛が残っている子犬を除き、犬の換毛期は、原則的には春と秋の2回訪れます。
人間にたとえると衣替えと言えるでしょう。
春には、暑い夏に備えて被毛を減らしてすっきりと。
秋には、寒い季節を乗り切れるように古くなった夏毛を処分して、保温性の高い被毛を新調するのです。
生活環境にもよりますが、犬の換毛期は10~20日間ほど続きます。

ただ、換毛期の開始時期は個体差があり、多頭飼育をしている家庭でも、数週間のズレが生じる時期があります。
また、日本では北海道と沖縄の差でわかるとおり、地域の気候によっても開始時期は異なります。

また、屋外に散歩に行かず、ずっとエアコンなどで温度調節がされた家の中で暮らしている犬は、年中換毛期のような状態で抜け毛が続くこともあるでしょう。
身体の調節機能が衰えた老犬も、明らかな換毛期ではない時期に抜け毛が続く傾向が高まります。

犬種による抜け毛の違いは?掃除が大変なのはダブルコートの犬種

犬種による抜け毛の違いは?掃除が大変なのはダブルコートの犬種

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犬には、トップコートやオーバーコートと呼ばれる上毛だけを持つ“シングルコート”の犬種と、アンダーコートと呼ばれる下毛と上毛の二層構造の被毛を持つ“ダブルコート”の犬種がいます。
オーバーコートは主に風雨や日光や外的な刺激から体を守り、アンダーコートは体熱を保温する役割を担っています。

このうち、抜け毛が多いのはダブルコートの犬種です。
密生している下毛が、春と秋に大量に抜け落ちます。
逆に、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ビジョン・フリーゼ、マルチーズなどのシングルコートの犬種は原則的には換毛期がないため、一年をとおして抜け毛が少ないでしょう。

室内飼育をしている愛犬の抜け毛掃除が大変なのは、もちろん、ダブルコートの犬種。
チワワ、ミニチュア・ダックスフンド、ポメラニアン、柴犬、フレンチ・ブルドッグ、ジャックラッセル・テリア、パグ、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ウェルシュ・コーギーなどは、短毛か長毛(ロングコート)かにかかわらず、換毛期には柔らかい下毛が抜けます。

チワワであればロングコートなど、長毛の犬のほうが掃除が大変だと想像するかもしれませんが、実は長毛の抜け毛はカーペットなどについていても比較的からめとりやすいもの。
実際のところは、短毛のほうがカーペットやソファや衣服などに残りやすく、掃除がしづらいという声が多く聞かれます。

抜け毛を放置するとどうなる?抜け毛対策は?

抜け毛を放置するとどうなる?抜け毛対策は?

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愛犬の抜け毛をドッグベッドやカーペットなどに放置すると、ダニの温床になりかねません。
綿毛のような下毛はハウスダストの原因にもなり、飼い主さんや愛犬のアレルギー症状を引き起こす可能性もあります。

また、愛犬の体表に抜け毛が残ったままだと、皮膚の通気性が悪くなります。
特に梅雨入りする6月頃から夏にかけての湿度の高い時期は、通気性の悪化が原因でマラセチアなどの雑菌が増殖しやすく、皮膚炎になってしまう犬も少なくありません。
換毛期は、犬種に関係なく毎日ブラッシングをして抜け毛を取り除き、愛犬の皮膚の健康維持にも気遣ってあげてください。

愛犬の抜け毛対策として最良なのは、日頃からこまめにブラッシングを行うことです。
ブラッシングによって皮膚の新陳代謝と被毛の生え変わりが促進され、常に質の良い被毛が生えそろっている状態を保てるからです。
毎日ブラッシングをすると、犬の抜け毛が減りやすいとも言われています。
下毛のないシングルコートの犬種でも、トイ・プードルなどのカールした被毛は、まだ生えている被毛にからまって落ちにくいため、こまめにブラッシングをしてあげてください。

ブラシの種類は、短毛種にはラバーブラシや獣毛ブラシ、長毛種にはスリッカーブラシやピンブラシやコームなどが適しています。
愛犬の皮膚を傷つけないように行うのがポイントです。
換毛期には、余分な下毛の処理を目的に作られた、熊手のような形状の抜け毛専用ブラシを使用してもよいでしょう。

愛犬の換毛期の旅行には、抜け毛の飛散量が減らせる洋服がおすすめ。
梅雨時や夏場は、冷感タイプのウェアを着せれば、熱中症対策にもなり一石二鳥です。

抜け毛の掃除で気をつけるポイントとは

抜け毛の掃除で気をつけるポイントとは

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抜け毛の掃除では、以下のポイントをおさえておきましょう。

抜け毛対策グッズを使い分ける

愛犬と暮らしている飼い主さんの多くは実感しているようですが、吸引力が高くない通常の掃除機では、なかなかすべての抜け毛を吸い込むことはできません。
とくに、短毛の被毛はカーペットなどに残りやすいものです。
このような抜け毛対策には、掃除機以外の便利グッズも活用しましょう。
掃除機を持参できない旅行にも、小型のグッズならば気軽に持参できます。

便利グッズのひとつは、たわし。
亀の子たわしと呼ばれる昔ながらのこの掃除道具で、カーペットやソファを撫でると、おもしろいように抜け毛が取れます。
ポツポツとした突起がついている軍手も、同様に抜け毛をからめとりやすいでしょう。
ペットの抜け毛を取るのを目的に作られた、スポンジなども市販されているので、こうしたグッズを上手に使い分けてみてください。
飼い主さんの洋服など、繊維を傷つけるのが不安な場合は、ローラータイプの粘着シートの使用もおすすめです。

洗濯時に抜け毛を除去

洗濯をしても抜け毛が衣服に残っていることも少なくありません。
洗濯時には、洗濯用の抜け毛対策グッズがおすすめです。
スポンジのようなもので、洗濯槽の中で愛犬の抜け毛をからめ取ってくれます。

ドッグベッドにシートを敷く

まるごと洗えるドッグベッドも多数ありますが、愛犬の抜け毛掃除が簡単なのは、ドッグベッドに毛布やシーツをかけておくこと。
暑い時期であれば、冷感ケットが最適です。
ケット類であれば気軽に、こまめに洗濯するのも苦にならないでしょう。
ドッグベッドに抜け毛が残り、ダニなどが増殖するのを防ぐこともできます。

就寝前の掃除は避ける

眠る前に、室内を抜け毛がない状態にしておきたいと考えるかもしれません。
けれども、掃除をするとしばらくは細かいホコリが宙を舞う状態が続きます。
そのため、掃除をするのであればなるべく就寝の1~2時間前には終えましょう。
窓を開けて換気をしながら、掃除を行うのがベストです。

まとめ

まとめ

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犬の被毛には、上毛だけのシングルコートと、上毛と下毛の二重構造になっているダブルコートの2つのタイプがあり、ダブルコートの犬種は春と秋に換毛期が訪れます。

抜け毛を愛犬の体表や、生活環境下で放置したままにするのは、健康上好ましくありません。
こまめなブラッシングと掃除で、愛犬の健康を守るとともに、衛生的な生活環境を整えましょう。
掃除には、掃除機だけでなく、抜け毛対策になるグッズを使うのが便利です。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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